見出し画像

「知る、選ぶ、食べる。」

こんにちは。私たちは、京都芸術大学情報デザイン学科の学生です。今回、NIPPON FOOD SHIFTで、「シ展。」という展示をさせて頂きました。

この記事では、私たちが何を調べて、何を考え、制作し、この展示に至ったのか、そのプロセスを紹介します!



1.探求テーマについて

私たちCチームは、「知る、選ぶ、食べる。」という展示を行いました。テーマは、「食の現状を知り、考えることで、自らが食べるものを選ぶ軸を持つ」です。

あなたは、スーパーの食品を買う時に、何を軸にして選んでいますか?
値段で選ぶ人、産地を見る人、無農薬や無添加を選ぶ人。様々な基準があるでしょう。

でも、私たちは、その「基準」を、本当に理解できているのでしょうか。
世間でよく言われるイメージを、そのまま鵜呑みにして、なんとなく選んでいませんか。

私たちは、消費者が「食」のためにできる、身近で重要なことは、まず消費者一人一人が「食を選ぶ軸を持つ」ことだと思いました。自分なりの判断基準や理由を持って、自発的に、自分の食べ物を選ぶ、ということです。

しかし、そのためには、食について正確で幅広い知識を得なくてはなりません。今まで、曖昧なまま受け入れていた言葉やイメージを、見直す必要があるのです。
知識を得て、自分の軸を持って食を選択する。それを体験してもらうことが、この展示のテーマになっています。



2.リサーチ

今回の展示を考えるにあたって、2つのフィールドリサーチに行きました。話し合いの中で、食に関する知識と理解が、根本的に足りていないと感じたからです。

斗々屋

1つ目のリサーチでは、オーガニック食材のスーパーマーケット斗々屋に伺いました。

斗々屋では、全ての食品が個包装無しの量り売りという画期的な方法での販売が行われており、容器を持参もしくはレンタルして購入する仕組みになっています。またオーガニック食品や無添加食材を取り扱っており、国産の食品も多く見られました。

そんな中、私たちは面白い発見をしました。
国産の商品が多く並ぶ中で、大豆に関しては輸入品が売られていたのです。
大豆の規制は、日本より海外の方が厳しいため、外国から輸入しているのだそうです。

これまでわたしたちが持っていた「輸入より国産の方がいいものだ」という思い込みが、必ずしも正しい訳ではないと知りました。

また、斗々屋では有機食品が多く売られていました。しかし、有機が良いものだとすると、それに対する慣行農業はよくないもの、悪ということになってしまうのか、という疑問が生まれました。


日清食品関西工場

もう1つのリサーチでは、カップヌードルで知られる日清食品関西工場に伺いました。

日清食品では、たくさんの機械を使い、厳しい衛生基準やチェックのもとで加工食品が製造されていました。各具材は、外国から仕入れられていますが、生産国はホームページにも記載されています。

工場の見学により、カップ麺などのインスタント食品にたいして持っていた、「なんとなく体に悪そう、危ないかも」というイメージは払拭されました。

しかし、栄養の偏りがあることは否定できません。また、衛生管理をしっかり行い作られているカップ麺が、スーパーでは実質170円ほどで売られているのは、安すぎるのではないかという疑問が生まれました。



3.課題発見

2つのリサーチを行ったことで、わたしたちは多くのことを知りました。それと同時に、4つの疑問を持ちました。

・輸入より国産がいいものとは限らないのではないか?
・有機農業が「いいもの」とすると、慣行農業は「悪いもの」なのか?
・インスタント食品の原料が不明瞭、怖いというのは思い込みかもしれない
・輸入が何らかの事情で止まった場合、生産できなくなる食品はどれだけあるのか?

これらの疑問は、私たちが「なんとなく」持っていた色々な食品へのイメージを、見直すきっかけになりました。

国産ばかりがいいものとは限らないし、インスタント食品が必ずしも体に悪い訳ではない。他の食品にも、同じことが言えるのではないでしょうか。良いと思っていたものにもデメリットがあるかもしれない。そして、悪いと思っていたものにも、思いもよらないメリットがあるかもしれません。

私たちが、普段、買い物の際に行っていた判断は、何を基準にしていたのか。その基準を、選んだ理由を、私たちはきちんと説明できるでしょうか。

世間に広まっている、偏ったイメージや思い込みが、多くの人の判断基準になっている。それを、私たちは大きな課題だと捉えました。



4.解決のアイデア→展示

先入観に囚われることなく、改めて、食について知ってもらう。そして、知ったことを元に、自分の食を選んでもらう。
この一連の流れで、最も大切なのは、「食について知る」ことです。正しい知識がなければ、選ぶ軸を持つことは出来ないからです。

そこで私たちは、「食について知る」を中心として、展示内容を考えました。
用意した展示物は、2つあります。

展示パネル

1つ目は、回転式の5つのパネルです。表裏に違う内容が書かれていて、見る人が、自分でパネルを回すことができるようになっています。

パネルは、それぞれ「遺伝子組換」「国産と輸入」「食品添加物」「食料自給率」「有機農業と慣行農業」の5つの項目になっています。表には、その言葉に対するイメージや疑問が書かれています。回して表れる裏面には、言葉の本当の意味や現状などの情報が載せられています。

回転式にすることで、物事には様々な側面があり、一概に善悪で分けるのは難しい、という意味を持たせています。自分で、回すというアクションを起こすことで、今までとは違う面の知識を得る。そんな体験をすることができます。

展示配布物

2つ目は、配布物です。
展示場所には、ハガキサイズのカードと、赤いシールを置いています。これらは、自由にお持ち帰りいただけるようになっています。カードにはシールを貼る欄があり、展示を見ながら、自分がどのような食を選びたいと思ったかを記録することができます。

これは、「知る」の後、「選ぶ」という体験をしてもらうために作りました。
記録したカードは、他の展示を見る時や、これからお店で食材を選ぶときの、選択の軸になります。



5.展示の狙い・意図

私たちは、この展示を通して、見る人に、少しでも新しい知識を得て欲しいと思っています。

どちらが良くて、どちらが悪い、といった議論はしません。ただ、「なんとなく」良い、「なんとなく」悪いと思っていた常識が、本当にイメージ通りなのか、改めて見直してみて欲しいのです。
どういう食が良くて、どういう食が悪いのか。そこに正解はなく、それぞれの人によって、選ぶ答えは変わるでしょう。しかし、知識がなければ、自分にとってより良い答えを選択するのは難しいはずです。

みなさんが、知識を得て食に向き合い、これからの食を考え、自分で自分の食べるものを選んでいく。今まで「なんとなく」選んでいたものも、きちんと理由を持って選べるようになる。
この展示が、そのきっかけになれば、とても嬉しいです。



6.展示を終えて

(展示期間終了後に追加されます)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?