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エッセイ集

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髭剃りと大人になること

髭剃りと大人になること

 君は髭を剃った事があるだろうか?まだかな?もしかしたら毎日その面倒すぎる行動に嫌気がさしているかもしれないね。でも大抵の場合は毎朝、眠い目で鏡に映る自分の顔を見つめながら髭を剃ったりする訳だ。例えばそれは電気のシェイバーだったり、あるいはそれは薬局やコンビニで手に入る簡単な物だったりするのかもしれない。

 髭が剃れたらなんだって良いさ。
 面倒な事に時間を掛けたって仕方がないし、無駄なものは自

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靴と人生について

靴と人生について

 新年に靴を下ろそうと用意していたトリッカーズを大晦日にプレメンテし、準備をはじめた。
新品時のWaxなどを落とし、デリケートクリームで、外側、中側を保湿する。
硬い革はみるみるクリームを吸い込んで行き、なかなか保湿されないので手間取った。

 人生には靴が必要だ。
良い靴は足下を彩り、そこから上のパンツやジーンズ、ジャケットやシャツまで影響を与える。
ビジネスシューズを履いて、ジーンズを履く人は

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こだわるべき物達 バーナー

こだわるべき物達 バーナー

#アウトドア だとか #キャンプ には格言があって、「知識が増えれば装備が減る 」
 と言った物がある。
焚火があれば料理も可能だし、ナイフがあれば調理もロープも焚火も確かに出来る。大袈裟に言えばテントもいらないかもしれないし、自然にある物でなんだって出来るのかもしれない。
 だけどそうとばかりは言ってられず、極力小さな使い勝手の良い物を選び、荷物を減らして出かけて行く程度に僕は心掛けている。

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White’s Boots

White’s Boots

拘りを持つ物と言えば人それぞれ、様々あるだろうが、殆どの場合は人間は寝ている時間と、靴を履いている時間が長いだろう。
生涯でおよそ地球一周を歩くと言われている人の足には当然、 #靴 が履かれている。
家で靴を脱がない欧米ではさらに僕らより靴と過ごす時間は長いし、ある意味では拘りを持って損の無い物の代表的な存在と言えるだろう。
僕は #ファッション が好きだが、今回は愛してやまない #ワークブーツ

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モルゲンロート

モルゲンロート

#一度は行きたいあの場所
 多くの場合は、例えば月に行きたいとか、宇宙のどこかに想いを馳せる人が多い時代なんだと思う。
僕はどうか?と問われたら、もう一度行きたい場所もたくさんあるが、一度は行きたいとなると、選択肢は無限大に広がって行く。

 それはまだ登った事のない山の頂であれば尚更で、今年こそ登ってみたかった富士山であったり、僕の人生ではおそらく確実に不可能であろう、エベレストなどの神々の山々

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My Way

My Way

#私の勝負曲
 その振り回している手足は細すぎて、視線は優しく尖っていた。
たった数年の音楽活動で彼が残したもの。
莫大な金とそれに群がる大人
最愛の女と、そのあっけない死
ドラッグと酒
21歳の彼もまた、すぐに死んだ。
彼の名前はシドヴィシアス。
レザージャケットを纏い、レザーパンツにバイクブーツを履いたまま旅だった。

 愚かな若者は、その愚かすぎる生き方と人生を激しく生き、一杯の酒代すら困る

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願う人祈る人

願う人祈る人

#いま私にできること

 無力過ぎる僕らに出来る事はなんだろう?
世界では悪意が溢れ、いまだに憎悪と殺し合いが続いている。
そんな事はいけない事だとわかってはいても、争う事は誰にも止められないのだ。

 誰かの言い分や、誰かの正義
 その事が正しいと信じている心や、確固たる信念。

 言う場所を変えればそれらはもっともらしい正義になり、僕らをいつも離れ離れにしてゆく。
いま、ぼくらに出来ることとは

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事故紹介

事故紹介

#note 1週間がすぎました。

 やぁ、また来てくれたね。
僕がここに来てから1週間が経過したよ。
そしてはじめましての人もいるだろうから、一応言っておくけど、僕の名前は特になくて、容姿はみんながよく知っているあまり珍しくもないヒメフクロウインコでもイメージしてくれたら良い。
 
 真夜中に出ている太陽がとても寒く見えるように、僕の部屋の中にはいつも風が吹いている。
月面にあるオアシスから遠く

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蕾みのままの桜

蕾みのままの桜

 サヨナラを繰り返す事で大人になったと信じてた。
だけど今僕にはいったい何が残っているのだろう?
たくさんの夢が詰まったバッグにギターケース、たったそれだけを持ち、早朝の駅のホームに立っていたあの日を思い出す。

 まだ二月のとても寒い朝、たった1人で駅へと続く用水路沿いの道を歩いた。
空はまだ夜の色そのもので、寝静まる街の中、僅かな窓から光と少しの音が漏れている。
道沿いにあるその街では少し大き

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君と僕と誰かさん

君と僕と誰かさん

 はじめまして、note3日目?になりました。

 今、君はこの駄文の羅列を読みはじめてくれているのだろう。せっかく読みはじめてくれたのだから、もう少し付き合ってくれないか?とりあえずははじめまして、とでも言っておこうかな。

 僕の名前はどうだって良い事だから、容姿はとりあえずはみんなが良く知っているフィリピンワシを想像してみてくれよ。
 わからないだって? 
 そうか、それは仕方がない。
 そ

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雨の降る夜には

雨の降る夜には

#夜の雨
 多くの心がこんがらがって、他人と自分との関係性がとても面倒に思える時もあるよね。
連なる無限の糸のように複雑でいて、そのひとつひとつが細ければ細い程そいつを解いてゆくのが難しい。
 ほら、そんなにも細くて引っ張ったら切れてしまいそうな糸なら、いらない物を選んで切ってしまえばいいだろ?とか、大切に繋がりを持つ太くて切り難い紐のようになった物だけを残してさ。
そんな至極あたり前な言葉がたく

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バイナル

バイナル

#はじめて買ったCD
 それはダイヤの針が溝をたどり、その激しい振動が増幅され、目の前の空気が振動し、鼓膜を振るわせる。
いったい俺をいくつだと思っているのだ?
音楽がまだ若者の宝物だった世代だよ。

 それはとてつもなく繊細で、聴きすぎると擦り切れた音を出し、聞いている時に地震でも起きれば傷つき、その傷口に針が到達すると何度も同じ音を永遠に繰り返すもの。
 指紋ひとつ付けられないから慎重に取り出

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誓い

誓い

#また乾杯しよう
 僕たちが確かに存在していたあの頃という、はるか昔に通り過ぎてしまった想い出の中にある感情は、時に唐突にあらわれ、眠れぬ夜へと誘い込む。
 そんな夜の過ごし方と言ったら、例えばそれはグラスの中にたっぷりと満たした悲しみや孤独に向き合い、そいつと思い出話でもすれば時計の針が進み、いずれ忘れてしまったかのように眠りに落ちて行けるだろう。

 人と人とが知り合い、共感し、その距離感を縮

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珈琲

珈琲

 さて、まだ若すぎて人生の苦味だとか漆黒の夜の闇の中で眠れぬ時を過ごす事の意味がまったく異なっていた時代では、そのほろ苦くも大人びた味に憧れを抱く事があった。
 現在ではどこで注文をするのにも、馬鹿のひとつ覚えのようにメニューも見ずに珈琲とだけ言い、その店が作り出す様々な商品の数々に思考を埋没させる事などない。

 まったくつまらない大人になった物だな。

 いつだって僕にとって若さはまだ未熟であ

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