E・A・Tの因数分解 - SEOを定量的に認識する
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E・A・Tの因数分解 - SEOを定量的に認識する

こんにちは。
株式会社マネーフォワードでSEOチームのリーダーをやっております清水です。今日は会社の話ではなく、個人としてのSEOの見解を述べます。

テーマは、昨今のSEOを揺るがせているE・A・Tについてです。

E・A・Tのおさらい

EATとは日本SEOの黒歴史とも言えるあの事件を機に、急速に重要性が高まってきた概念です。

E・・・Expertise(専門性)
A・・・Authoritativeness(権威性)
T・・・Trustworthiness(信頼性)

この3つの頭文字を取って、EATと呼ばれています。SEOマーケターなら常識ですね。EATとは何か〜といった話や、EATを上げるための小技などは他メディアで数多く紹介されていますので、ここでは触れません。なお、EAT含めた検索評価の詳細については、アイレップさんがまとめているものが一番充実していると思います。

そしてこのEAT、すでに多くのSEOマーケターの方々が実感されていると思いますが、最近の検索順位に多大な影響を及ぼしています。むしろこれが全てなのではないかと感じるくらい、決定的な要因になっている感があります。

EATは分解して検討されなければならない

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さてここから本題です。

EATは一見するとまとまった概念のように感じられるせいか、既存の解説記事や識者の見解に触れていても「EATが大事だ」「EATを対策しましょう」といったように、ひとくくりに捉えられる傾向があるように感じられます。

しかし、これは罠です。

EとAとTは意味として明らかに異なる概念たちであるため、それぞれの評価ロジックは個別に存在していると推測できます。つまり、対策を講じる際はEとAとTを切り分けて考える必要があるということです。EATをひとくくりにしてしまうことは、SEOで例えて言うならタイトルと被リンクと内部構造を全てひとくくりで考えるのと同じくらいぐっちゃぐちゃな話なのだと、個人的には考えています。

では、EATを切り分けて考えるとはどういうことなのでしょうか。それは

1、自社サイトは、EとAとTのどれが強くでどれが弱いのか把握する
2、強みを生かして弱みをカバーできるか検討する
3、弱みを改善できるのかどうか検討する

この3つを思考することだと考えます。

現在のGoogleの評価ロジックでは、EATを完璧に兼ね備えることができるのは行政サイトぐらいだと思われますので、商業サイトは必ず何かが欠けている状態なはずです。自社の強み弱みをきちんと把握して適切な戦術を施行することが必要になります。

Googleは全てを「定量化」して評価している(はず)

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前提となる考え方をもう一つだけ説明しておきます。それは、Googleの評価は全て「定量化(スコア化)」されているはずだということです。

EATは非常に定性的な概念のように思われます。識者の解説を見ていても「人が見て正しいと思えるようなものを目指しましょう」みたいな、ふわっとしたオチになっている事が多いです。

しかし冷静になればわかりますが、Googleはプログラムです。プログラムで実行されるアルゴリズムである以上、一見して定性的なものであっても、必ず定量的なもの、あるいは計算できる何かに変換して処理をしているはずなのです。

計算の過程はブラックボックス化されているでしょうが、入力変数は可視化できます。何が変数としてワークしているのか、あるいは何を変数とすると計算がしやすいのかという点を想像することで、注力すべき点にアタリをつけることが可能になります。

Expertise(専門性)への考え方

では各論に入っていきます。まずはE(専門性)から。

Eを評価するのに最もわかりやすい定量的な指標は何でしょうか?これは「コンテンツ量」であると思います。

Googleというプロダクトを理解するヒントは、オフラインにあります。Webサービスというものは大概、リアルでの体験価値をいかにデジタルに置換できるかみたいなところがテーマになっていたりします。Googleも例外ではないと考えています。

では、アナログの世界で最も専門性の高いコンテンツとは何か?と考えてみると「辞書」がヒントになります。

想像してみてください。ある漢和辞典があったとして、わずか50ページしかないものと、500ページあるものだったら、どちらがより漢字に対する専門性が高いと感じるでしょうか?普通に考えれば500ページの方ですよね。

コンテンツ量は、極めてわかりやすく定量的に評価することができ、指標としての直感的な妥当性もあります。事実、記事量がサイト評価と正の相関がありそうなことは、多くのSEOマーケターが経験則として持たれているところではないかと思います。

一方で、コンテンツの量を増やすという行為は、とても安易に取れる対策であったりもします(お金は必要ですが)。
Googleは、マーケターがよりハックしにくいものに評価の荷重を寄せていく傾向にありますので、EATの中では最も重要性の低いものになっている可能性があります。

Authoritativeness(権威性)への考え方

次はA(権威性)です。Aを考える上でキーファクターになるのは、まずは被リンクだと思います。

初期のGoogleがサイトを評価する考え方として、学術論文の評価方法を参考にしていたのは有名な話です。論文は一般的に引用の数が多ければ有用な論文だとみなされます。その考え方を踏襲し「被リンクが多いサイト=良質なサイト」と定義したのがGoogleでした。この思想はそのままAに繋がっていると思います。

被リンクの評価ロジックは年々複雑になっていますので、ただ数を増やすだけでは意味がありません。「質」が重要になります。このリンクの質については後述します。

Aを考える上でもうひとつ重要と思われる指標があります。それは指名検索量です。

はっきりと公言されていませんが、指名検索量は明らかにランキングに影響を及ぼしていると思っています。これも理屈で考えることができます。
まず、指名検索量が多いということは、それだけ著名であるということです。著名であるということは、権威がある「可能性がある」ということにもなります。
さらにGoogleの立場から考えると、指名検索量は極めて定量的に扱いやすい数字です。完全に自社完結する数字ですし、多い=有名という極めてシンプルな性質を持つため、スコアリングに全く活用していないと考える方がむしろ違和感があります。

しかしここでポイントなのは、この指名検索量にも「質」の概念があることです。この「質」は被リンクの質とも共通しています。

では「質」とはなんでしょうか。簡単に言うと「特定の分野における関連性の強度」と考えます。

たとえば「フリマアプリ」で検索すると、メルカリやラクマが最上位にあります。これは、

・メルカリやラクマはフリマアプリである。
・フリマアプリを探している人の多くはメルカリやラクマに関心がある

という事をGoogleが認識しているからです。「特定の分野における関連性の強度」が非常に高いのです。

では、Googleは何をもって関連性を評価しているのでしょうか。その判断軸となるのが、WEB上の膨大なページデータや検索行動データなどと考えられます。メルカリは著名なサービスですが、たとえば「フィットネス」と検索してもメルカリは出てきません。なぜならメルカリがフィットネス事業をしているというデータは、どこにも無いからです。当たり前すぎる話ですが。

Googleは名詞と名詞との関連性を正確に把握する方法や、ユーザーの行動から深いニーズを探るための仕組みなどを日々研究しており、そのための特許もガンガン取得しています。めちゃくちゃ難解ですが、そういった情報も得るようにしておくとSEOの深淵を更に感じることができます。例えば以下の記事など。

SEO Turns to Data Graphs to Learn About the Web
How Autocomplete Works: The Patent Behind Google’s Query Completions

最後にAの重要性ですが、これはEATの中で最も大きいと考えています。なぜなら、上記の仮説が正しければ、Aを上げる施策は非常に高難度だからです。

Trustworthiness(信頼性)への考え方

3つ目のT(信頼性)は、口コミ・レビュー、監修者表記がファクターだと考えます。次いでこちらも指名検索量が絡んでいると思います。

口コミといえばEATを語る上では必ず出てくるものですね。口コミとは第三者の評価ですから、専門性でも権威性でもなく信頼性ファクターだと考えるのが、意味的には妥当です。

では、ここでもまず定量的に思考してみましょう。単純に口コミの数は指標として充分ありえそうです。一人だけのレビューはただの主観ですが、100人のレビューは客観性があります。

続いて監修者表記です。まずはこちらも定量で考えて、監修者表記のあるコンテンツがどれだけ多いかはポイントになるでしょう。
そして、その監修者は本当に信頼のおける人物なのかという点で評価されるのだと思います。つまりこれも「質」ですね。質の考え方は上述したものと全く同じです。

最後に指名検索量です。これはAのときと少し意味合いが異なります。ここについては、とにかく多ければ多い方が良いのではと推測しています。

先程のメルカリの例で考えます。「メルカリ」の検索ボリュームは、調べたところによると月500万以上はありそうです。お化けですね。
仮にメルカリがフィットネス業界に参入したとしましょう。現時点ではフィットネスの権威性はゼロですが、そもそも月500万も検索されているサービスなので、一定の社会的な信頼性はあるんじゃないか?と捉えることはできます。少なくとも無名の会社よりは信頼できると思います。
以上の理由から、さほど荷重は重くないにせよ検索量もTに影響しているのではないかと推測しています。

Tの重要性ですが、AとEの中間ぐらいかなと思います。対策できなくはないですが、それなりに大変。監修者系は比較的容易ですが、レビューを集めるのは一筋縄ではいかず業態によってはほぼ不可能だからです。

EATはランキングファクターなのか?

ここまで書いておいて今更ですが、「そもそもEATはランキングに本当に影響があるのか?」という点を最後に考察します。個人的には影響があると考えています。

前提として、Googleの公式発表では「EATはランキングファクターではない」とされています。Googleがそう言うのなら、確かにそうなのでしょう。

しかしこれを鵜呑みにすると、昨今のコアアップデートでの変動の説明が全くつきません。EATがなんらかの形でランキングに干渉しているのは、臨床上否定が困難です。一体どういうことなのでしょうか。

これはあくまで個人的な見解ですが、EATはランキングファクターに「影響を与える」ファクターXなのだと思っています。

この関係性を、子供のテストの点数と、親が出す教育費の関係でたとえてみます。テストの点数をランキング、教育費をEATと置き換えてみてください。

子供のテストの点数を上げるには、当然ですが子供自身の学力が最も重要です。親がどんなに札束を積み上げてみても、その行為そのものではテストの点数は上がりません(先生が賄賂受け取ってテストの解答を改ざんすれば別ですが、そういった悪事は除外します)。

しかし親の出す教育費が多ければ、子供の学力が上がる可能性は高まるでしょう。あくまで可能性が上がるだけなので因果関係はありませんが、疑似相関関係にはあります。EATとランキングの関係も、このようなものなのではないかと推測しています。

つまり、厳密にはEATはランキングファクターではありませんが、ランキングファクターだと考えた方が結果的に成果が出せると思います。

まとめ

今回お話したことはすべて私見による仮説であり、本当のところはわかりません。全く外れている可能性もありますが、マネーフォワード含めこれまで幾多のサイトのSEOに携わらせて頂いた肌感上、こうなんじゃないか?と思ったことを書いています。

EATは複雑な概念であり、ここで論じた点以外にも様々な要素が複合的に絡み合っていることでしょう。そういう意味では本記事の内容はある意味で単純すぎるのですが、こういった複雑な事象だからこそ、できるだけ単純化・抽象化して考えることが重要だと思っています。

ということで、最後にまとめるとEATで重要なのは

・コンテンツ量
・指名検索量
・被リンク量
・口コミ量
※すべて質も大事!

に集約されるかなと思っています。

すっかり長文になってしまいましたが、EATに関する僕の考察は以上です。

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