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 定年後に「年金をもらえるまで働きたい」と目論んでいる50代の方に、60歳以降の働き方「継続雇用」の実態を解説します。

1.高年齢者の継続雇用に関する実態調査

 定年制で定年が60歳の会社が多いです。61歳からの会社との契約は、「継続雇用」になる場合がほとんどです。それでは、気になるお給料、61歳時点の賃金を見てみましょう。
 61歳で継続雇用となったときの賃金は、60歳と比べて、78.5%、となり、21.5%減となっていることがわかります。これは、高年齢雇用継続基本給付金との関係もあるからでしょう。60歳以降65歳まで、下記の条件のもとに、継続雇用されている期間中に支給されます。
・雇用保険に5年以上入っていた実績が必要
・現在も雇用保険に加入している
・手続きは基本的に会社が行なうが、入金は本人の口座に入る
・以前の75%未満まで、賃金が下がっていないと対象にならない
・賃金の下がり方によって、貰える金額が変わる

 会社としても、賃金を75%まで下げられる、本人は、雇用保険で補填がある、という事情が透けて見えますね。

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独立行政法人労働政策研究・研修機構
調査シリーズNo.198
高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2020/documents/0198.pdf

 「なーんだ。じゃぁ、定年前と、そんなにお給料は変わらないから、安心だ」と思われたことでしょう。
 では、定年までである60歳前にさかのぼって、賃金をみてみましょう。
 多くの会社が取り入れている役員定年55歳の時点から、60歳の時点では、69.1%となっています。30.9%減(135.0/195.2)。

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独立行政法人労働政策研究・研修機構 早わかり グラフでみる長期労働統計
性別、年齢階級による賃金カーブ
[ 1976年、1995年、2019年 ] (一般労働者、所定内給与額)https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0405.html

 60歳時点では、新卒の給与の135ですから、35%増しくらいということです。さきほどの継続雇用の表では、61歳以降は、78.5%になるとでていました。ですから、135×78.5%=105.9%で、大体、新卒と同じくらいの給与ということが二つのデータから推測できます。
 もし、あなたが、70歳までの住宅ローンを組んでいたら、雇用保険の補填があったとしても、家計はきつそうですね。

2.定年後に継続雇用で働こうと思った理由

 次に、定年後の継続雇用者が「定年後に継続雇用で働こうと思った理由」について見ていきましょう。
 「生計の維持のため(69.3%)」が突出して多くなっており、以下「健康の維持のため(36.1%)」「社会とのつながりがほしい(30.2%)」となっています。

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東京都産業労働局「平成24年度 高年齢者の継続雇用に関する実態調査」より
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/jouken/h24/pdf/chapter3.pdf


もう一つ、同じ調査のデータを見てみましょう。

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東京都産業労働局「平成24年度 高年齢者の継続雇用に関する実態調査」より
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/toukei/koyou/jouken/h24/pdf/chapter3.pdf

※「大変満足」、「満足」、「どちらかといえば満足」を合わせて『肯定的な回答』
「どちらかといえば不満」、「不満」、「大変不満」を合わせて『否定的な回答』とする
〇「賃金」については、満足に肯定的な44.0%と半数を下回っており調査項目中で最も低くなっている。
 この2つの調査結果から、「生計の維持のため(69.3%)」に働くが、「賃金には不満(否定的な回答 56%)ということが見てとれます。
 あなたが経営者だったら、このような従業員を雇い続けたいですか?考えてみてくださいね。

3.これから激増する中高年齢層

 今後、人口に占める中高齢層は年を追って急増していきます。そうなると総人件費予算と組織の活力維持の要請から「生計の維持のため」「働けるうちはいつまでも働きたい(注)」という自己中心的な働き方をする継続雇用者に対して、年契更新時に雇う側から「意欲をもって働く」「会社の理念のために働く」など、新たな条件提示がなされることは、明白です。
 注:内閣府平成28年版高齢社会白書 高齢者の就業(1)高齢者の就業状況 ア就労を希望する高齢者は約7割 ★60歳以上の高齢者に何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか聞いたところ、「働けるうちはいつまでも」が28.9%と最も多く、次いで「65歳くらいまで」「70歳くらいまで」がともに16.6%となっており、就労を希望する高齢者の割合は71.9%となっている。「仕事をしたいと思わない」と感じている高齢者はわずか10.6%。

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内閣府「令和元年版高齢社会白書(全体版)」より
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/zenbun/pdf/1s2s_01.pdf

 提示される条件は年々厳しくなっていきます。目標達成のために利益を成長の源泉とする企業は利益創造のために働く者を必要としているのであり、生活費稼ぎの者のために賃金を払っているゆとりはないからです。
 換言すれば「ここに商機あり!」なのです。
 大多数の高齢者たちがこのような自分本位の意識で働いている現状においては、利益創造力のある者は、年齢に関係なく「稼げる人材」としてすべての「経営者から引っ張りだこ」になるということです。現組織で売り込むもよし、組織外に飛び出して売り込むもよし。年齢に関係なく「働けるうちはいつまでも辞めてもらっては困る人材」たれば、「望み通りの収入を得られる仕事」が経営者から用意されるのです。プラス思考で考えることによって活路はいくらでも拓くことができます。

 日本は2007年から「超高齢社会」になりました。これから40年間の長きにわたり「超高齢社会」が続きます。人口ピラミッド 2020年です。

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 「人口ピラミッド2020年」の生産年齢人口(50歳代~40歳代/第二次ベビーブーム)が20年後に「人口ピラミッド2040年」の前期老年人口に移動してきます。中高齢層は今後40年間にわたって激増します。40歳以上の者には厳しいサバイバル競争(生存競争)が40年以上に渡って続くことを覚悟してかからねばなりません。「経営者から必要とされる人材になる」「生涯現役」を実現するための準備は「早ければ早いほどよい」のです。

 人口ピラミッド 2040年です。今、50代の方が、70代になっているときです。

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日本人の平均年齢 国立社会保障・人口問題研究所による推計 2013年 45.5歳 2020年 46.7歳 2040年 50.4歳

◆「人口ピラミッド2040年」の女性75歳~95歳の層は長寿化によって95歳から箱型(肩が張っている)になっていることにも注目。さまざまなビジネスのネタになるでしょう。

4.生涯現役で働くにはキャリア・カウンセリングを!

 自分らしく働き続けるには、どのように働きたいか、キャリア・ビジョンを自分なりに決めることが大切です。
 60歳以降、「生活費のために働く」でも「賃金に不満」そうならないように、「したい仕事をしている自分になる」準備が必要です。
 この定年後の給与の実態を見て、「なんとかしなくては!」と思った方は、プロのキャリア・カウンセラーに相談してください。
 活き活きしたキャリア・ビジョンを描ければ、目の前の仕事にまい進できるというもの。これからのキャリアに不安に思っている方こそ、すぐに相談してくださいね。

「50歳からの人生を再構築するキャリア・カウンセリング」

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