セン シラノ

短編小説、ひとりごと。食べることと、お酒が好きです。朝より夜の方が調子良いタイプです。

セン シラノ

短編小説、ひとりごと。食べることと、お酒が好きです。朝より夜の方が調子良いタイプです。

記事一覧

それを、愛と…

「もしもし…。」 夜、薄暗い部屋。 ベッドに座り、布団にくるまった私は、 スマホを耳に近づけた。 『…久しぶり、元気にしてた?』 耳に絡まる、、甘くて低い声…

9

私は、特別じゃない。

「8月、もう終わるのか…。」 独り言が、部屋にポツンッ…と落ちた。 クーラーの効いた部屋に寝そべり、 猫のような欠伸ををする、休日の午後。 私は、白い天井をぼー…

28

就活ゾンビ。

……うーん、、なんか見覚えある感じ。 面接会場に着いた私は、 エントランスの前で、足を止めた。 …そして、後ろを振り返った。 スーツを着た人間が、次々にやって来…

15

私は、猫にも犬にもなれない。

深夜、私は猫になる。 ネオン街の片隅。 ウイスキーとタバコの匂いが混ざり合う、 甘くて苦いステージ。 猫はここで、シャンソンを歌うのだ。 古いスタンドマイクに、…

17

いつもと変わらない、非日常。

目覚ましのアラームは、鳴らない…。 朝。ベッドルーム。 窓から差しこむ陽の光が、瞼を照らす。 セミの声や、小鳥のさえずりが耳に届く。 寝返りを打ち、うっすら目を…

9

夜の魔物。

「げつようび、またあそぼうね!ぜったいだよ…」 ……そう言い、お互いにハグをした。 子どもの頃、 金曜日は、永久の別れのよう…。 悲しくて、切なくて、寂しくて……

13

君と、黄昏ドライブ。

海岸通り。 夕焼けの赤と、夜の藍色が滲む空。 ヤシの木と、広くて深い海。 僕は、君を右側に乗せ、 海辺をドライブ。 ……何も話さないけど、心地良い。 カーステレ…

18

早川義夫と、私。

………ザワザワ、ザワザワ… 「 名前は_____。職業、趣味、兄弟は_____。」 …うわー、、…なんか、堅苦しい…。 都内の有名ホテル。 私は今、婚活パーティーに来てい…

15

思い出のレモンケーキ。

「アップルティー、…それと、レモンケーキ。」 午後の、北欧風カフェ。 私のお気に入りの場所。 休日はいつも、ここへ来て、 紅茶と、甘いスイーツを楽しむ。 ……心…

12

空の蒼さを知るカエル。

君が悲しいのは、 未来を信じていたから。 当たり前だと思っていた色彩が、 ある日突然、灰色になる。 真っ暗で、何も無い、 モノクロの世界。 思い描いていた未来が…

5

たった一つ、変わらないもの。

家の近く、小さな空き地。 小学生の僕らは、いつもここに集まった。 両親は離婚し、母子家庭。 家に帰っても、誰もいない。 学校にも、居場所が無い。 ……そん…

8

午後、ヒミツの逃避行。

「 すいませーん!チョコレートパフェ、1つ!」 ……はーい! 少々お待ちくださいねー。 駅前の、レトロな喫茶店。 私は、ここのアルバイト。 大学に行かず、就職も…

19

異世界と、訪問者。

……朝からずっと、動いていない。 ソファに座り、テレビを見続ける。 朝のニュース。ワイドショー。 録画していたドラマ、バラエティ番組。 映画のDVD、コンサートのD…

14

コッケイな彼女。

僕の目の前で、肉を頬張る彼女。 炭火の香ばしい匂い。 換気扇に吸い込まれる、白い煙。 店内で流れるJ- popと、騒がしい笑い声。 そんな中、僕らは個室。 ここだけ、…

13

妄想と夏、そして老い。

スイカ割り、かき氷、夏の恋、海、花火… あー! 泣 夏を感じたい! ……そんな私は、今、絶賛在宅ワーク中。 ここから見えるのは、パソコンと冷蔵庫のみ。 そし…

14

恋とそれは、、

誰もいない校舎、セミの鳴き声。 青空と、照りつける太陽。 夏休みなのに学校にいるのは、 園芸係の、水やり当番だから。 そして、…あの人に会う為。 ーーーーーーー…

12
それを、愛と…

それを、愛と…

「もしもし…。」

夜、薄暗い部屋。

ベッドに座り、布団にくるまった私は、

スマホを耳に近づけた。

『…久しぶり、元気にしてた?』

耳に絡まる、、甘くて低い声。

あの頃の思い出が、一気に押し寄せる。

…息苦しくて、切なくて、、

思わず、目をぎゅーっと、つぶってしまった。

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共働きの両親は、

忙しくなると、私を叔父に預けた。

叔父は、

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私は、特別じゃない。

私は、特別じゃない。

「8月、もう終わるのか…。」

独り言が、部屋にポツンッ…と落ちた。

クーラーの効いた部屋に寝そべり、

猫のような欠伸ををする、休日の午後。

私は、白い天井をぼーっと眺め、

この夏を思い出していた。

悲しくもない、嬉しくもない、

ただ、時間が流れるだけの平凡な毎日。



……人生は、特別なものじゃない。

小説や映画のようなことは、起きないのだ…。

一人暮らしの、狭い部

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就活ゾンビ。

就活ゾンビ。

……うーん、、なんか見覚えある感じ。

面接会場に着いた私は、

エントランスの前で、足を止めた。

…そして、後ろを振り返った。

スーツを着た人間が、次々にやって来る。

同じ服、 同じ髪型、 同じ顔…

…なんだっけ、これ、、

なんか見覚えあるんだけどなぁ。

虚ろな目をした人間が、

次々と、エントランスに吸い込まれていく…

あっ、、

そう、これはまさに、

ゾンビゲーム

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私は、猫にも犬にもなれない。

私は、猫にも犬にもなれない。

深夜、私は猫になる。

ネオン街の片隅。

ウイスキーとタバコの匂いが混ざり合う、

甘くて苦いステージ。

猫はここで、シャンソンを歌うのだ。

古いスタンドマイクに、赤いヒール。

長くて艶やかな黒髪に、厚い唇。

…そして、薄明かりの中で光る、濡れた瞳。

気まぐれな猫は、愛想と色気だけを武器に、

夜の街を渡り歩く。

そして、

ご主人様からエサを貰うと、すぐに、

……夜の果てに、消え

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いつもと変わらない、非日常。

いつもと変わらない、非日常。

目覚ましのアラームは、鳴らない…。

朝。ベッドルーム。

窓から差しこむ陽の光が、瞼を照らす。

セミの声や、小鳥のさえずりが耳に届く。

寝返りを打ち、うっすら目を開けると、

窓の外は、雲一つない青空。

そう、

今日は私の、特別な日…。

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キッチンへ向かい、ブラックコーヒーを淹れる。

…コーヒーの香ばしい薫りが、鼻をくすぐる…。

私は、ティーカ

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夜の魔物。

夜の魔物。

「げつようび、またあそぼうね!ぜったいだよ…」

……そう言い、お互いにハグをした。

子どもの頃、

金曜日は、永久の別れのよう…。

悲しくて、切なくて、寂しくて…、

バイバイの手が、弱々しくなる。

……空は、紅色。

夕日が、

僕たちの背中を、赤く染める…。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

子どもの頃、夜、

死ぬのが怖くて、眠れなくなったことがある。

「明日って、本当

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君と、黄昏ドライブ。

君と、黄昏ドライブ。

海岸通り。

夕焼けの赤と、夜の藍色が滲む空。

ヤシの木と、広くて深い海。

僕は、君を右側に乗せ、

海辺をドライブ。

……何も話さないけど、心地良い。

カーステレオから流れる、

君の好きな、ボサノヴァ。

アコースティックギターと、

ウッドベースの音色が、心地良い。

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海岸通りを抜けて、トンネルに入った。

真っ暗闇の中、

彼女の、揺れ

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思い出のレモンケーキ。

思い出のレモンケーキ。

「アップルティー、…それと、レモンケーキ。」

午後の、北欧風カフェ。

私のお気に入りの場所。

休日はいつも、ここへ来て、

紅茶と、甘いスイーツを楽しむ。

……心の糸が、緩んでいく…、

…私の、唯一の自由時間…。

そんなある日、

……私は、不思議な出会いをした。

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『…すいません、

ここの椅子、、座っても良いですか…? 』

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空の蒼さを知るカエル。

空の蒼さを知るカエル。

君が悲しいのは、 未来を信じていたから。

当たり前だと思っていた色彩が、

ある日突然、灰色になる。

真っ暗で、何も無い、

モノクロの世界。

思い描いていた未来が、崩れ落ち、

その先に続く階段を、作り直さないといけない。

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あなたの涙は、真剣に向き合った証。

自分の体よりも、大きなものと戦う時、

恐怖と不安が、足首を掴んで離さない。

思う

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たった一つ、変わらないもの。

たった一つ、変わらないもの。

家の近く、小さな空き地。

小学生の僕らは、いつもここに集まった。

両親は離婚し、母子家庭。

家に帰っても、誰もいない。

学校にも、居場所が無い。

……そんな、似た者同士の僕らは、

同じ苦しみ、同じ時間を共有し合った。

……リンだけは僕の味方で、特別な存在…。

…そう、思っていた。

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「すごーい!! …ねぇ、すごいよ!

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午後、ヒミツの逃避行。

午後、ヒミツの逃避行。

「 すいませーん!チョコレートパフェ、1つ!」

……はーい! 少々お待ちくださいねー。

駅前の、レトロな喫茶店。

私は、ここのアルバイト。

大学に行かず、就職もせず、

地元の喫茶店で、アルバイトをしている。

……何の取り柄もない、、

そんな私の、ある日の出来事。

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金曜日の、午後14時。

まだ、太陽が眩しい時間。

……カラン、コロン、

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異世界と、訪問者。

異世界と、訪問者。

……朝からずっと、動いていない。

ソファに座り、テレビを見続ける。

朝のニュース。ワイドショー。

録画していたドラマ、バラエティ番組。

映画のDVD、コンサートのDVD。

…ふと、気がつけば、もう午後3時。

遅めの昼食を買いに、

コンビニに行こうとした、その時、

…家のチャイムが鳴った。

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……ピンポン、ピンポーン。

ドンドンドンドン

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妄想と夏、そして老い。

妄想と夏、そして老い。

スイカ割り、かき氷、夏の恋、海、花火…

あー! 泣

夏を感じたい!

……そんな私は、今、絶賛在宅ワーク中。

ここから見えるのは、パソコンと冷蔵庫のみ。

そして、ノーメイク、メガネ、

髪は後ろで束ねただけ、ゆるい服。

…私の女子力は消えたのか?!

せめて、妄想の中だけでも、夏を楽しみたい!

せめて、妄想では、イケてる女になりたい!

…ということで、ただ今より、

「 夏

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恋とそれは、、

恋とそれは、、

誰もいない校舎、セミの鳴き声。

青空と、照りつける太陽。

夏休みなのに学校にいるのは、

園芸係の、水やり当番だから。

そして、…あの人に会う為。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『 だーーれだ!! 』

突然、視界が暗くなり、

目元に、柔らかい手の感触。

そして、耳をくすぐる可愛らしい声と、

甘い香り。

「……このみ、、せん、せい? 」

『 んふふ…、あたりー!

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