山田太郎さんが参院選で出るべき政党を考える~表現規制に危機感を覚えるオタクの皆さんへオタクが送るレポート~

 表現規制阻止を旗印にコミケ街宣などで知名度を上げ、2016年参院選では落選したとはいえ約29万票を集めたことで「オタク票」と自身の存在を全国に知らしめた山田太郎前参院議員。落選後も表現の自由を守る会として活動を行ってきた氏の周りが参院選前になってざわつき始めてきました。どうやら、参院選全国比例区からの出馬を決断したようです。
 山田太郎さん支持でも政治には興味のないオタクの皆さんもご覧になられるかもしれないので、ここで参院選比例区の仕組みを解説しておきましょう。まず、前提条件としてどこかの政党に所属していないと出馬することは出来ず、当選の基準も政党が大きく関わってきます。国民は政党名か候補者の名前を書いて投票し、政党名+その党の候補者名の合計票がその政党の票となり、それをもとに議席が割り振られます。そしてその割り振られた議席の中から個人名での票が多かった順に当選が決まっていく仕組みです。
 山田太郎氏は前回この仕組みによって涙を飲みました。というのも、彼が獲得した29万票は議席を獲得している党ならばどこであっても余裕で当選できるラインなのですが、残念ながら彼が所属していた新党改革は1議席も獲得することが出来ず、落選の憂き目にあってしまいました。だったら山田氏、もしくは表現の規制を守る会が政党として戦えばいいと思われるかもしれませんが、政党が比例区で1議席を獲れる目安は100万票と言われており、そのプランは現実的ではないです。
 となると議席を確保できる党から出馬するというのが現実的な線となりますが、どうやら噂では自民党からの出馬が有力ではないかとも言われています。恐らくまだどこかの党と話がついているわけではないでしょうが、こうして出馬宣言することで30万票を狙う政党と有利な立場で交渉することが出来るという目論見ではないでしょうか。実際前回参院選前には維新と選挙運動に関しての意見の相違から揉め、除名処分を下されている経緯を考えると、30万票という無視できない数字を持っていることからも相当条件にはこだわりを見せることでしょう。どうも彼がRTしている政党選定基準には、                               1、政策実現できる政党
2、党の為ではなく国民・有権者の側につける党(折り合いはつける)。最初から党の言いなりになれはNG
3、2を面談で約束してくれる党
とあります。
では、実際にこの条件に当てはまるような政党はあるのでしょうか。お節介ながら検証してみることにしました。

 まず、表現規制に一貫して反対してきたのが立憲民主党代表の枝野幸男氏や社民党、共産党などのいわゆるリベラル系政党や議員達です。保守系にも自民を含め表現規制反対派の方々はいらっしゃるのですが、それと同じくらい推進派もいらっしゃるのが現状で、それがスクショ違法化などの法案に繋がっていることも否めません。

↑表現規制に賛成、反対の議員一覧はこちらから

 なので、リベラル系政党から出馬すれば党の方針とも基本的にはずれません。特に枝野幸男氏率いる立憲は野党の中では一番支持率が高く、容易に当選できるでしょう。
 しかし、そう簡単にことはすすみません。その理由は、山田氏の票田のオタク層がリベラル系を毛嫌いしているからです。氏本人も表現の自由を守る会を作った理由として、表現規制に反対する党でも他の政策を支持できないから入れることが出来ないと言う声を聞き、シングルイシューの政党が必要だと思ったことを挙げています。これは間違いなくリベラル系政党を念頭に置いた上での発言でしょう。そもそも前回選挙にわざわざリベラル系ではないミニ政党の新党改革から出たのも、こうした支持層の離反を恐れてのことですから今回もリベラル系はそもそもの選択肢にないと思われます。個人的には一貫して表現規制反対派として頑張ってきているリベラル系がオタクから一番毛嫌いされている現状を見ると報われないな、政治家ってとは思ったりしますが。

 では次にあり得るのが自民党です。自民党は政策的には表現規制推進している側ですが反対議員もいますし、何より与党ですから党内から改革していく手もあるでしょう。支持層受けもいい自民ですし、本人も自民入りを求める支持者のツイートをRTしています。
 じゃあこのまま自民でイイじゃん?と思われるかもしれません。

 ですが、私はこの選択肢が一番の悪手だと考えています。自民党だけはやめておいた方がいい。

 まず、いくら山田太郎氏が30万票持っていると言っても、自民党の組織票の中では決して多い部類ではありません。氏が落選した16年の選挙で、自民内で一番得票数があったのは知名度も高い青山繁晴氏でも片山さつき氏でもなく、 徳茂雅之氏です。知ってます?この人。知っている人は恐らく郵政関係者かよほどの政治通でしょう。そうなんです、この人は郵便局の団体の組織内候補なんです。参院選の比例は全国から票を集められるので、こういう組織内候補が与野党問わず大量に存在します。山田氏もオタク系団体の組織内候補という立ち位置になり、30万票も少し多いねくらいのもので特別扱いを受けることは難しいでしょう。先にあげた徳茂氏だって知名度は全くないですし実際華々しい活躍をしているとはいいがたいです。(議事録で検索するとどうやら質問に立ったのは10件だけのようです。青山氏で18件、議員として仕事しているのかと度々話題にあがる今井絵理子氏でも12件あります。)山田氏が頼みの綱の少数政党ならともかく、このような大政党で彼が望む扱いを受けることは難しいでしょう。
 また、仮に山田氏が当選したとしても、少しオタク界隈で受けがいいだけの2期目(しかも自民では1期目)議員が並み居る表現規制推進派議員を止めることが出来るのかも疑問です。山田氏より知名度も集票力も格上の青山氏だって反対していた入管法改正に最終的には党議拘束ということで賛成票を投じざるを得ず、脱原発を掲げていた河野太郎氏だって大臣になられた今はその主張は見る影もありません。自民党の党議拘束の厳しさは他党の比ではなく、沖縄県選出の議員は辺野古反対を訴えていましたが全員本部の方針で賛成に転換を余儀なくされ、最終的に次の選挙で全員小選挙区では負けました。負けると分かっていても信念と違っても、最終的に意思を党のために曲げざるを得ないのが自民党で、それが出来ない人は党から出ていくことになります。
 さて、自民より結束が緩く、党首と議員がツイッターで喧嘩している維新ですらほぼ数日しかいなかった山田氏が自民党に耐えられるでしょうか。

 仮に耐えたとしましょう。そして、それが氏にとって一番の地獄の始まりとなります。 

 恐らく山田氏は何の毒にも薬にもならない修正を勝ち取ったことを誇り、支持層に「政権与党内に歯止めとなる自分の存在が必要」と訴えることになるでしょう。しかし、表現規制を巡る法案の採決の際には賛成票を投じざるを得ません。枝野氏や本多氏など名だたる規制反対論者が名を連ねる野党がこの問題を巡り政府と舌戦を繰り広げる中、山田氏は「自民党案に賛成の表現規制問題のプロ」として政府を持ちあげる質問を与党側からすることになるかもしれません。自民は反対派の急先鋒の山田氏が賛成した法案だから安全だとオタク層にアピールし、オタク層もそれに乗り枝野氏らリベラル系規制反対論者を「反対ばっかり」と批判するという地獄のような光景が繰り広げられるかもしれません。そして、いくら自民党内で山田氏が反対していたとしても国会の議事録には残りませんし、賛成票を投じれば「規制に賛成した議員」と後世に残ることになります。反対の論陣を張り票を入れるべき山田氏が賛成側に回り、公式に反対したと残るのはリベラル側議員だけ、これは山田氏や支持者にとっても好ましい結果とは思えません。後から見れば、反対を訴えていたはずの自分が賛成票を入れていたことになるのですから。

 恐らく山田氏のこれまでの行動を見るに、そういった事態になる前に離党されるでしょうが、そういう前提で立候補するならなによりも自民党に失礼です。なので、現実的に考えれば氏にとって一番望ましいのは前回と同じミニ政党かつ実際に議席が見込める党から出ることです。

 ではそこはどこか。結論から言えば、希望の党だと思います。

 希望の党と言って多くの方が思い浮かべるのは17年に大きな嵐を起こしその嵐に自らが飲み込まれどこかへ消えたあの小池新党を思い浮かべられるかもしれませんが、今残っているのはその中でも民進党との合流を嫌った保守派が立ち上げた5人だけのミニ政党です。

 ミニ政党とはいえ元神奈川県知事の松沢成文氏や保守系からの人気が高く前回は30万票を集めた中山恭子氏など人気議員を有し、比例一議席の獲得は現実味があります。ただ、支持率などを見るに中山氏の一議席も確実とは言えないため、30万票近い票を持ち尚且つ中山氏よりは票の少ない山田氏は希望にとっても都合のいい存在のはずです。また、参院で維新と統一会派と組んでいることからも山田氏側にとっても思想に近い存在なので、お互いにとって悪い選択肢ではないでしょう。勿論山田氏が入ったからと言って山田中山と二議席取れるかと言えばそんなうまくはいかないでしょうが、埋もれがちの希望の党側にとって知名度をもつ山田氏は党名を広めるいいチャンスになると思います。

 ただ、中山氏の票を食って当選しかねない山田氏の存在は希望側にとっても脅威にならないとも限らないので、希望の党から断られる可能性もあります。その場合は、個人的には自由党をおすすめしたいのですが、どうやら国民民主と合併してしまいそうなので難しいですね。ただ国民民主党も金と人はいるものの支持率が低く、特に若年層の支持拡大に向け動いている状況なので、国民民主側としては若年層の票を持つ山田氏は願ってもない人材でしょう。山田氏側も立憲や社民共産よりは保守寄りで支持層受けもまだ悪くないので考えるべき選択肢だと思います。何より民主時代から引き継いだ100億円とも言われる軍資金があると言われるので、好き勝手選挙活動が出来るはずです。あのアントニオ猪木氏も国民民主系会派に入ったので、その流れに乗るのもありです。

以上のことから、私は希望の党、または国民民主党への参加が山田氏や支持者の方にとってもベストだと思います。下手な政策実現や安全策、支持者受けを狙って自民党に入ることは山田氏や支持者、そして自民党にとってもよくない結果を招くことになるので、彼の選挙戦を支える予定のオタクの皆さんは上にあげた二党を山田氏に猛プッシュしていってください!

 それでは、表現規制に危機感を覚えるオタクのみなさん、レッツオタクライフを!ちなみに私はゾンビランドサガが好きなので3月に聖地巡りしてきます’(笑)

 

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