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建物被害は震度だけでは語れない

建築基準法では、その地点での地震の強さを表す震度の表記はありません(同じ字はあるのですが違う意味です)。

そのため震度○で大丈夫とか、建築基準法では言えません(まあ震度3程度なら誰だって大丈夫だとわかりますが)。

その理由の一つとして、地震の揺れはいろいろなタイプがあり、震度だけでは表記できないということがあります。地震の揺れには大きな揺れ、小さな揺れ、早い揺れ、遅い揺れ、それに方角とか縦揺れ横揺れとか、思い浮かぶだけでかなりの表現があります。それによって同じ震度6強でも、木造住宅に影響しやすい揺れや、倒れにくい揺れなんていうものも発生してくるのです。また建物によって固有周期も違いますし、地盤も違います。それらを一つの指標で表すのは無理があります。

もったいぶっているわけではなく、そんなわけなので、構造設計者が震度○まで大丈夫などと、言えるわけがありません。よく震度7でも大丈夫みたいな言葉がネットでも見られますが、震度7は震度6強を超えたあらゆる地震なので、これから未知の揺れ方が発生しても震度7なのです。よって震度7で大丈夫ですか?などと聞くこと自体、無理があり、それを答えるほうも、ある条件(たとえば阪神大震災の震度7とか)を仮定して言っているのだと思います。

上の動画のように階によっても揺れ方は変わってきます。一概に地震に強い建物といっても様々な手法があり、また欠点もあります。どれが正解か?はまだわかっていないというのが現状だと思います。ただ、過去に発生してきた地震に対応させることは可能です。そのような研究を重ねた結果定められたのが現在の耐震基準であり、建築基準法が最低の基準を定めるものであることから、概ね妥当と考えられ昭和56年の新耐震基準から現基準が適用され続けています(もちろん細かな改正はたくさんあったが基本的にはかわらない)。

ただ、過去に発生した震度7クラスで木造住宅が壊れやすい周期で発生した大地震では、新耐震基準でも耐震性が不足することがわかってきています。そのため耐震等級3を勧める設計者が増えてきたのも頷けますね。

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