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一人より二人がいいさ二人より三人がいい

一つ、大きな山を越えた。

本当に山なのかどうかはわからないけど、とりあえず、俺の中で不安の小波を起こし続けていた案件が終わった。

終わってみれば、大きな困難や大きなトラブルは無かった。でも、いつも『未知』という何らかの不確定要素を孕んでいたのも事実だ。何も無かったのも、ただただ運が良かっただけと。その運のよさを、あたかも努力の結果手に入れたものだとか、人より優れているから手に入れただとか言えるくらいの自信が俺も欲しいなとは思うけど、全くそうは思えない。ただひたすら、運が良かったと思えるような俺たちにとって良い方向の偶然がたくさんあっただけだ。

それもこれも、別に自分達の力では無い。そもそも、俺たちに協力してくれた人がいるからこそ生れた話だ。その人を抜きにしては今の俺達を語ることはできない。これは大袈裟な話でも何でもなくて、単なる事実としてそうなのだ。自分達で成し遂げたとか、自分達が頑張ったからできたんだとか、そういう事をやりがいとかモチベーションにするのも良いとは思うけど、自分達以外の力がどの程度関与していてどうしてこの機会に与れたかなんてことをちゃんと考えるのも必要だと思っている。

元々、俺は当初この話を断ろうと思っていた。なぜなら、「できないかもしれない」という強い不安に襲われたからだ。でも、今となっては、終わってみれば「あの時、俺、日和っていたよね」の一言で笑い話になってしまうような感じだけど、あの時感じた不安と同じような類いのものはあれからずいぶん時間が経ったけど全然無くなる気配はない。それどころか、不安は前よりも確実に大きくなっているし、悪いイメージはいつだって何にだってつきまとってくるようになった。

だけど、それを真正面から受け止めてもお釣りが来るどころか、そんな不安がバカらしく思える事がたくさんあるのだ。仲間と一緒だったら。こんな風に書くと、いい歳ぶっこいて何が「仲間と一緒だったらだ」みたいな事をつい思ってしまいがちなんだけど、不思議と今はそんな風には思わない。仲間と一緒だったら、本当に、俺の不安が杞憂に終わると信じられるのだ。俺が不安を感じるかどうかは俺の性質だから不安な気持ちはもうしょうがない。一大イベントの前の晩になるとよく眠れないのも仕方ないし、大仕事の真っ最中にごはんが喉を通らなくなるのも仕方ない。だけど、それは俺個人の気持ちなだけであって、俺達の会社としては、全然大丈夫なのだ。

俺の仲間は凄い。仲間を個人としてみても充分凄いけど、合わさった時のパフォーマンスの高さは本当にすごいのだ。俺達が揃えば、大抵の事はできちゃうのだ。そこに、おれ自身も組み込まれていて、ちゃんとそのハイパフォーマンスの一翼は担えているんじゃないかとようやく少し思えるようになってきた。それが昨日の出来事だ。

もちろん、引き受けたからには、やる前から出来るにきまっているし、出来ないわけがないし、出来るように整えて本番を迎えるのは当たり前だ。だから、出来ると思っていた。でも、俺が想定できていない、全く見えていない何らかのリスクについてとても怖かった。でも今は、それについても、多分大丈夫だと思える。想定できていない、不測のリスクについても、未然に防げるだろうし、もし、それが現実に起きたとしても即座に対処ができるだろう。そんな、何の物的確証も無いことを、心のそこから信じられるようになったのだ。

こっから先は、マジですごいことになる予感しかしない。今は、誰よりも、俺が一番俺達に期待しているのだ。