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家庭医的かかりつけ医のできることって何?

最近考えること

久々の更新になりました。
最近ふと、かかりつけ医ってなんだろうって考える。
総合病院をかかりつけとしてもっている人は緊急の時対応してもらってないし、ワクチンもうってもらってない。
専門医にかかっている人は良くなっていないのにそのまま。悩みを抱えているのに悩みを話せていない。話したらダメだと思っている。
こんなことが毎日ある。

そんな診療をしていると考える。
僕が家庭医としてかかりつけ医になって提供できるものはなんだろうと・・・

僕の外来には色々な人が来る。
血圧
糖尿病
検診異常
貧血
不安
心配
うつ
痛み
怪我
などなど

外来にくる人の中にはかかりつけ医を持っていたり、専門家にかかりながらも同様の症状をうちに相談しにくる人もいる。
一方、どこに行っていいかわからず、とりあえず相談しにきたという人や色々なところで断られて途方にくれてたどり着いた人もいる。

プライマリ・ケア(みなさんが最初に困って病院に行こう!と思う日常的な困りごと)の専門家として何が提供できるだろう。

かかりつけ医として提供できる役割

1.総合診療的診療

まずは、専門医としての医療提供。
臓器別としての専門はないけれど、診療科にかぎらず診るという強み
皆さんが日常で困るような症状を診る
あなたの言葉を、病気を、困りごとを整理して、診断して治療する。
プライマリ・ケア機能以上の検査・治療が必要であれば紹介する。
専門医に行って治療が落ち着けば、また、戻ってきて治療を続ける。

一つの疾患だけでなく、多種多様な疾患、複雑な背景をもち、いろんな薬を飲んでいる人ほどプライマリ・ケア医としての腕が必要とされる。

最初のゲートキーパーであり、最後に行き着く最後の砦でもあると思う。
どんな時も投げ出さず、最後まで辛抱強く関わっていく。
生まれてから、死ぬまでをカバーすることを続けていくことを大切にしている。

2.医療の「ハブ」的役割

診療所で対応できないものは専門医に紹介する。
紹介して終わりというわけではない。
紹介しても紹介先と相性が合わない場合は、また、戻ってきて相談してもらう。
しっかり落ち着くところまでは繰り返し対処する。

そして、紹介先で治療が始まっても、必要であれば受診してもらい、心配や治療の選択などの相談にのる。ある程度専門的な治療の知識もあるので、専門医の治療説明の補完や患者さんの不安に対処していき副主治医として遠くからサポートする。

落ち着いたら戻ってきてもらい、またかかりつけ医として治療していく。

診療所を拠点に医療情報を集約して医学に関する情報管理をアウトソーシング先として「ハブ(健康拠点)」的な役割を果たす。

3.ヘルスパートナー的役割

何かがあった時のとりあえずの相談先になる。
どこに行っていいかわからない症状や悩みをとりあえず相談する相手。
診療所で解決できれば解決する
解決できなければ適切なところに紹介する。
紹介先で解決しなければ、また、次を探して対応する。
決してうちではないと断らないことを大切にしている。
解決できない問題もある。
その時はわからないなりに一緒に苦悩を共有しながらサポートしていく。
ヘルスパートナーとして一緒に人生を歩んでいく役割となりたい。

4.Be There (そこにいる存在としての役割)

治らない病気、治りにくい病気、治せない病気。
どんな時もそこにいる存在になること。
一度離れても、また気軽に戻ってこれる地域に長くいる診療所。
普段は違うところに行っていてもここぞという時に相談できる場所。
いつでも駆け込める場所。
開業医としては若い年齢。だからこそ長く地域にいられる。
Be There そこにいる存在としての役割も地域医療には大切だと思う。

できないこと

1.たくさんの検査はできない

うちはレントゲンやCTはない。
プライマリ・ケアの現場ではそれほど必要になる場面は多くない。
あまりレントゲンを撮って大きく方針が変わるような疾患はプライマリ・ケアの現場では多くない。
レントゲンを撮って大きく方針が変わるような疾患を疑う場合は専門医に紹介になるからだ。
総合病院や大きな病院のようにたくさんの検査をしたい人もいる。
その場合は専門医に通院する方がおすすめ。

余計な検査も必要以上にしないのもかかりつけ医としての役割。
診察を丁寧にすることで検査が必要ないことも多いから
検査もやればやるほどお金もかかる。やっぱり最低限にしたいところだ。

2.余計な薬は出さない

これは僕の考え方。
余計な薬は害でしかない。
薬を欲しがっても余計な薬は出さないようにしている。
グレーな部分もある。メリットもないけどデメリットもそれほどないという場合。
その場合は話し合って決めていく。
話し合いがめんどくさくて薬だけ欲しい人は僕と合わない可能性もある。

3.すごく専門的な治療

がん治療をはじめとしてすごく専門的な治療はできない。
それは専門家の領域でお願いしている。
できない時は僕がやらない方がいいと伝えるようにしています。

最後に・・・大事にしていること

対話すること

わかること、わからないこと、推測できること、確定していること。
しっかり伝えることにしています。
自分が今どう考えどう治療したいのか。

一方、僕の外来で患者さんは「どうしたいですか?」「何を考えているか?」「心配はないか?」をよく聞かれます。
あなたがどう考え、どう生きていきたいか、何が不安かを含めて、選べる治療の選択肢から貴方にとってのベストな選択肢を選んでいくことを大切にしたい。
意思が途中で変わっても変わっていくプロセスも大切。
腹の中に言いたいことを抱えたまま、色々言われないことがあとから一番困ることが多いのです。

プライマリ・ケアでの治療は医師が一方的に薬を決めて、処方して終わりということはありえない。入院での治療と違って、病院に行ったから治療がすすむ、体調がよくなるというものではない。

外来ではできるだけ話し合って方針決める。
決めたことを実行してもらわなければ治療にならない。
処方をしても患者さんがきちんと薬を飲んでくれなければ、
何もしていないのと一緒。
僕が治療するのではなく、患者さんと一緒に治療していくものだと思っている。
できるだけ言いたいことをいって納得して協力してください。
僕も提供できないものはできないと言います。
お互いの納得できる選択で進めるのがプライマリケアでの治療の大切なところ。

そのためには患者さんと一緒に対話する空間を作っていくことが大事。
僕が話そうと思っても、相手が話してくれなければ対話は成り立たない。
まずは話し合うことから始めていく。

僕も全てがわかるわけではなく、悩んでいることもある。
その時は何に悩んでいて、どう考えているのかを伝えるようにしている。

医師が悩んでいると不安になる人もいるかもしれないが、変に肩肘はってすごく見せようとするよりも等身大の方がいいかなと思っている。

僕と患者さんとの関係も人と人の関係。
僕と相性悪い人もいるでしょう。
その際は最後まで責任持って、次の医師に引き継ぎます。
求められる限り、僕から放り出すことはしないと決めている。

その辺も気軽に相談してください。

本当にできているかわからないけど、できるように頑張っていきます。

こんなところで良ければ通ってください。

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