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小説を書いています。 読んでくださる皆様、ありがとうございます。

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【掌編】ヒーロー

仕掛けられた時限爆弾。目の前には赤い線と青い線。どちらかを切れば今すぐ爆発、どちらかを切れば君は助かる、そんな劇的なシチュエーションにあるとして。 その爆弾に対し、君が取り得る選択肢は、およそ四つ。 ①赤い線を切る ②青い線を切る ③赤い線と青い線を切る ④赤い線も青い線も切らない 一番危ういのは、もちろん③。どちらかを切れば即爆発なら、どちらも切れば即爆発だ。君の身体は木っ端に砕け、確実に助かることはない。 ①と②のリスクは同一。爆発の確率は50:50。手掛かりも保証

    • 【雑談】シロクマ文芸部活動日誌(2024.1〜3)

      「●●●」から始まる小説・詩歌・エッセイを書きませんか。 人気noterの小牧幸助さん主催の企画『シロクマ文芸部』では、毎週末、上記のようなお題が提示され、それに従いクリエイター達が作品を持ち寄り、読み合い、楽しんでいます。 今回は2024年1〜3月の期間、白鉛筆がこちらの企画に参加した作品について、簡単な振り返りをしていきたいと思います。 よろしければお付き合いください。 ◯『sister』 2024年初めての作品。 前作『羊頭狗肉』が自分としては良作であったため

      • 【雑談】45ヶ月が経ちました。

        noteを始めて、45ヶ月が経ちました。 いつも読んでくださる皆様、スキ・コメント・フォローをくださった皆様、本当にありがとうございます。 42ヶ月が経過したその後、公表した作品(シロクマ文芸部参加作品を除く)は計4作。 今回はそれらにつき、恒例のあとがきを書いていきたいと思います。
よろしければお付き合いください。 ①『告白水平線』(カバー小説) 椎名ピザさんの同名小説をカバーした作品。 ご本人発案の「小説をカバーしよう」という大変面白い企画に参加させていただきま

        • 【短編】SEVENTH HEAVEN⑤ -一つ目-

          始まりは、母を祝う。子種を宿し、育て生む大地を讃える。 次に、父を祝う。子種をもたらす、雨の恵みに感謝を捧げ。 さらには祖と裔。受け継ぐ過去と、続く未来を想い、尊ぶ。 そして己。此処で鳴る心臓、脈打つ命、巡る心を是と捉え。 最後に祝うは、それら全てを創りし神。世の理を統べる者。 祓いをこの世の禊と捉え、穢れなき世界、それを象る者たちを祝福する。 「それが、祝詞」 あの子の声で、七代目が言う。混乱の中、いつの間にか外され床に落ちていた猿轡を拾い、軽く弄んだ後、つまらなそう

        【掌編】ヒーロー

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          【短編】SEVENTH HEAVEN④ -出鱈目-

          桜色のワンピースが似合う、そんな女の子になりたかった。 髪を伸ばし、可愛いもので身を固め。ふわふわのシュシュや、パールピンクのネックレス。爪もリップも艶々にして、明るい色をほんのり添えたい。 しかし、違った。生まれ持った私の素地に当てがわれたのは、寒色系のボーイッシュ。柔らかく華やかなものよりは、強く凛々しくが似合うらしい。 純血の祓い師という立ち位置も相まって、私のそうした印象は過度に演出され、周囲に映った。『守られるお姫様』でなく『戦う女騎士』。イメージは肥大化し、一

          【短編】SEVENTH HEAVEN④ -出鱈目-

          【短編】SEVENTH HEAVEN③ -賽の目-

          朧月のように淡い灯りを、懸命に辿る。 ミノから聞いた住所は、見知らぬ地方の見知らぬ地名だった。実家から今住んでいる街へ向けた道中、新幹線を途中下車して、さらに地下鉄に乗り換える。最寄とされる駅で降りると、中心街の喧騒はそこにはなく、転がしているスーツケースの音が嫌に響いた。 『私のところにも退去命令が出ました。おそらく直に、監視の目もつく。連絡を取ることが難しくなります』 持参してきた荷物ひとつで屋敷を出され、顔も見たことがない者の車に乗り、最寄りのバス停で降ろされる。

          【短編】SEVENTH HEAVEN③ -賽の目-

          【短編】SEVENTH HEAVEN② -裂け目-

          卒業の時までに、学外で制服を着る機会がどれほどあるだろう。 せいぜい修学旅行や冠婚葬祭ぐらいではないか、と思っていたのだが、しかし、 「えー普通に休みの日とかでも着てる子いるよ。ディズニー行ったり。そうだ、うちらも行こうよ。制服ディズニー。ショーちゃん、ランド派? シー派? タートルトークあるのって、どっちだっけ」 まさにその制服に着替え終わった彼女が、二倍の台詞量で応酬してきたので、すぐさま疑問を引っ込める。 まったく。これから一大イベントが始まると言うのに、次なるス

          【短編】SEVENTH HEAVEN② -裂け目-

          【短編】SEVENTH HEAVEN① -縫い目-

          春と風を引き連れて、その子は私の前に現れた。 すなわち、出会いと変革。 紆余曲折と悲喜交々を経て、念願とも言うべき高校生活を手に入れた私だったが、しかし待っていたのは孤立と虚脱だった。 真新しい制服に身を包み、近代的なガラス張りの校舎へ踏み入ってはみたものの、中にいたのは良くも悪くも、ただの『子供』であった。里にいた同年代と比べ、姿形は幾分垢抜け、立ち振る舞いもこなれた風である一方、本質的な部分は変わらず、むしろより幼なげな印象を受けた。 稚拙で。未熟で。視野が狭い。

          【短編】SEVENTH HEAVEN① -縫い目-

          【掌編】プレデターございます

          『寝取った』などとは人聞きの悪い。 『寝』はしましたけど、『取っ』てはいません。 あらあら。そんなに怖い顔をなさらないでください。綺麗なお顔が台無しです。ほら、窓硝子をご覧になって。鬼のような形相ですわ。 どうやらよっぽど、あの人を愛していらっしゃるご様子で。ご安心を。御二方の間に割って入り、貴女からあの人を奪うような真似は致しません。誓ってそんなつもりはない。一筆書いてもよろしくてよ。ふふ。 あの人と床を共にしたのは、ただただ私がそれをしたかったから。それだけの話です

          【掌編】プレデターございます

          【企画】切り抜き白鉛筆(2022.6〜2022.12)

          ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 動画サイトで見かける『切り抜き』なるものを、自作の文章でやってみたものです。 第一弾はこちら 第二弾はこちら 第三弾はこちら 第四弾はこちら 第五弾はこちら タイトルから作品に飛べるよう、リンクを貼っておりますので、もし気になったものがございましたら、覗いてみていただければ幸いです。

          【企画】切り抜き白鉛筆(2022.6〜2022.12)

          【短編】ビタースウィート、或いは紅蓮。⑥

          梅の花。 春の訪れを思わせる薄紅色のその花弁は、裏腹にも、寒空の下に咲き始める。陽射し麗かな出会いの四月、冬の色を纏い現れたショーちゃんと、そういう意味では対をなすモチーフであるのかもしれない。 しかし今、私はそのショーちゃんに、梅の花を感じる思いでいる。 「来てくれてありがとう」 雪原を思わせる白い肌を、ほのかに上気させ。そこに灯る淡いピンクは、まさに彼の花が冬に咲く様。 春の香りを両頬に湛えたまま、照れ臭そうにショーちゃんは私に告げる。 「もう駄目だと思った。あ

          【短編】ビタースウィート、或いは紅蓮。⑥

          【企画】切り抜き白鉛筆(2022.1〜2022.5)

          ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 動画サイトで見かける『切り抜き』なるものを、自作の文章でやってみたものです。 第一弾はこちら 第二弾はこちら 第三弾はこちら 第四弾はこちら タイトルから作品に飛べるよう、リンクを貼っておりますので、もし気になったものがございましたら、覗いてみていただければ幸いです。

          【企画】切り抜き白鉛筆(2022.1〜2022.5)

          【短編】ビタースウィート、或いは紅蓮。⑤

          チョコレートの包み紙を渡してきた奴がいてよ。その時に俺は感動したんだ。 恍惚とした表情で、《物乞い》は語り始めた。 「銀行員をやっていると、いわゆる『金の亡者』とも言える客に出会う。金は金を増やすための手段であり、金を増やす目的もまた金である。そんな連中だ。俺は投資を担当していたからな、そういう客との遭遇率は高かった。そんな奴らの相手をしていると、次第に感化されちまうんだよ。この世の中のものは、大抵が金で買える。つまり、金は世界とほぼ等価。金より価値のあるものがどれほどあ

          【短編】ビタースウィート、或いは紅蓮。⑤

          【短編】ビタースウィート、或いは紅蓮。④

          青写真ってのは、おかしな言葉だよな。 ショーちゃんの制服のリボン。輪っかにしたそれを指先でくるくると回しながら、その霊は言った。 「大方、『未来予想図』みたいな意味で使われているけどよ。写真ってのはそもそも、未来を描くためでなく、過去を記録するためのもんだ。ネガからポジへ、淡く移ろうその先にあるのは、将来の展望ではなく、動かしようのない事実。夢や希望を挟む余地など、一ミリ足りともありはしねぇ」 でもよ。リボンを回し続けながら、霊はその場でしゃがみ込む。床に寝そべり、呼吸

          【短編】ビタースウィート、或いは紅蓮。④

          【雑談】シロクマ文芸部のやさしいところ

          人気noterの小牧幸助さんが主催していらっしゃる、シロクマ文芸部。 ・冒頭を決められた言葉で始めるという「お題」 ・その週の日曜日までに投稿するという「期限」 これらのルールの中で、小説・詩歌・エッセイなどを書いて投稿し、皆で見せ合うという自由な企画。 非常に楽しく、白鉛筆は部の立ち上げ当初からこちらの企画に参加しています。 * シロクマ文芸部を始めるまでは、白鉛筆はおおよそ月一回のペースで作品を仕上げ、投稿していました。 それが部員になってからは、週一回にペースア

          【雑談】シロクマ文芸部のやさしいところ

          【短編】ビタースウィート、或いは紅蓮。③

          布団から一歩出れば、不本意の連続。そんな毎日だった。 親の仕事の都合により幼少期を欧州で過ごした私は、ようやく帰国した九歳の頃には、すっかり母国語を忘れていた。周囲とのコミュニケーションに難儀し、当初単なる没交渉であったそれは、やがて異質なものを排除せんとする力を持ち始めた。陰口、悪口。言葉がわからずとも明確に伝わる悪意を帯びたそれらに加え、陰湿な実力行使に及ぶ例も時折あった。 ようやく日本語に不自由がなくなったところで学校を移り、そこで私は多くの友達を確保した。そう、「

          【短編】ビタースウィート、或いは紅蓮。③