自動車学校に未来がない理由

自動車学校業界で、よくある議論が

1:自動車学校業界は無くなる!

2:免許は無くならないし、今後も大丈夫!

というお話です。ここに対してどう考えるかは経営者として非常に大切で、自動車学校は「10年後に自動運転により免許制度が廃止されます!」なんてことが確定していれば教習所に投資しても意味がないけれど、10年後も20年後も免許制度、現在の仕組みは継続します!であれば少子高齢化問題を最大の課題とし、経営の効率化や統合が必要となる。 つまり、今後の事業計画、戦略を考える上で外部環境がどう変化していくかは非常に重要な要素だと言えます。

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一応MBA生っぽく言うなら、プロダクト・ポートフォリオでどう考えるのか?って話だとして、自分の考えは・・・・・

「1」寄りの考えです。あくまで「寄り」です。

根拠は、どちらの未来も不確定であるならば、自動車学校は無くなっていくという前提で今後の戦略を考えていったほうが、汎用性があり合理的である。少なくとも自分が新規事業を手掛けている理由としてはこの考えが少しはあるからです。けど、絶対になくなる!とも考えてはいません。もしこの議論に対して答えがあるとしたら

3:なくなる可能性も、継続する可能性もどちらもあるからどちらの可能性もある。だからこそ最大限検討をして、成長戦略を考えていく

これが唯一の正解なんじゃないかと思います。そして、これはあらゆる全ての事業も同じであると考えます。

そうなれば、今するべきことは不確定な未来に備えて事業形態に囚われない強い組織を作っていくことであると、自分は考えます。事業形態に囚われない=依存しない強さってなんだろう?と考えると、人の強さ=人間力の向上!や理念・ビジョンを確固たるものに!と言った話になってきがちで、その類の話に対しては物申したいのですが・・改めてお話します。

話を戻すと、私は自動車学校の未来を危惧しています。その理由は先ほど述べたような外部環境の変化によるものではなく、本当の理由は別にあると考えます。それは

「教習所の社会的な存在意義が不明確であること」

です。自動車学校の存在意義ってなんだろう?この問いに対して、社会的な認知と、業界側の意見に乖離があるような気がしています。自動車学校には、大きく2つの存在意義があると思っています。

1:運転免許を取得する場所

2:安全運転の技術と知識の習得

もちろん2があって、1があるし、相関関係にあることは前提なのですが、言葉を選ばずに、存在意義を2つの意見で分けると

1:運転免許を取得する(だけの)場所

2:免許取得を通じて、地域の交通安全ルールを守り、事故を起こさないだけの知識・技術・行動規範を備えた人材の排出

言葉は固くなりますが、この2つの存在意義が議論になります。もし我々が2の部分に寄与できていた場合には、交通事故の件数などがその結果確認の数値となるでしょう。

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初心運転者の事故件数も、交通事故死傷者数も大幅に減少しています。その意味で、私たちは交通安全人材の排出に成功しているのでは?と考えます。ただ、その理由を色々な人に聞いたところ、出てくる意見は概ね以下です。

1:車の性能が向上した

2:法律の改正による厳罰化

自動車学校のこれまでの安全運転活動が実を結んだ!といった意見は正直ありません。そうなれば、事実やデータではなく社会的な認知としては、例え結果が出ていても、教習所の存在意義は免許を取得するだけの場所と捉えられていると言えます

よって、このままいくと自動車学校の社会的な存在価値は益々低下し、免許取得の料金と効率性のみが重視されるようになります。業界全体がそうなった時に、一時的な勝者は出たとしても、長い目で業界の衰退を招いてしまう。だから私は自動車学校の未来を非常に危惧している。そう考えています。

私たちは、従来の教習において最重要視されてきた技術の習得を前提としつつも、さらに大切な人のつながりや心の教育をテーマにし、命の大切さを伝える活動を10年継続してきました。その結果、初心運転者の事故率は半減しました。

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今我々に、求められていることは私たちがどう社会に貢献していくのか、自分たちだからできることは何であるかを、免許業務という委託業務に依存するのではなく、その本質を見直し、形にしていくこと。それができなければ、社会から価値が認められなくなり、いずれ大きな社会変革が起こったときに、その変化の渦に飲まれていく。そのように考えるからこそ、

自分たちの業界への誇りと持つことと、本質と向き合うこと

その問いへ対して自分が今何をするべきなのかを決定していくことを大切にしていきたいと思います。

これからも、YOUTUBE「教習所チャンネル」始め、色々と楽しんでもらえる仕組みをつくり、業界に新たな付加価値を伝えていきたいです。


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