Shiyuudou

2020年5月から2024年1月まで『パンダ棚』を刊行しました。こちらではNo.45ま…

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2020年5月から2024年1月まで『パンダ棚』を刊行しました。こちらではNo.45までご覧になれます。No.46以降は以下をご利用ください。https://shiyuudou.substack.com/about

マガジン

  • 『パンダ棚』アーカイブ(Nos.1-45)

    2020年5月から2021年3月分までです。大幅に改訂し、リンク切れも修正しました。2021年9月から2024年1月分までは以下をご利用ください。→https://shiyuudou.substack.com/about

最近の記事

飼育下のジャイアントパンダの人工授精の現状

ジャイアントパンダの人工授精について 最近、成都パンダ基地とiPandaはジャイアントパンダの人工授精についての記事を発表しました。 記事によると、自然交配が理想的ではあるものの、飼育下のパンダでは自然交配が成功する割合が低いとされています。これは、飼育環境での雄パンダが交配に必要な経験を積む機会が少なく、発情期の雌雄間の情報交換が不足しているためです。また、ジャイアントパンダは相手を選ぶ傾向が強く攻撃的なため、不適切な相手やタイミングでの同居は激しい喧嘩に発展し、怪我

    • 動物園の展示を超える、野生動物のリアルな生活

      4年以上にわたり、中国のメディアを通じてジャイアントパンダの報道を追いかけ、その一部を日本のSNSやメールマガジンで取り上げてきました。 その結果、日本のパンダファンは野生動物にはあまり関心がないこと、動物園には限界があるにもかかわらず、野生で撮影された動物の映像には大きな可能性があることが分かりました。中国のメディアではこれらの映像をよく目にします。 日本のパンダファンと野生動物への関心 パンダのニュースを追い始めた理由は、もともと動物園やペットに興味がなかった私が、

      • Substackで配信した無料記事リスト

        メールマガジンがメインであるSubstackの『パンダ棚』で配信した無料記事です。ウェブサイトから閲覧可能です。 2023年2月21日に中国に帰国したシャンシャンの行き先が、まだ公表されていなかったときに書いた記事です。過去のパターンから予測すると、最初に四川省の碧峰峡(雅安)基地に行き、その後繁殖に参加するかどうかで次の行き先が決まると述べています。内容はまだ古くなっていないと思います。 2023年2月に亡くなった胡錦矗先生は、中国のジャイアントパンダ研究の第一人者で、

        • なぜジャイアントパンダの野生化訓練をしなければならないの?

          「野生パンダの遺伝子を活性化させるため」中国の有名な通信社・新華社のアプリでは「パンダ100問」という、一般から質問を募りそれに専門家が答えるコーナーが定期的に掲載される。 中にはすでに多くの人が知っているような質問もあるが、今回は「なぜ野生化訓練を行わなければいけないのか」という質問があったので紹介したい(動画)。 答えているのは中国パンダ保護研究センターの呉代福さん。呉さんによれば、パンダはみんな基地で飼育されているのではないかと思う人もいるが、それはパンダを保護する

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        飼育下のジャイアントパンダの人工授精の現状

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        • 『パンダ棚』アーカイブ(Nos.1-45)
          45本

        記事

          《熊猫中国:中国大熊猫纪实》ー中国人著者による完全版「ジャイアントパンダの歴史」を読んで、「カンカン」と「ランラン」に想いを馳せるー

          ジャイアントパンダの姿を見て感動し、図鑑的な説明や写真集を一通り読んだり見たりした後、もう少しこの動物について知りたいと思った時、何を読むか。 私はジョージ・B. シャラー『ラスト・パンダ 中国の竹林に消えゆく野生動物』を読んでそしてその後中国はどうなったのか?と思い、ヘンリー・ニコルズ『パンダが来た道 人と歩んだ150年』を読んでその時中国はどうだったのか?と思い、家永真幸『パンダ外交』『国宝の政治史 「中国」の故宮とパンダ』を読んでその時中国の研究者や飼育員はどうだった

          《熊猫中国:中国大熊猫纪实》ー中国人著者による完全版「ジャイアントパンダの歴史」を読んで、「カンカン」と「ランラン」に想いを馳せるー

          ジャイアントパンダの婚活シーズン

          『パンダ棚』No.45 (2021-3-15) ベルリン動物園の「夢想」、発作を起こす 3月3日、ベルリン動物園のパンダ「夢想」(Pit/梦想/モンシアン)は4回の短い発作を起こした。 その後、ベルリン自由大学のチームが麻酔の上でCTスキャン、超音波など徹底的に検査。発作にはさまざまな要因があり、今までのところ原因は特定されないという。 また、その他の異状はなく、普通に食べて、飲んで、遊んでいる。予防のため、当面の間抗てんかん薬が投与されるという。 3月10日撮影の写

          ジャイアントパンダの婚活シーズン

          マレーシア国立動物園の「誼誼」、帰国延期

          『パンダ棚』No.44 (2021-3-8) マレーシア国立動物園の「誼誼」、帰国延期 3月3日、マレーシア国立動物園は、COVID-19の影響により、中国側の同意を得てパンダの「誼誼」(谊谊/イーイー)の帰国時期が2022年1月に延期されると公表した。 誼誼は2014年5月に同園に貸与された「興興」(兴兴/シンシン)と「靚靚」(靓靓/ジンジン)の第二子で、2018年1月14日生まれ。本来昨年4月に帰国予定だったが保留となり、12月2日に帰国手続きを開始すると発表されてい

          マレーシア国立動物園の「誼誼」、帰国延期

          四川亜種と秦嶺亜種、ジャイアントパンダの亜種間の遺伝的分岐についての発見

          『パンダ棚』No.43 (2021-3-1) 四川亜種と秦嶺亜種、ジャイアントパンダの亜種間の遺伝的分岐についての発見 最近、浙江大学、深圳華大生命科学研究院、中国パンダ保護研究センターらが共同でジャイアントパンダの超高品質ゲノム研究の成果を電子ジャーナル『科学通报』(Chinese Science Bulletin)に発表。 私は生物学の専門家ではないので「何をどのように」の部分の説明は控えて、「だからどうなのか」の部分だけを紹介する。 ジャイアントパンダに四川亜種と

          四川亜種と秦嶺亜種、ジャイアントパンダの亜種間の遺伝的分岐についての発見

          四川省雅安市天全県で野生パンダを発見

          『パンダ棚』No.42 (2021-2-22) 四川省雅安市天全県で野生パンダを発見 2月17日、四川省雅安市天全県の拉塔河の近くで、電力作業をしていた李さんが野生のパンダを発見。 彼は20年以上仕事をしてきて、野生のパンダを見るのは初めて。非常にドキドキしたという。だが同僚にも注意して近づきすぎないようにし、パンダがゆっくり離れていくのを見守った。 専門家によるとこのパンダは成年で体重100kg余り、健康状態は良好。現在は移動する季節なので、見つかりやすいという。

          四川省雅安市天全県で野生パンダを発見

          北京動物園の「白天」が一般公開

          『パンダ棚』No.41 (2021-2-15)ジャイアントパンダ国家公園唐家河エリアで今年初めて野生パンダを撮影 2月5日、ジャイアントパンダ国家公園唐家河エリアで、今年1月13日に野生パンダを撮影したことが確認された。 映像では、パンダが雪の中を右から左へ通り抜けていくのがわかる。このパンダの体格が円満で、大きく、歩き方がしっかりしていることから、職員は成年の雄のパンダと推定したという。 映像の冒頭に映し出されるのは、雪の中のパンダの足跡と思われる。 秦嶺パンダ研究

          北京動物園の「白天」が一般公開

          中国パンダ保護研究センターの野生化訓練

          『パンダ棚』No.40 (2021-2-8) 勿角自然保護区で野生パンダを撮影 1月30日、勿角自然保護区管理所は、ジャイアントパンダ国家公園甲勿池エリアの正溝で昨年12月中旬から今年1月中旬までに撮影されたセンサーカメラの映像に、同じ成年パンダが複数回確認されたと発表。 同保護区の管轄地域は、四川省阿壩チベット族チャン族自治州九塞溝県にある。昨年5月にもパンダなどの野生動物を撮影。 ある動画では、パンダはカメラを発見すると、半日ほど興味深く眺め、触ってみるものの最後に

          中国パンダ保護研究センターの野生化訓練

          秦嶺パンダ研究センターの飼育員の日々

          『パンダ棚』No.39 (2021-2-1) 蜂桶寨自然保護区で野生パンダの食事中継 最近、蜂桶寨国家自然保護区では、2020年のセンサーカメラのデータに同じパンダが2回続けて同じ場所で食事をする映像が確認された。 いずれも雪景色の中に座り、付近に生えた竹を引き寄せて食べている。飼育パンダが与えられた竹を食べるのとまったく同じ仕草とスピードで。 野性のパンダにしてはふくよかなのも珍しい。同保護区では昨年の秋にも親子のパンダが撮影されたデータが発見されているので、あるいは

          秦嶺パンダ研究センターの飼育員の日々

          負傷した野生パンダ、治療を経て秦嶺パンダ研究センターへ

          『パンダ棚』No.38 (2021-1-25) 土地嶺ジャイアントパンダ回廊で野生パンダを撮影 最近、四川省阿壩チベット族チャン族自治州茂県にある土地嶺ジャイアントパンダ回廊で、センサーカメラが雪の中で活動するパンダの姿を数回撮影。 12月24日には、1頭のパンダが歩きながら地面を嗅いでいた。31日には、同じく1頭のパンダがカメラの前で1分留まった後、林の中に入っていった。 ジャイアントパンダ国家公園管理所の職員によると、いずれも成年のパンダで体重は約80kgだが、同一

          負傷した野生パンダ、治療を経て秦嶺パンダ研究センターへ

          四川省臥龍で成長した白色パンダを撮影

          『パンダ棚』No.37 (2021-1-18) 四川省臥龍で成長した白色パンダを撮影 1月15日、ジャイアントパンダ国家公園管理局は、2020年2月に四川省臥龍で再び赤外線カメラが白色パンダを撮影したと発表。 2019年5月に撮影されたのと同じ個体。以前は全身白だったが、成長して毛は淡い金色になった(写真は前半2枚が2019年、後半2枚が2020年撮影)。 専門家によると、このパンダは親から自立した3歳くらい。その後この地域で撮影されていないことから、移動した可能性があ

          四川省臥龍で成長した白色パンダを撮影

          福寿保護地で初めて野生パンダを撮影

          『パンダ棚』No.36 (2021-1-11) 福寿保護地で初めて野生パンダを撮影 最近、四川省綿陽市平武県にある福寿保護地の赤外線カメラで初めて野生パンダが撮影された。同保護地は老河溝自然保護区と唐家河自然保護区に隣接していて、以前パンダの糞が発見されていた。 同保護地は、国際自然保護連合(IUCN)の定義する"Privately protected areas" (民間保護地域)の一つ。具体的にはアリババグループの「アント・フォレスト」と、桃花源生態基金会によって設立

          福寿保護地で初めて野生パンダを撮影

          陝西省の長青自然保護区で野生パンダに遭遇

          『パンダ棚』No.35 (2021-1-4) 陝西省の長青自然保護区で野生パンダに遭遇 12月25日、陝西省の長青自然保護区で、巡回中の監視員が2頭の野生パンダに遭遇。1頭目は日中の草原の中を至近距離で歩く。2頭目は、雪の森の中に消えていく様子が映っている。 そこは海抜1500m、巴山木竹(Bashania fargesii)が広く分布する秦嶺パンダの主要な越冬地である。小雪以降、厳寒を避けてパンダたちの野生動物は次々と移動中という。 四川省山中の「宝康線」で歩くパンダ

          陝西省の長青自然保護区で野生パンダに遭遇