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story / シシ七十二候のはじまり

2006年シシ七十二候の創業者西村玲子はニホンミツバチとの暮らしを始めました。

西村は1999年から2019年までパティスリーの運営に携わります。
その洋菓子店では1999年〜2004年頃まで、さまざまなお菓子が並び地域のお客さんが通う洋菓子店でした。


2005年頃、自社の強みを生かしたこだわりの洋菓子店へと          変化させる道を選びます。
セイヨウミツバチの養蜂業を手伝っていた経緯から自社で採れた蜂蜜で作る洋菓子を数種類だけ並べるお店へと変わります。
その間の紆余曲折を経て、セイヨウミツバチを「飼う」から、
自らニホンミツバチと生きることを選択することになります。

「セイヨウミツバチよりニホンミツバチの方が相性がよかった。」その理由はお話し会などで西村自身が伝えるところに真実はあります。
セイヨウミツバチよりニホンミツバチを選ぶ過程で、いくつかの要因があるのは確かですが、野生に生きるニホンミツバチの魅力にとりつかれた。
というのが真実なのだと思います。

ニホンミツバチとの暮らしを始める際、一年を通し西村にニホンミツバチとの関係性を説いたのは、「岐阜・美濃生態系研究会」会長である三輪芳明氏です。
ニホンミツバチとの暮らしについて、搾取ではなく寄り添う関係であること、
そしてニホンミツバチの視点から自然界を見つめることを三輪氏から学ぶことになります。

人の暮らしと環境について深く考えるようになると、それに付随して様々な疑問や興味が生まれてきました。
取引先の養鶏場へ訪問した際や、酪農家を訪れた時に自分たちが使っている材料について考えるようになり、 ニホンミツバチとの暮らしとパティスリーという仕事が対極にあると感じるようになります。

ある日、それほど暑くない初夏の日の出来事でした。
スイーツを並べるショーケースのガラスが曇ってしまいお客さんからケーキが見えなくなってしまいました。
それでショーケースの曇り防止のスイッチを入れます。
それでも、すこし経つとショーケースはまた曇ってしまいます。
仕方がなく店内の冷房を入れて店内の温度を下げ、ようやくショーケースはショーケースの役割を果たすことができました。

実際は心地よい気候であるのですが、ショーケースが曇るから冷房を入れる。
この一見当然のことでさえもニホンミツバチとの暮らしを始めたことが、西村に違和感を覚えさせるようになります。
それからしばらくして、お店のショーケースは無くなりました。
ショーケースのない洋菓子店の始まりでした。

そして養鶏場を視察した際に、自らが洋菓子店として生計を立ててきたこと自体に疑問を持ち始めることになります。
視察した養鶏場では約20×50㎝四方の枠の中に2羽ずつ入れられ、
卵が産めなくなるまでそこから出ることができない状態で
100mほど鶏舎奥まで並んでいました。
・・・私は一体何をやっているのか。

ニホンミツバチとの暮らしを始めて数年後、私たちが住む地域のニホンミツバチの数が急激に減ることになります。 その前年にこの地域にマイマイガという虫が大量発生したことに由来するというのは、西村の持論です。
その際、異常な量の殺虫剤がこの地域で使われたことは間違いなく、マイマイガ、ニホンミツバチだけでなくおそらくたくさんの種類の昆虫が減ってしまったのではないかと考えました。
そこから農薬を使わない農業について興味を持ちます。

それからほどなくして、お店の目の前の田んぼでお米つくりを始めました。
田んぼに約1000匹の鯉の稚魚を放す「鯉農法」を主に毎年楽しみながら様々な農法を試すことになります。

完全無農薬農法ではパティスリーの仕事の合間の草取りの経験や収穫量の少なさ、
味がおいしくない、などの痛い経験から現代の農業において、農薬がいかに「ありがたい」存在かを痛感することになります。

今の資本主義、大量生産大量消費が「普通」となった現代で、         全ての人々が家族を守り、子供達を養っていく必要があると考えると、
農薬を使わない農業を、農家さんが選ぶことの難しさを体感しました。
このことから、言葉を使って農薬反対と発信することに抵抗を感じるようになります。

この、言葉ではなく、「感覚」に呼びかけることの重要さを知ることが、    シシ七十二候の誕生へと繋がりました。

ニホンミツバチが安心して暮らせる環境は、
人にとっても安心できる環境であるという思いは一貫して、          シシ七十二候の哲学の中心にあります。

ニホンミツバチと出会い、そこから学んだことを               私たちというフィルターを通しお伝えするこで

新しい時代の豊かでやさしい暮らしを                    みなさんと共に考えていけたらと思います。               

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