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「#リスペクト」鑑賞記

【「#リスペクト」鑑賞記】

■「ソウルの女王」と謳われ、グラミー賞21受賞という輝かしいキャリアを持つ歌手アレサ・フランクリン(2018年没)の伝記映画。
 
■両親の離婚、母の死、父の束縛、夫からの暴力、望まぬ妊娠と出産、スターゆえの孤独、キャリア低迷、アル中からの復活…と激動の半生を2時間弱で描くという濃厚なストーリー。
そこに当時の黒人差別撤廃と地位向上、女性解放運動の経緯も描かれており、あらゆる束縛から抜け出そうとするアレサ自身の奮闘ぶりと重なる。

■特に印象深いシーンは、アレサが今まで忌嫌っていた父の束縛や元夫の暴力を、自分も現夫や息子たちに行っていたことに気づき、愕然とする件。
自暴自棄になり、酒に逃げる彼女を救ってくれたのは神ではなく○○だった…という展開に感涙。
そして自らのルーツであり、自分同様に人生に迷える者たちの心を救う「ゴスペル」を歌う教会コンサートを開催するのが、本編のクライマックス。

■アレサ役のジェニファー・ハドソンは、生前のアレサからのご指名でこの役を見事に演じた。
劇中、吹替なしでアレサのヒットナンバーを熱唱するシーンは間違いなく本作の見どころ。
そして、教会コンサートで歌い上げる「#アメイジンググレイス」はアレサが憑依したかのような迫力で、思わず身震い。
■彼女が失敗し傷つきながらも自分らしさを探していく奮闘する姿は、まさに大河ドラマの如し。アレサを知らない人には、本作がアレサ入門編として楽しめることは間違いない。

■また音楽好きには、当時の雰囲気を再現したレコーディング風景やライブシーンも見応えあり。激オススメである。

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