ししめなるや

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泥にまみれる

2014年、ブラジルワールドカップ 当時勤めていた職場では、1人の女性が自分のデスクに、世界中のサッカー選手達の写真の切り抜きを貼りつけて誰よりもワールドカップを楽…

夢のうさぎ

ある国に何でも持っている子がいました お腹が空いたら好きなものを好きなだけ食べて 遊びたくなったら遊びたい相手と飽きるまで遊んで 眠くなったらお気に入りの場所で…

黄色の贈りもの

夕日が照らしたのは、ゆーやんのほっぺたでした。 ランドセルの肩紐をぎゅーと握りしめ、学校からの帰り道をゆーやんは泣きながら歩いていました。 悲しいことがあったか…

泥にまみれる

2014年、ブラジルワールドカップ

当時勤めていた職場では、1人の女性が自分のデスクに、世界中のサッカー選手達の写真の切り抜きを貼りつけて誰よりもワールドカップを楽しんでいた。

サッカーに興味のない私は、イケメンでない汗まみれの選手たちの切り抜きを貼っている、彼女をからかっては、笑っていた。

でもふと、人の趣味趣向を笑うなんて失礼だなと思い、ワールドカップを観てみようとテレビ観戦を始めた。

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夢のうさぎ

ある国に何でも持っている子がいました

お腹が空いたら好きなものを好きなだけ食べて

遊びたくなったら遊びたい相手と飽きるまで遊んで

眠くなったらお気に入りの場所でおやすみします

欲しいものすべて手に入りました

夏の暑さも、冬の寒さも、雨の日も風の強い日もその子にはありません

いつも晴れていて、いつも穏やかな風が吹き、空は澄み渡り、毎日は過ごしやすい日なのです

どこか体にいたい所があれば

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黄色の贈りもの

夕日が照らしたのは、ゆーやんのほっぺたでした。

ランドセルの肩紐をぎゅーと握りしめ、学校からの帰り道をゆーやんは泣きながら歩いていました。

悲しいことがあったから、

悔しいことがあったから、

涙をながしていたのです。

でもどんな悲しいこと、つらいことがあったのでしょうか。

ゆーやんは家の玄関の前で、服の袖口で涙をふきました。

ランドセルを背負いはじめてから、なんだかお母さんの前で泣く

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