リード獲得数を4倍にしたマネーフォワード流SEOの裏側と成果
はじめに
こんにちは。
マネーフォワードという会社でSEOチームのリーダーをしております、清水です。初めて会社の仕事をテーマに書いてみます。
今回お話するのは、ずばり「マネーフォワードがやっているSEO」の全容です。
マネーフォワードでは、ちょうど昨年あたりに社内体制を大きく変更し、SEO推進のアクセルを踏み出しました。その成果として、タイトルにもあるように自然検索流入からのリード数を前年比で約4倍にまで増やすことができました。
もちろん、流入数自体も増えています。こちらのグラフをご覧ください。
直近数年間の自然検索流入数の推移です。
2021年に入って急成長をはじめ、2022年の2月にはBoBサイトでありながらも月間1000万PVを突破しました。
今回は、このような成長ができたマネーフォワードのSEOは何をやっているのか?という点をお話していきます。
マネーフォワードのインハウスSEOの裏側
マネーフォワード SEOチームの紹介
まずはじめに、私たちSEOチームについて簡単にご紹介しておきます。マネーフォワードのSEOは、大きく「SEO施策の推進」「開発」「デザイン」を担う3つの部署が連携して実施しています。
このうち「開発」と「デザイン」チームはSEO以外の業務も行っています。全体ではインターンやアルバイト含めて10数名の体制を組んでいます。
マネーフォワードのSEO戦略
私たちは「当社のビジネスドメインにおけるSEO成果を最大化する」という目線を持っています。ビジネスドメインというのは、会計ソフトであったり電子契約ソフトであったり、BtoBで展開しているサービス領域のことです。
全体で見ると恐ろしく領域が広いため、優先順位を明確にして取り組んでいます。
多くの方が気になるのは「SEOでのゴール・KPI評価」かと思いますが、私たちの場合は明確に
メインキーワードの順位を上げる
ことが目標です。例えば「会計ソフト」のようなキーワードです。
どのような戦略観に基づいているか、詳細は後述しますが、私たちは現状のSEOを以下のような概念で捉え、それぞれで対策をしています。
マネーフォワードが実施しているSEO施策
YMYL・EAT
情報発信の信頼性が強く問われ、SEOにおいても重要な位置づけになっているのは周知の通りです。マネーフォワードはYMYLがまさに当てはまる業態であり、それだけに情報の正確性や透明性には常に気を配っています。
YMYLは個別の対策でどうこうする類ではないと認識しているので、もっぱらEATの対策に力を入れています。
マネーフォワードでは主なコンテンツとして、バックオフィス関連の基礎知識を更新し続けています。これらのコンテンツは専門的な話題となることが多く、素人知識での執筆は難しいため、必ず専門家の監修をお願いしています。顔と名前出しOKな方に関しては、公開させて頂いています。
また、コーポレートサイトのSEOに関しても気を配っています。SEOを強化しているのは「マネーフォワード クラウド」と呼ばれるビジネス側のサイトにはなりますが、運営元であるコーポレートサイトも、基本的なSEOのケアや構造化データの記述などの対策を施しています。
被リンク・サイテーション獲得
被リンクは古来からの重要なランキングファクターです。コンテンツの制作だけではSEO上の差別化は難しいと考えており、それゆえに外部対策にはかなり力を入れています。
以上のような取り組みをしています。
SEOにおけるPRの重要性は近年かなり叫ばれていますが、SEOとPRが両方できるマーケターは非常に希少種なので、当社でも試行錯誤の繰り返しです。いずれにせよ、PR担当部署との連携は極めて重要だなと感じています。
効果の見えやすいものは、やはり調査リリース系のコンテンツであり、定期的に制作しています。
指名検索向上
昨今のSEOアルゴリズムにおいて、指名検索量の多寡が順位に影響しているのは疑いようがない事だと考えています。
幸いなことにマネーフォワードは家計簿アプリが有名なので、多くの指名検索を頂いてはいるのですが、ビジネス側の指名量はまだまだ少ないため、大きな課題と捉えています。
コンテンツ制作
コンテンツ制作はSEOの基本です。マネーフォワードでは、バックオフィス関連の基礎知識を月に数十本程度、更新し続けています。
他にもたくさんありますが、注力したいプロダクトに合わせて更新本数は変えています。上述したように、内容が専門的なため執筆は外部に依頼しています。キーワードの選定、構成の作成、原稿の校正・チェックは社内で実施しています。
キーワードの選定においては、検索ボリュームはあまり気にしていません。メインキーワードの順位を上げることが主目的ですので、関連性重視です。ニッチなキーワードでも攻めています。お金や税金に関する記事を作成することも多いですが、やっていてめちゃくちゃ勉強になります。
内部構造整備
サイト構造やリンクの流れにも気を配っています。ページのリダイレクトや統廃合、ディレクトリ単位での引っ越しなども日常的に行っています。
サイトの運用をしていると、どうしても過去の設計との矛盾が生じたり、あまり付加価値のないコンテンツが生まれてしまいがちです。なので、定期的なメンテナンスは必須だと考えています。
ちなみに当社では、論理構造上は各プロダクトのTOPを頂点にしており、複数のピラミッド郡で全体が構成される仕組みを採用しています。総合TOPはあまりに総合すぎるため、指名検索以外での受け皿にするのは難しいと判断しているからです。
Core Web Vitals
今は落ち着いていますが、2021年6月のコアアップデート時期をデッドラインと想定し、CWVの改善にも取り組んでいました。
方針としては、Search Console上での赤信号が出るページをゼロにすることを目標として掲げました。全てを青信号にするにはかなり労力がかかりますし、その必要も薄いと判断したからです。
フロントエンドまわりで実装可能な改善は一通り行っています。おかげさまでエラーページはほぼゼロになりました。
エンゲージメント改善
必ずしもSEO目的だけでやっているわけではありませんが、訪問後の行動・エンゲージメントを促す施策も常に改善しています。ページ内に挿入しているバナーやCTAは、定期的に変えて古びないようにしています。どのボタンがどれだけ押されたかは全て計測していますし、ヒートマップなどを活用してスクロール率や熟読率も計測し、改善のヒントにしています。
事業会社がインハウスSEOで勝つポイント
ここからは視点を変えて、組織内での行動についてお話していきます。事業会社と書きましたが、支援業者の方でも参考になると思います。ポイントは、4つの〇〇化です。
SEOを「型化」する
まず重要なのは、業務フォーマット化です。再現性が可能な業務が増えるほど、チームの生産性は上がります。当社においては、コンテンツ制作に関しては「型化」ができており、常に一定のクオリティを保ちながらコンテンツを公開するフローができています。
ノウハウを「共有化」する
溜まったノウハウを個人にとどめていては、全体の生産性や練度は上がりません。私たちのチームでは、積極的にSEO施策の内容を社内共有しています。見る人が見れば宝の山みたいな資料が山程あります。定期的に勉強会も実施し、社員の知識底上げも行っています。
社内の知見が底上げされれば、自分たちが知らないところでSEO上マイナスなことをされていた、なんていう事故の発生確率も下げられます。
他部署のメンバーを「自分ごと化」する
SEOをいくら頑張っていても、他部署の理解がなければ評価もされづらいでしょう。SEOを改善することでのメリットを伝え、他部署から興味関心を持ってもらえるような行動を心がけるとよいです。
しかし、貢献度など実態が掴みづらい数値でアピールしても効果はいまひとつです。端的に売上が上がるというエビデンスがあれば最強ですので、そういった成果が出せるような戦略を立ててSEOを進めていくのがよいでしょう。
他部署の理解・協力が得られれば、組織内での立ち回りやすさは格段に上がります。連携することで更に大きな成果も産み出しやすくなります。
KPIを「可視化」する
実績・KPIを可視化してレポーティングすることにも力をいれましょう。自分たちの進んでいる方向性が正しいのか間違っているのかを判断する上で、実績の可視化は重要です。当社では様々な視点から複数のダッシュボードを制作し、多角的に分析と振り返りを実施しています。
SEOマーケターを募集しています
マネーフォワードのSEOについてご紹介してきました。今回は私たちの活動のごく一部しかお伝えできませんでしたが、もっと突っ込んだ事にご興味おありでしたら、ぜひ当社のSEOマーケターポジションにご応募ください!
私たちは、共にSEOを推進してくれる仲間を募集しています。
まず面談で気軽に話を聞いてみたい!というレベルでも構いません。少しでもご興味おありでしたら、ぜひエントリーお願い致します。
このNoteが、少しでもSEOマーケターのみなさまのお役に立てれば幸いです!
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