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作文って理由書け書けうるさくないですか

自粛中、家でテレワーク中にお隣の女の子(たぶん小4)が絵日記を書かされてるのが聞こえてきて、

母「だから、水族館に行って“どうして”楽しかったかって理由を聞いてるの」
娘「アザラシの赤ちゃんがかわいかった……から?」
母「じゃそれを書きなさい」

あぶね〜隣のピンポン押すとこだった。アザラシの赤ちゃんは「楽しかった」“理由”なのか。「水族館に行った」という“事実”が、「アザラシの赤ちゃんがいた」という“少し解像度の高い事実”に変わっただけなんじゃないのか。そもそも“感情”に“理由”をつけるのってめっちゃ難しくないですかあ? ってお母さんに詰め寄る大男、怖いですよね。

“感情”ではなく、“行動”に明確な“理由”が伴うのはわかる。綾波は「命令されたから」エヴァに乗り、エースパイロットを自負するアスカは自らの存在証明のため愛機を駆る。だから心を折られたアスカは弐号機を降りてしまったし、シンジが初めて自分の意思で初号機に乗ったゼルエル戦に僕らは胸打たれるのだ。僕はマリ派です。

でも「なんで綾波が好きなのか?」となるとむずい。シンジくんは多分わかってないし、われわれも説明できない。「性格が合う」「外見がよい」といった要素が理由たりえるのなら、シンジは(クローンである)「3人目の綾波」を拒絶しないだろう。“感情”に“理由”はむずい。

綾波じゃなくてなぜラーメンが好きか、でもむずい。理由をつけるとしたら「麺の炭水化物が糖に分解される過程でA10神経のシナプスにドーパミンが流れ快楽中枢が刺激されるので、ラーメンが好きです」とかになる。こざかしいし、こういうの書く小学生は「俺っち現国だけは成績よかったんだよね〜」と言うクズになる。これは偏見とかでなく真理なんだけど「現国だけできた」と公言してはばからないやつは悪い意味でダメ。マジで、ダメ。

じゃあ何が正解なんだろうか。「行動には理由がある」つっても、小4が水族館に行った理由なんて「親がつれてった」で終わってしまう。となると「アザラシの赤ちゃんがかわいかった」っていうのの解像度を上げることなのかな。「かわいかった」とはどういうことか、アザラシを触りたいのか、ずっと見てたいのか、連れて帰りたいのか……を考えたり調べたりする過程で「庇護欲」みたいな新しい言葉に出会う可能性もあるし。同級生に教師が多いんで言っときたいんですが、感情に理由はめちゃくちゃ難しいよ!


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