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ホテル絵日記/Majestic Hotel Saigon

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ホーチミン市中心部の繁華街ドンコイ通りには、国営サイゴンツーリスト社が経営するクラシックホテルが3つあります。
カトリーヌドヌーブ主演の映画「インドシナ」の舞台にもなったContinental、最近増築して巨大ホテルになったGrand、そして開高健が戦争中に泊まって、砲撃の音を聞きながら原稿を書いたっていうMajesticです。
どこも直営なので欧米系インターナショナルブランドのホテルと比べると、ハッキリ言ってアカ抜けてない感じはします。ロビーに変色した絵ハガキなんかを売ってるさえない土産物屋があったり。
格式的にはここが一番でContinentalが次でGrandはどうかな。10年前に泊まった時には半地下のかび臭いプール更衣室が男女一緒で、困惑した記憶があります。

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建築的には1階のアーチが連なるファサードが美しく一見の価値はあります。中のロビーもバロックというかロココ町というか、コテコテの装飾が見事です。
でも泊る価値があるかどうかは意見が分かれるところでしょう。
廊下がやたら長くて、暗くて、部屋も古臭くて特に面白いところもなく、バスルームなんか今じゃあり得ないレイアウトだし、川側の眺めのいい部屋以外は見るべきものはありません。
古いホテルもどんどん改修しないと時代から取り残されるいい例です。古さを活かしたウマい改修が望まれます。

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こういうクラシックホテルに泊まる楽しみは、そこにある歴史の重みのようなものを見て、その場所に流れてきた数奇な時間に思いを馳せることです。
入口のドアに誰かが定宿にしていたこととして何とかSuiteと名前がついていたり、戦争中の砲弾が撃ち込まれた痕がガラスで囲まれて見えるようになっていたり、バーで有名人が注文してその後名物になったカクテルが飲めたり。それ自体はどうってことないけど時間の堆積みたいなモノが見えるワケです。

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ここで言うと開高健が泊まっていたのは103号室。ちゃんとプレートが出ています。ガイジン客はなんのこっちゃと思うでしょう。
ハノイのメトロポールは地下に防空壕の跡があって見学できるようになってるらしいけど、ここにはそこまでのものはありません。
負の遺産も含めていろんなものを残していくのは大事なことです。ワタシは古いホテルに泊まるとホテル中を歩き回って探します。怪しまれない程度に。

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部屋については長さより幅の方が大きいベッドですかね。特に目を惹くのは。
こういうのを本当のキングサイズっていうのか。実際のところはセミダブルを二つくっつけているだけです。
因みにベトナムではシングルの部屋っていうのは基本的にありません。ベッドの種類による区分ではツインかダブル。要はくっつけるか離すかです。一人で寝ようが二人で寝ようが、ホテルとしては知ったことじゃありません。
くっつけても毛布とか掛布団は二つに分かれている場合があります。ハリウッドツイン、またはジャーマンツインと呼ばれます。夜のイトナミと健全な睡眠を両立させた一番合理的な形といえましょう。

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