見出し画像

Ado / 新時代 の話

さすがにこの楽曲はあまりにも有名でしょう。
この地球上で最も売れている漫画、ONE PIECEの映画の主題歌を飾ることになり、映画内だけの登場人物とはいえその歌声をAdoが担当するとなって世間は騒然となったそうです。

・・・なったそうです。というのには理由があって、映画公開の2022年の夏当時、私は全くこの映画にもAdoにも興味がありませんでした。
ONE PIECEはもちろん子供の頃から読んではいましたが、最新話を追い続けることに疲弊し、気が向いたらちょっとずつ読み進める程度です。子供の頃は弟と小遣いを出し合ってコミックスを買っていたのにね。そしてAdoといえば「うっせぇわ」の人か、なるほど。という認知レベルだったと思います。当時の私はAdoの歌声を一度も聞いたことのない名前だけ知るあの人といった感じでした。

」でそのレベルの認知だった人間(私)を改めさせる圧倒的歌唱力を見せつけたAdo。であれば必然的に次に向かう先はApple Musicにおいて日本の楽曲として初めて、世界で最も再生されている曲のデイリーチャートで1位を獲得し、Adoと世界を繋げたといっても過言ではない「新時代」に行き着くのが自然でしょう。

この楽曲を初めて聞いたのはCDをまとめて買うその前。
「唱」をiTunes Storeでポチった後、色々と調べた結果「うーん、次はこれかな?」という気持ちでこの曲もポチりました。ポチ。

2022.6.8リリース / 作詞 作曲 中田ヤスタカ

曲の始まりはしっとりしたとボーカルと僅かなピアノだけが響き渡ります。
そこから一気に伸びやかで艶のある歌声になり、何かの始まりを予感させ、力強く鳴り響くリズムと共に船の出港みたいな音が鳴りますよね?

ブォーーーー
新時代の幕開けじゃん・・・

その後のシンセサイザーで一気に現代的な曲なんだなと引き込まれました。
サビに向けて聞き取りやすいボーカルが進行し、だんだんと音が重なり気持ちの昂ぶりを感じます。そしてサビ。

最初の旋律に戻るじゃん!気持ちい~~~・・・

映画に登場するウタはONE PIECEの世界に名を轟かせる歌姫という設定ですが、Adoの歌声も世界に響き渡りますよこりゃ。聞いてて爽快ですもの。楽曲のほぼ全てに渡ってズシリと鳴り響く広がりのある低音のリズムが心地よく、その音の中でも驚くべきほどにはっきりと聞こえるAdoのこれまた力強く艶のある歌声。その調和がとても聴いていて心地が良い。加えて楽曲の中で音楽について歌っているというのが真っ直ぐに伝わってくるのも良かったです。

ただ、この歌詞の内容については映画を見る前と後で印象が変わります。そこは映画を見た人だけのお楽しみということですが、映画の世界のウタのコンサートに参加している観客の気分で聞けるんですよね。この楽曲を最初に聴いた時は。「新時代」がリリースされたのが2022年6月8日、MVの公開が6月15日、そして映画本編の公開が8月6日となっています。楽曲の公開が先行して、映画本編の公開まで結構時差があるんですよね。つまり、映画本編が公開されるまでは皆ウタのコンサートを楽しみにやってきた観客達と同じ気持ちでいたことになります。これが意図的だったらいやはや凄い・・・そう思いました。

MVについて

しばらくは楽曲単体を聴いた後に、良い曲だなぁ、そういえばMVもあるんだっけ。と、ふと思い出しYoutubeへアクセスしMVを拝見しましたが、あまりの完成度にビビりました。ONE PIECE世界にLEDビジョンはあるのか?という疑問はさておき、物凄い力の入れようだなと。特にサビ部分の映像はウタが楽曲に合わせて完全にシンクロしたバックのLEDビジョンを背景に踊りながら歌っていますが、もう現実レベルのライブ感でしたね。
当時の人達はこんな映像を見せられて映画公開を待たされていたのかと思うと・・・溜息しか出ません。

まとめ

Adoという世界レベルの歌唱力を持つ歌い手と、架空の世界の歌姫が重なり合ってシナジーを生み出した素晴らしい楽曲でした。
「ウタの歌唱パートどうする?」「うーん・・・Adoに頼んでみよう
この決定をした方に拍手を贈りたい。

※この記事を書いた後に知りましたが、どうやら映画公式パンフレットに記載されている尾田栄一郎インタビューによると、ウタという歌姫を完成させるには高い声を出せるだけでなく"クセ"という個性が必要だと気づき、担当編集との雑談の中で全ての条件を満たしていたAdoにオファーしたとあります。つまり、漫画家本人たっての希望だったということですね。尾田っち、すげェ。

「唱」というパンチでふらつき、「新時代」というストレートでK.O.され私は今あるCDを全て買うと決心したわけですが、最初に買って聴いたのは残夢でした。最新アルバムを何の情報もなく視聴し、気に入った楽曲の話はまた別の記事にて。
それではまた。