見出し画像

あなたも見られている

美容院に行くたびに感じることがある。
若い美容師さんが委縮している。

美容院の口コミは参考にするが、けっこう感情的なものが多い。
投稿者の大半が女性ということも関係しているのだろうが、読んでいて疲れてしまう。

タイプは二分される。
ネット上でヒステリーを起こすタイプか、気持ち悪いほど媚びを売るタイプ。
もちろん、普通の人達の方が多いのだが、どうしてもそういう人たちが記憶に残ってしまう。

たとえ、名指しで批判していなくても、お店には当然分かる。
口コミを読んだ客にも、なんとなくわかってしまう。
お店によっては、客寄りの立場のところもあるのかもしれない。

まだ下働きの若い子は、いつもニコニコ笑顔を振りまいていて気の毒になる。
人間誰しも機嫌が悪い時はある。
たまたまその時にあたった人がネットへの書き込みが大好きな人だったら、不愛想だった、態度が悪いなどと書かれてしまう。
口コミを軽く流せる人だったらいいが、そうでない真面目な人は気にして、気が休まるときがないのではないだろうか。

ネットでのお店に対しての口コミは必要なのか。
これは、けっこう前からの私の中での課題だが、いまだに答えが出ない。

始めてのお店に関しての情報は、欲しい。
だが、その情報を手にしたからといって、満足する結果が出たことはない。
お店との相性、または感性の問題だろう。
ある人にとっては腹立たしいことでも、私にとってはなんてことはない。
または、私にとっては許しがたいことでも、ある人にとっては何の問題もない。
ある人の満足するところと、私の満足するポイントが違う。
などなど、数え上げればきりがない。

いい口コミが溢れていたり、たくさんの口コミがあるところは何かしらサービスをしているところが多い。
そのことを来店時に告げるだけのお店は、ずるいと思う。
物につられて書いた人の言葉など、信用するに足りない。

商品についての口コミや、ネット上でのお店に対しての口コミはいいが、実店舗への口コミは、もうやめた方がいいのではないかと考える。

そこには、働いている人間がいる。
完璧でないから人間であるのだし、それを許容する力量のある人間が減ってしまった。

対人間に対しての批判は、ネットではなく直接言うべきではないだろうか。
直接言わずにネットでだけ批判することは卑怯で、弱虫だと思う。
店側は一方的に言われ、反論する機会すら与えられない。
今一度、原点に立ち返る時なのではないかと思う。

ほとんどの口コミは、善意からのものだろう。
だが、行き過ぎた善意が悪意に変わってしまっているものもある。
自分の手から紡ぎだされたギザギザの感情は、自分では気づくことの出来ない心の奥底に沈み溜まっていく。
やがて、つもりにつもったギザギザの感情が自分の心を傷つけてしまう。


監視カメラが増えれば、監視社会だと大騒ぎする人たちがいるが、もうネットの世界で私たちは十分監視されている。
サービス業で働く人たちは、その最前線に立たされている。
監視カメラか、人間の目かの違いだけ。

ネット上のお店への口コミは何の規制もなく、誰でも見ることのできる形で公開されている。

こちらの方が、よっぽど危ない。


SNSなど、自分の意思で発信していることに関しては自己責任で勝手にしてくれと思うが、口コミに関しては、こちらの意図に関係なく、どこの誰かもわからない人間が許可なく勝手に投稿する。


便利さと引き換えに息苦しいほどの窮屈さを手にしていたことに、気づかないでいた。

もっと、誰もがのびのびと生きられる世界になってほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?