Noteと人インタビュー#1「官能小説を書き始めて、初めて女で良かったと思いました」ぽぷ/官能小説家の卵

ぽぷさんが初めて官能小説を書いたのは、30歳過ぎてからのことだった。欲望の抑圧、解放を経て、喜びに満ちている今の彼女に対して、できるだけ素直に伺おうとした。もちろん、性的な内容も多く含むので注意してほしいが、いたってまじめな内容なので過剰な警戒は不要だ。下ネタに関わる話も、かわいさや愛情が基調になっていて、どこかやさしい。念のため、性的な用語に明るくない人向けに、文中の用語には簡単な解説(※印)をつけておいた。インタビューは、5月11日、とある水辺の公園と東京を結ぶSkypeにて行われた。(本文3909字はすべて無料)

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もともと官能小説じゃなくて小説を書きたいというのが先にあったんです。サブカル系がずっと好きで、松尾スズキさんみたいなポップでドロドロでみたいな物が書きたかった。でも、毎日頑張って書いても上手くまとまってくれませんでした。

きっかけはゲームシナリオのお仕事です。お客さんからちょっとエロいのを書いてみて、というリクエストが何回かあったんですね。がっつりエロじゃなく、Bぐらいの描写で、ちょっと色っぽいものが欲しいと。そこで鍛えられたというか、自分の中の新しい扉が開いていった感じで。

そんなことを2年位やっていたら、1年半前に貧乳萌え(※小さなおっぱいに対する嗜好)をすごいこじらせちゃって。でも、貧乳ものは余り見付けられなくて、妄想のエピソードが溜まって行きました。それで、半年後の去年の7月に自分で書いてみようかな、と初めて官能小説を書きました。

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官能小説歴は短いんですけど、高校生のときからエロストーリーを妄想で作っていたんですね。完全な脳内完結で、1から設定もキャラも展開も全部組み立てたオリジナルストーリー。自分のための妄想なので、どうしたらエロくなるかだけを考えて、最後まで話を作っていました。それを1週間ぐらい妄想し倒して飽きてきたら、また次のネタを考える、という繰り返し。毎週のように脳内で新作をリリースしているような状態でしたね。当時は漫画家志望だったんですが、画力が無いのもあって、書こうって発想はありませんでした。

官能小説を書き始めてから、「そういえば、昔は毎週のようにエロ話を作っていたじゃないか!」と気付いて。ただ、当時のネタはいくつか覚えていますが、今の自分にはあまり魅力がありません。そのうち使おうかなとは思うんですけど。

そんな風だったんですけど、エロを書き始めてから急に道が開けてきた感じがあって。流れがすごいなーと思って。エロ小説を書き始めたのが去年の7月で、10月にアダルトゲームのシナリオのお仕事の話が来て。サイトを作ってなかったり、小説書いてなかったら、お仕事も頂けなかったかもしれません。絵、漫画、小説、写真など、創作活動は小6の頃から色々とやってきたんですが、一番反応が良かったのがエロ小説なんです。これだって思いました。今は官能小説を書いて生活できるように、それしかない位の気持ちで頑張っています。

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普段は、朝の4時から6時頃に起きて、午前は9時10時ぐらいまで、午後は2時から5時位まで書いています。書けるときは夜も書きます。好きなタイプの貧乳ちゃんだとすぐ書けるんですが、あまり興味のない巨乳ちゃんだと、時間がかかってしまいます。そのキャラの良さを掴めないと、うまくキャラが動いてくれないんです。それに、好きなものじゃないと生きてる文章にならない。先日書いた投稿用作品では、ウケ狙いの下心で苦手な巨乳ちゃんを入れてみたら、良さは表現できてないし自分でも盛り上がらなくて、やっぱりこういうのは良くないと反省しました。

小説は内側から感じれることが書けるし、読めることが醍醐味です。特に官能小説ではそう思います。動画や漫画、イラストも見ますけど、それらは表面的な動作や表情しか見えないから、そこから自分がどれだけ読み取れるかに掛かっている気がします。例えば動画だと女の子が凄く汗をかいて辛そうにしていても、見てる人がそこに気付かないと分からない。小説は一行ずつ追って行ったらそういうところも全部事細かに描写されているし、官能小説だと書き手がどこをどうエロいと思うのかってことを幾らでも書ける。体がぴくっと痙攣しただけでも、こんな感じでやらしい気分だからこうなったと、そういう事が書けるし、読む方もいいのかな。書き手のフィルターが他のジャンルより濃い所が魅力ですね。

作品の登場人物は自分と重なっていると言えば重なっているし、男も女も自分と言えば自分です。それから、自分の身体を資料として使うこともあります。例えば、おっぱいの感触が判らない時は、試しに自分の胸を揉んでみます。そういう事もあって、官能小説を書き始めて、生まれて初めて女で良かったと思いました。それまで女に生まれた事がずっと嫌でしたが、あ、なんだ、このために女に生まれてきたのかもって。そう思いました。

私の場合、シチュエーションとキャラと設定はセットで、こういう子がこういう感じになったらエロいんじゃない?って所から始まります。最初は大まかな流れ……プロットを作って、エロに入る導入部を順番に書いて行く。こういう世界観だっていうのを分かってもらわないと、後々のエロが活きないので、できるだけポイントを絞って書きます。その後の行為の執筆ですが、そこは最初、ばーって書ける所まで書いちゃうんです。自分の夢を詰め込んで「萌え!」の気持ちで突っ走って書く感じでしょうか。それでも、やっぱりいつかは筆が止まるので、その時により細かいプロットを書いて、それに沿って書いて行く、という繰り返しです。

行為の流れもプロットで詳細に書いています。そのプロット書いた余白の上に、さらにああしようこうしようといっぱい書き込みます。もっと詳しく書くとか、もっとこの子の可愛さを考えてとか。楽しく書くこと!といった意識や、もっと五感に訴える描写を!……といった反省を添えることもあります。

他には、棒人間で体位を描いて、無理のない動きかどうか整理しますね。出来る場合は自分で確かめたり、家にあるぬいぐるみを使って再現したりもします。具体的には、今は3Pを書いてて、どっちを上にして頭を右向きにするか左向きにするか、ですね。これで流れが変わっちゃう気がするので、そこを常に確かめながらやっています。戦闘場面を書くのと同じ要領でやっているつもりです。

エロはバトルなんです。体と体のぶつかり合いなので。ゲームシナリオの仕事は戦闘モノが多くて、描写力が鍛えられました。そのやり方を応用して、戦闘場面のように濡れ場を書いています。シナリオのお仕事がなかったら多分、エロを書かなかったと思うし、書けなかったと思いますね。推敲は出来ても4回か5回でしょうか。投稿の締め切りに合わせようとするとその位で限界になってしまいます。シナリオの仕事をやることで、期日内に仕上げる、という感覚が分かるようになりました。

効果音や行為中の声は、読み直してイメージが違う時は直します。それこそ戦闘場面と同じなんです。槍で突かれたときと魔法を食らった時とで、「ぎゃー」っていう声は違うじゃないですか。突かれたらこういう声が出るだろうな、とか、掻き回されたらこういう声が出るだろうな、とか。体に何か刺激を受けたときに対する声の反応なので、バトルと同じ考え方なんです。ただ、声は所詮表面上の反応なんですよ。官能小説を書いたり読んだりしていて、おお!と思うのは別にあります。嬉しい、嫌だ、緊張してる、気持ちが良いから中がきゅっと締まる、気持ちよすぎて辛いからこうなってる、みたいな様子を、声を使わずに比喩などに託せると思っています。なので、今後は声以外の反応をもっと磨いていきたいです。

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貧乳自体は小5か小6の位から好きでした。何もなさそうな所に見い出す僅かな膨らみ。なさそうだけど、そこにある、という控えめな主張。侘び寂びに通じる感じで。何でもかわいいものが好きなんです。ちっちゃいものはカワイイって価値観があるじゃないですか。ミニチュアかわいい、みたいな。

大きさですが、まったくぺったんこじゃなくて「ちょっと」が良いですね。自分で「Bカップある」と言っているけどAカップ位の膨らみ「頑張ったらBあるもん」って言ってる。でも男の子からは無いってからかわれる位のサイズが好きなんですね。このまえ女の子の友達に、貧乳好きな人って高身長の貧乳でも好きなのかな?と聞かれて、「そんなの、好きに決まってるじゃん!」と。高身長の貧乳の良さは、大人のお姉さんなのにただ一つだけ大人じゃない部分がある、みたいなギャップです。

あと、自分はおっぱいの肉より、乳首に魅力を感じるんです。貧乳の無さそうで在る胸を無理矢理寄せるなり何なりして、おっぱいを見い出した上で乳首が目立って来たら凄く萌えます。なのでエロ絵でもエロ動画でも女の子の乳首が立っているかどうかに注目するんです。貧乳のパイズリ(※セックスにおける乳房を使ったテクニックのひとつ)もすごく好きなんですよ。すごく可愛くて、頑張っている感が。この辺りが最近のツボですね。

そして、そういう妄想はリアルには持ち込まないようにして、区別しています。直接の友人知人の妄想はしないタイプです。

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官能小説を書いてて思うのは、自分らしく生きることが一番だなって。世間体とかそんなところに幸せはないって。それはもう皆様に強く言いたい所です。自分に正直になって色々やってみた結果、すごく楽しいです。

今まで、守りに入ったり、打算的に生きてきたりしてきました。下ネタを言ってるともてなくなるとか、恥ずかしいとか、小説家として純文学の賞を取りたいっていう憧れとか、そういう見栄や目先の欲望のために守りに入っていた気がします。

私生活で色々あって、長い間、抑圧されていたんですが、そういうことを経て、自分らしく生きようと思って。本当の自分を晒して、退く人とは付き合う必要はないかな、という気持ちで官能小説を書いています。

今後の人生は、死ぬまで「エロスとは何ぞや」という事を追求してやって生きたいと思っています。「生きるエロ辞典」みたいなおばあちゃんになりたいです。とりあえずそんな方向で!

*** ご案内 ***

ぽぷ

note  https://note.mu/cure_pop

お読みいただきありがとうございました。インタビューはここで終了です。完結しています。ここからの有料部分は後書きです。インタビューを読んでぽぷさんを好きになってほしいけど、せっかくのnote、ちょっとお金も得てみたい。大層なものではないので、応援、投げ銭感覚でどうぞ。

ただし!アンロック式の特典があります。一人でも購入者がいた場合、ぽぷさんの直筆のプロット(ブロマイドではないですよ!)を特別に1ページ分、有料エリアに公開いたします。小説を書くときに作家がこしらえるというアレです(インタビューにも出てきましたよね)。インタビュアーの私も今からとても楽しみな代物です。というわけで、どなたか、ぜひご購入を! もしたくさんの方にご購入いただいたら、さらにさらに! 半年後ぐらいに後日談を聞く計画も練っております。

前座ともいうべき後書きは、今回のインタビューのスタッツや感想などです。それから逆質問への回答もあります。もっとも、あまりに不意をつかれて、気の利いた回答ではないので期待はなさらず……。

今回の逆質問

「下ネタをいう女性って、男の人からしたらすぐ行けそうって思いますか?」

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