上野を歩いて感じたこと

 先日のことであるが、緊急事態宣言が解除されたので上野の周辺まで買い物に出掛けた。3月の末に訪れて以来、東京都心には行っておらず、約2ヵ月ぶりの訪問である。同じ首都圏には住んでいるとはいえ、ここまで長く都内から離れていたのは初めての経験であった。

 御徒町駅の改札を通って市街地を歩くと、人が戻りつつあるのが見てとれた。3月末の三連休に比べれば明らかに人が少ないものの、テレビで報道されたような不気味ながらんどうでもなく、ホッとした。目当てである登山用品店に立ち寄って、目当てのものを調達する。店内も混んでおらず、快適であった。

 買い物を済ませた後、上野駅に向かってアメヤ横丁を歩く。ほとんどの店が営業を再開しており、そのなかには中国製と思われる怪しいマスクを陳列している店もあった。この何が何だかわからない、猥雑とした雰囲気が好きだ。ちょっとずつではあるが、以前に戻りつつあるのを感じ取れた。そう思うと、うれしかった。

 アメ横センタービルの脇から不忍池方面を歩く。大通りの対岸にある演芸場のシャッターが閉じられているのが見えた。ああ、まだなのかと思いつつ、京成上野駅の前を通る。駅構内を覗いたら、人は少なく旅行客の姿は見られなかった。なかなか、全部が元に戻るのは時間がかかるのかと思うと、少し悲しくなった。


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