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ゲームはジャンル名にとらわれず体験からデザインしていきたい話

こんにちは。「仕様です。」(@Shiyoumasayume)という名前でSNSをやっているゲームプランナーです。ふだんはコンシューマータイトルプロジェクトでディレクターやプロデューサーがふわっと旗を振ったイメージを
具体的なゲームデザインに起こす仕事なんかをやっています。

今日は自分にも言葉を向けつつ、

ゲームはジャンル名にとらわれず体験からデザインしていきたい

ということについて書いてみようと思います。

ゲーム内容をあらわす言葉

ゲームには「ライク」とか「ジャンル」とか、その作品の特徴だったり全体の雰囲気をわかりやすく総称するための言葉があります。たとえばソウルライク、ローグライクとか。アクションやシューティングなんかの言葉もそうです。

こういった言葉はゲームを遊ぶ側だけでなく作り手の方でも使われます。RPGに強いチームとか対戦型格闘ゲームを作らせたらピカイチとか。学校の課題で3Dアクションゲームを作ってみようと言われたとか。

便利ですよね。イメージをさっと伝えられたりもするので、僕自身もそういう言葉を使ったりすることはあります。

よく使われる言葉ではありますが、注意しておきたいのは「アクションゲームを作ること」は指針のひとつであり、これを文字通りの目的地と捉えてしまうとあまり良いものは出来上がらないのではないかということです。

ゲームを作る時はたくさん遊びのアイデアを出したり、それらを一つに繋ぐ仕様というルールを考えます。この時、仕様の判断基準にすべきものは「その仕様が体験としてイケてるか」だと思っています。

判断基準をジャンル名に委ねると

もし「アクションゲームとして適切か」を判断基準にしようとするとどうなるでしょう。まず、適切なアクションゲームとは何かを求めることになります。その先に見つかるのは恐らく同ジャンルで結果を出した既存タイトルではないでしょうか。

既存タイトルを分析し、それを参考に仕様を決めていく。お手本としたタイトルの内容を基準にするのですから、自然と似た方向性の仕様を取り入れていくことになります。あまりに似通ってくるときは、違いを出すために別のタイトルを参考に仕様を考えたりするかもしれません。

お手本の良いところを分析し、取り入れたりしてひとつのゲームが組み上がっていきます。出来上がったものは既存タイトルの良いとこどりをした最強に面白いモノになっているかもしれません。もしくは、どこかで見た要素と似た動きをするだけのキメラか。収拾がつかず完成しないか。

問題が起きるのは、寄せ集めのキメラになってしまった場合と、収拾がつかず完成の目途が立っていない場合です。

面白いものに仕上がらなかったときに、どのようにしてその問題を解消するでしょう。新たに別の参考タイトルを探してお手本にするのは…きっとうまくいきません。何故ならこうなった状況では、たいていの場合ゲームの完成像が見失われてしまっているからです。

判断基準を体験思考に委ねると

判断基準に「体験としてイケてるか」を据えるべきと述べたのは、それがゲームの完成像に直接繋がるものであるためです。

ゲーム開発者のほんとうの目的は「アクションゲームっぽいものを作れた」ではなく「面白いアクションゲームを作った」のはず。面白さとはつまりそのゲームを触っていた時間が楽しいものになったか。楽しい体験ができたか、ではないでしょうか。

ゲーム全体の方向性としてどのような楽しい体験をさせるのか。その体験を構成する一要素はどのような手触りだとよいのか。体験をデザインするというのは、そのゲームに対するプレイヤーの触れ方を考えながら設計を行うということです。

どんな情報を受け取るとプレイヤーがルールを理解しやすいのか。どんなアクションができると気持ちが良いのか。そういった目的と手段がセットの考え方を持っていれば、たとえ面白くないという結果が出たとしても、どのように修正すればよいかを考えるとっかかりは見つけやすいんじゃないかなと思います。

なお、既存タイトルを研究したり参考にして取り入れたりすることは大切なことです。
あくまで体験設計の主導権は自分が握り、その達成のために既存タイトルの良い部分を参考にする、という流れが良いんじゃないかなと思います。

既存ゲームのキメラのように見えるタイトルがあったとしても、それが面白いものになっていると感じるならばきっと中の人は「こんな体験にしたい」という思考のもと再構成した結果なのだと思います。

あのゲームとこのゲームの体験が素晴らしかった!
それを構成していた要素はコレとコレで、じゃあそれらを掛け合わせたら…とか

この仕様はアクションゲームらしいとか、らしくないとか。そういったジャンルベースの思考に方向性を委ねるのではなく「こういう遊びは気持ちが良いよね」など体験ベースの思考から出発してゲームを作っていった方が、出来上がりがたとえ同じジャンルで括れるものだったとしてもその完成度には違いが生まれるのではないかと思います。


というわけで、ジャンル思考ではなく体験をデザインする思考でゲームを作っていきたいなという話でした。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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