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Developper ma créativité

去年の旅行記をどんどん書いていくつもりが、
文章をやや骨太に綴ることを避けておりました。

今や世界中での未曾有な状況から、
そもそもアレルギーでも花粉症でもない私が、
機会が減ったとはいえ、外に出かけるのにつけるマスクが無くなってきて、
ウェブを検索してあちこちのパターンをダウンロードして作ってみた。
それが4月4日のこと。

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これは4月4日のインスタグラムのストーリー。

自分のみに作るつもりだったので、材料もそんなに買わなかったし、
頂いていた型紙もこのままだと使いづらいから、改良しようと思っていたときに、
こんなtweetを目にしました。

この方は陸上長距離で競技活動をしている女性で、
2014年に故障の悪化などで一度現役を引退しながらも、
2018年に競技復帰をし、2019年のアジア選手権10000mで銀メダル獲得。
今年の1月にハーフマラソンで日本女子新記録を樹立し、
本来あったはずのオリンピックの出場を目指していました。

そんな人が苦手と言いながら、自分でマスクを作っているところを見て、
仕事で着るものを作ってきた私の考えで、マスクを作ってみることにしました。

ということで、旅行記を中断して、
マスクを製作して提供してきたこの2週間弱の振り返りです。


オリジナルパターンの開発
4月の最初の週末にオリジナルのパターンを作り始めました。
そもそもマスクは鼻と口を覆うものですが、
それが顔のかたちにあっていないと着用していて不都合も多いので、
作るならばその部分は解消すること。
布で作る限り、使い捨てマスクの代用の形ではなく、
顔を包む衣服として作ろうということです。

そして、使い捨てマスクの構造とは違う方法で、
顔の形を美しく見せることを意識しました。

そんな中、思い出したのが「ナウシカの瘴気マスク」です。
いわゆるガスマスクの形で個性的に見えるかもしれませんが、
形状としては顔の骨格や筋肉の構成に合わせやすいと思ったのです。

顔に沿ってハマるように着けていながら、
その中で会話をするという運動ができるようにするゆとりも必要で、
口周りのゆとりはすごく意識しました。
他の人が作るマスクよりも大きいような気がします。


30枚の「提供」
出来上がったのですが、私の顔に合わせて作るしかなかったので、
本当にこれがいいものなのかどうかわからず、
これを4月7日に「提供」という形で30枚作ることにしました。

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インスタグラムのストーリーより。

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着用状態の説明のために適当に撮影したセルフィ。

リモートワークの移行も推進され、
もう少ししたら使い捨てのマスクも流通されるだろうと思っていて
当初30枚も作ることはないだろうと思っていましたが、
実際にこれを着けて出かける少ない場所で会う人に、
ご希望やお問い合わせをいただくことが多く、うれしかったです。

そして現在は30人のモニター分のお申し込みを締め切りました。

大抵、希望される方から「お金を払う」とか「いくらですか?」と
金額に対してのお申し出やお問い合わせがあったのですが、
初めて作って提案したものに、すぐにお金をいただくことは抵抗があったので、
全てお断りしていますが、中には材料の提供や買い出しを
サポートしてくださった方がいて、そのことは本当に嬉しかったです。

マスクを作りながら考えたこと画像4

一部の人が慌てて、布マスクを必要としているようにも見えて、
そもそも鼻や口を覆うのに、マスクでなければいけないの?って
そんな考えでスカーフや手拭いを顔に巻く人もいるだろうし、
(私としては、それが正しいと思います。)
つけるならば、自分がつけたいマスクをつけたいという人もいると思います。

私はこのガスマスクの形のマスクの他に、
いわゆる中央を縦で接いだ立体の布マスクを作っています。
このパターン構成で作るマスクは生地の柄が綺麗に見えるので、
今まで私にタンゴドレスをオーダーしてくださったクライアントさんに
生地が余っている限り、今までのお礼として送っています。

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もう使われることのない、展示会のフライヤーと共に発送しています。

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こちらは大人用が余った生地で作った子供用

生地が手元にある場合に限って、マスクを作って送っているので、
全てのクライアントさんに行き渡らないけれど、
受け取ったクライアントさんは、
久しぶりにドレスに袖を通してセルフィのマスク姿を送ってくださいます。

私にとっては、それは当たり前のことでしたが、
それをSNSでみた世界中のTango Loversの中には、
ちょっとしたショックもあった模様です。

ここで、英語とスペイン語ですが、そんなマスクを作った私の思いを掲載します。

If I live my life the same way every day.
If time flows in any way, shape or form.
I want to live my life surrounded by the things I've chosen with own pride.
Even if we are able to take back the time to dance tango.
We would not be able to let go out without our masks soon.
Because everything doesn't change all of a sudden.
When I take back the time, what would I choose to wear?
To be able to be proud of the act of choosing clothes, not inertia.
I would not like to wear a disposable mask with the dress...

Si vivo mi vida de la misma manera todos los días.
Si el tiempo fluye de cualquier manera o forma.
Quiero vivir mi vida rodeado de las cosas que he elegido con orgullo.
Incluso si podemos retroceder el tiempo para bailar el tango.
No seríamos capaces de salir sin nuestras máscaras pronto.
Porque todo no cambia de repente.
Cuando retrocedo en el tiempo, ¿qué elegiría para ponerme?
Poder estar orgulloso del acto de elegir la ropa, no de la inercia.
No me gustaría llevar una máscara desechable con el vestido...

今、直面してるのは、新しいウィルスで、
それに対する対策も予防法もどれが本当に正しいかなんて
誰にもわかることではないけれど、
恐怖や最悪の事態ばかりを考えていくのは、きっと消耗すると思います。

移動の自由を制限されるということは、
誰もが生きてきて初めて経験することだと思います。
うちにいなければいけないけれど、誰しもに平等に時間が流れていきます。
それでも、自分がどうあるのかということを選ぶことは自由です。

毎日、必ず服を着ます。
私も家にいるからと言って、その行動が惰性にならないように、
気をつけていきたいと、これを書きながら思っています。
服を選ぶことだけでなく、全ての行動を惰性に委ねなければ、
たとえ動けなくても、自分に訪れる時間は変わるはずです。

私が作ったマスクが、これからいつまでかわからないけれど続く日常の
「動かなければならない」という時間を過ごすために、
そして、医療事業者に1枚でも使い捨てマスクを届けるために
存在する価値がある衣服であったら、本当に嬉しく思います。
それが30名というモニターの方々のみでも。

今後のマスクの製作と提供について
正直に申し上げますと「未定」です。
今、数多くの日本企業がマスクを生産することに
尽力を注いでいるはずですし、そろそろ流通も再開すると思います。
買い占められるという状況は緩和されると思います。

布マスクを今後も必要にする人がどれだけいるのか?
それとも今回私が作った布マスクが良かったから、
これからも使っていきたいと思うのかどうか、
今のところ、私にもまだわからないのです。

こうやって作ったものが、使わなくていい時が早く来ればいいと思うし
それまでは使い捨てでないものを使うことも、悪くはないのかなとも思います。

ただ、これから提供する際は「販売」という方法を検討します。

最後に
30名のモニターを締め切ってから、
オリジナルマスクのお問い合わせをいただいた方には恐れ入りますが、
今の状況も今日正しかったことが、明日には違ったということもあるくらい、
私の製作の状況や材料の入手環境も、確実に確保されているものではありません。

販売となると、いついかなる状況でも
同じ品質のものを提供することが提供側の義務だと思っています。
その問題を解決する方法をこちらが提案できない限り、
販売は未定にするということは、ご理解いただけたらと思います。

今回30名のモニターとなってくださった方には、心から感謝を申し上げます。
お手元に届いたマスクは完璧ではないと思った人もいるでしょうし、
私自身も使っていてまだ改善の余地はあると思っています。
それでも30名の様々な業種の方の手に渡ったことに可能性を感じています。

まだマスクは途中経過ですが、
私の創造性を刺激するきっかけとなりました。

Lo perfecto es enemigo de lo posible.
「完璧」とは「可能性」の敵である。

こちらは最近ヘビロテで聴いてますが、まだほとんどわからない。。。w

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