【質問箱】 面白さとリーダビリティ
面白い質問をいただきました。
面白いと同時に難しい質問ですね。
個人的には、ほぼ同義だと思っています。
ただし「ほぼ」であって「まったく」ではない。
面白くなければ読ませる作品にはなりえませんし、単に平易ですらすら読めるだけで心が動かない作品なら、面白いとは思えませんよね。どんなに早く読めても興味が離れていってしまったら、やがて本を閉じられて終わり。いやそもそも「読ませる」は「早く読める」という意味でもないと思います。じっくりと読ませる面白い文章だってありえる。
「面白い」にはさまざまな性質があるから、厄介なんですよね。
「楽しい」
「興味深い」
「愉快だ」
「可笑しい、滑稽だ」
「一風変わっている、珍しい」
「風流だ、趣深い」
いろんな「面白い」がある。
しかも、面白いというのは受け手側が自発的に抱く感情です。作品そのものが持つ性質ではない。ある人にとっては面白い作品も、ある人にとってはひどくつまらない作品であるかもしれません。
もっと「読ませる」に近い表現を探すとすれば、たとえば「楽しませる」でしょうか。面白いかどうかは受け手側の感性に委ねられるものではあるものの、作品側に読者を楽しませようとする意志の多寡はあるはずです。「外連味」とか「サービス精神」といいかえてもいいかもしれない。それが取りも直さず「エンタメ」です。
反面、いわゆる純文学は、どちらかというと最大公約数的な「面白さ」でもって、ひとりでも多くの人を「楽しませよう」というところには必ずしも主眼が置かれないのだろうと想像します。あくまで門外漢の想像ですよ。だから読者によって面白いかつまらないか、評価が大きく分かれやすい。振れ幅が大きいんですよね。
エンタメを目指すのであれば、リーダビリティは必須です。
見た目の読みやすさや言葉の平易さだけの問題ではなく、不思議と先が気になってしまい止められないという意味でのリーダビリティ。
そのためには、スムーズな時間の演出が不可欠でしょうし、細かな起承転結の繰り返しが必要となってくるでしょう。小さいヤマ場をいくつか作り、やがて大きなヤマ場へと右肩上がりに盛り上げていくわけです。
サポートは本当に励みになります。ありがとうございます。 noteでの感想執筆活動に役立てたいと思います。