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母からのマウント

今朝母からのLINE『懐かしい写真が出てきたわ。30年前パリに一緒に行った時の。若いわ〜まだお母さんが今のshiosaiの年だった。どっちが綺麗かは微妙笑』

どっちが綺麗かは微妙…そのひとことでLINEの返事が出来なくなってしまった

美人で参観日に来ると自慢の母だった
お母さん綺麗だね!友達に言われるのが嬉しかった
優しくて頑張り屋で
そして恋をしてる人だった

バツイチの母には恋人がいた
ダブル不倫からのスタートが
25年の歳月を経て50歳を過ぎ
彼の離婚が成立し、再婚した
その時私はすでにお母さんになっていて
私より新婚の母を祝福した

彼は母を心から愛し抜き、今春命を閉じた
おしゃれで美しいものが好きだった
服を見立てるのが好きで
私や母によく買ってくれた
試着すると『後ろ向いて』 『ちょっと襟立ててみて』 『これ羽織ってみて』
アレコレ言いながらジロジロ見て
お眼鏡にかなうと買ってくれる
『これはお母さんの方が似合うな』
『この雰囲気はお母さんよりshiosaiだな』
悦にいっている父と、大袈裟に喜ぶ母
どっちにも機嫌良くしていて貰いたい私

私はこの時間が嫌いだった
自分ではおよそ手が届かない値段の服
お眼鏡にかなえば買ってくれる贅沢品

でも、母と私を見比べジャッジする彼の姿
自分には買えないものだから、それが好みでなくとも従う調子の良い自分
私が大袈裟に喜びを表現出来ないと、慌てる母

今思えば、喜ぶのが下手なのはこの時の記憶からかも知れない

私はあの時の私ではない
それなのに、母が私と母を見比べて
どっちが綺麗か?言う事にまだ傷ついてしまう

お母さんの方が綺麗だよ
もう、それでいいじゃん
77歳になっても娘と女として勝負したい母

圧勝でいいよ

私ははなから勝負なんて望んでないもの