大西信弥

末期ガンの妻を看取った後、三田の山荘で一年余りの隠遁生活を送りながら熟考を重ねた結果、…

大西信弥

末期ガンの妻を看取った後、三田の山荘で一年余りの隠遁生活を送りながら熟考を重ねた結果、間近でその生きざまに触れた者の使命として残された人生を ”懸命に生きる人々とともに” 歩み、彼女のように ”凜” とした生き方を追い求めたいと思うに至りました。

マガジン

  • エーリッヒ・フロムの名著

    還暦を経た今、“如何に生くべきか” を問い直す時が来ていることを実感する毎日です。 この数年間で出逢った名著をご紹介しつつ、今後の生きる指標にしたいと考えています。 まずはエーリッヒ・フロムの名著から…

  • わが為すこと、我、知る

    2006年から志信会公式WEBサイトに掲載されていた「わが為すこと、我、知る」を転載しています。

  • 「生きろ!」~志信会創設の根底にあるもの~

    2006年から志信会公式WEBサイトに掲載されていた「大西信弥物語」を転載しています。

  • 倶楽部『凜』発足前夜・第二部「今、私が考えていること」

    倶楽部『凜』の発足前夜、2016年末にFacebookへ投稿した内容を編集してお届けしています。

  • 倶楽部『凜』発足前夜・第三部「夢は限りなく~漆黒の闇の中で」

    倶楽部『凜』の発足前夜、2016年末にFacebookへ投稿した内容を編集してお届けしています。

最近の記事

生きるということ⑥

>>>前章より続く フロムは本書で、エックハルトの「人びとは何をなすべきかより、自分が何であるかを考えるべきである・・・。かくしてなすべきことの数や種類でなく、善くあることに重点をおくように心掛けよ。あなたの仕事のよって立つ基本を、むしろ重視せよ」ということばを引用しています。 たしかに、現代でもそんな姿勢の経営者が少なからずおられることは承知していますが、本書が指摘するところの ”ある” ことを真の意味で理解するのは容易ではないと思われます。 ここで、 ”ある” こと

    • 生きるということ⑤

      >>>前章より続く  フロムが能動的な意味での ”ある様式” への意識変革を求めるのは、以下のような前提に基づいているからなのですが… 政治的指導者たちが個人的利益を与えるらしいが、同時に共同体にとっては有害で危険な決定を下しても、もはやだれも驚かない。実際、利己心が現代の実際的倫理をささえる柱の一つなら、どうして彼らが違ったやり方をするはずがあろうか。彼らは、たとえ自分の生命や配偶者および子供たちの生命にかかわるような、現実の利害関係を追求する場合でも、貪欲は(屈服と同

      • 生きるということ④

        >>>前章より続く フロムによれば、 ”能動性” とは「社会的に認められた目的行動であって、その結果として、それに対応する社会的に有用な変化を生じるもの」と定義したうえで、「単なる忙しさの疎外された能動性は、実は生産性の意味においては、<受動性>である。一方、忙しくはないという意味での受動性は、疎外されない能動性であるかもしれない」としています。 今こうしてご紹介していても、つまみ食いのような形ではかえって理解し難いような気がしますが、とりあえず、先に行きましょう (;^

        • 生きるということ③

          >>>前章より続く さて、そもそもフロムは “持つ様式” のどこが問題だと指摘しているのでしょうか。 少し本文を引用してみます。 持つと様式は他人を排除する。それは私がさらに努力して自分の財産を守り、あるいはそれを生産的に活用することを求めはしない。仏陀はこの様式での行動を渇望と評し、ユダヤ教とキリスト教は強欲と評した。 それはすべての人とすべての物を或る死んだものに変貌させ、他人の力に従属させるのである。(112P参照) 難しいですね (;^_^A  もう少し続けま

        生きるということ⑥

        マガジン

        • エーリッヒ・フロムの名著
          6本
        • わが為すこと、我、知る
          6本
        • 「生きろ!」~志信会創設の根底にあるもの~
          18本
        • 倶楽部『凜』発足前夜・第二部「今、私が考えていること」
          6本
        • 倶楽部『凜』発足前夜・第三部「夢は限りなく~漆黒の闇の中で」
          4本
        • 倶楽部『凜』発足前夜・第一部「ファミリーヒストリー」
          10本

        記事

          生きるということ②

          >>>前章より続く フロムは、本書を認めた前提が以下の二つの論拠に基づいているとし、人間を弱める個々の不幸、および全世界を破局に導く社会に代わる選択の可能性を追求しています。 ①私たちの現在の社会秩序は私たちを病人にする ②私たちが社会体制をラディカルに変革しなければ、経済的破局へ向かって進むとことになる(25P参照) その中核を為すのが人間の二つの基本的な存在様式、すなわち “持つ様式” と “ある様式” の違いの分析であり、彼はその経験的データに基づいて、 倫理的

          生きるということ②

          「生きるということ」①

           晴耕雨読、ということばがありますが、図らずも妻の死を境にして一年ほどの間、人里離れた山の麓でこれまでの半生を省みつつ、これからの生き方を問い直す日々を送ることになりました。 その後、新たなフィールドで活動を再開したものの、世界的な禍根を眼前にしながら、あらためて、私たちが “如何に生くべきか” を問い直す時が来ていることを実感する毎日です。 そこで、還暦を経て、今考えていることをこちらに認めていきたいと思い立ちました。 先ずは、この数年間で出逢った名著の数々をご紹介し

          「生きるということ」①

          私たち夫婦をサポートしてくださった全ての皆様へ

          >>>「わが為すこと、我、知る」より続く ―2015年12月28日・Facebookに記載―  かねてから在宅療養中だった妻は自らが望んだように私の腕の中で永遠の眠りに就きました。 最期まで苦しむこともなく、その安らかな寝顔は、あらためて惚れ直すほどの美しさでした。 私にとって彼女の存在はあまりにも大きく、今はたとえようもない悲しみに打ちひしがれておりますが、いつの日かまたきっと笑顔を取り戻して皆様にお会いすることをお約束します。 これまでの皆様のご厚情に心より感謝申

          私たち夫婦をサポートしてくださった全ての皆様へ

          わが為すこと、我、知る(Ⅵ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年~志信会公式サイトに連載)】 「生きろ!」~志信会創設の根底にあるもの~ 続編 >>>前号より続く 11.市民による日本一新  日本一新とは、小沢代議士が自由党時代に日本を変えることを目的として打ち立てた御旗で、具体的法案として国会にも「日本一新十一基本法案」が提出されています。 市民による日本一新の会は小沢代議士の「懐刀」と呼ばれた平野貞夫氏 ( 元参議院議員 ) が主宰し、日本一新と理念を同じくしていますが、国民の手による「日本一新新基

          わが為すこと、我、知る(Ⅵ)

          わが為すこと、我、知る(Ⅴ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年~志信会公式サイトに連載)】 「生きろ!」~志信会創設の根底にあるもの~ 続編 >>>前号より続く 9.小沢氏来る  満面の笑顔とともに入場された小沢代議士は、包容力で場内を暖かな雰囲気に包み込んでしまいました。2004 年 10 月 16 日、志信会は、ボードメンバーミーティングの席上、小沢一郎代議士をゲストスピーカーとしてお迎えしました。 小沢代議士は、入場とともにぼくたちの輪の中に飛び込み、ボードメンバーや執行部各位との固い握手、そし

          わが為すこと、我、知る(Ⅴ)

          わが為すこと、我、知る(Ⅳ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年~志信会公式サイトに連載)】 「生きろ!」~志信会創設の根底にあるもの~ 続編 >>>前号より続く 7.天上大風  2004年、会の政治塾基本方針に従って参議院議員選挙の応援をさせていただいく過程でぼくたちは、半田善三氏と出会うことができました。 半田氏は細川護煕元首相が参議院議員時代から長年にわたり政治行動を共にし、日本の改革に尽力をつくしてこられた方です。 細川内閣発足時には日本新党事務局次長という立場におられました。 そして、当時当会

          わが為すこと、我、知る(Ⅳ)

          わが為すこと、我、知る(Ⅲ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年~志信会公式サイトに連載)】 「生きろ!」~志信会創設の根底にあるもの~ 続編 >>>前号より続く 5.会長、走る  「佐久間さんからのメール確認したか?今な、佐久間さんから紹介された 鬼木候補のところに向かっている最中や。」 「えっ?この時間にですか?」 「車でな。夜通し走って福岡に朝到着して、そのまま朝立ちに合流や。」 鬼木さんは、志信会執行部のトップ、佐久間氏のラグビー部 ( 高校 ) の後輩です。 鬼木さんのホームページのト

          わが為すこと、我、知る(Ⅲ)

          わが為すこと、我、知る(Ⅱ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年~志信会公式サイトに連載)】 「生きろ!」~志信会創設の根底にあるもの~ 続編 >>>前号より続く 3.大西会長が信じるもの  志信会の基本理念に大きな影響を与えた映画があります。 「ペイ・フォワード」。 11 歳のトレバーは、担任のシモネット先生から 「もし君たちが世界を変えたいと思ったら、何をする?」 と問い掛けられ、悩んだ末にあるアイデアを思いつきます。 「受けた親切をその相手に返すのではなく、身の回りにいる別の人へと贈り、その

          わが為すこと、我、知る(Ⅱ)

          わが為すこと、我、知る(Ⅰ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年~志信会公式サイトに連載)】 >>>「生きろ!」~志信会創設の根底にあるもの~ 続編  この半年間、ぼくは、大西会長の成長と苦悩を、そして志信会設立に向けて駆け抜けていく姿を描いてきました。大西信弥物語が志信会設立前夜で終わっているのは、実は、ぼくには、大西信弥物語をこれ以上書き続けることが出来なくなってしまったからです。 大西信弥物語は人間、大西信弥を描こうという企画で始まったのですが、志信会を設立してからの大西会長は、なんだか「志信会」そ

          わが為すこと、我、知る(Ⅰ)

          自立篇(Ⅲ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年-志信会公式サイト「大西信弥物語」に連載)】 >>>前号より続く 35.決別  2002 年 12 月 25 日、小池さんが自由民主党に入党することを表明しました。 このニュースは大西の頭の中を何度も駆け巡ります。 あの小池さんが自民党に入党する・・・ 小池さんはキャスターから政治家への華麗な転身をしました。 しかし、最初こそ、細川内閣の総務政務次官をつとめ、広告塔として活躍していましたが、支持基盤を持たない小池さんの選挙は薄氷を踏むような

          自立篇(Ⅲ)

          自立篇(Ⅱ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年-志信会公式サイト「大西信弥物語」に連載)】 >>>前号より続く 33.解放 -写真- 青年部幹部らと共にエジプトへ(2001年・42歳)  「小池が『大西君に公設秘書になって欲しい』といっているのよ。どうかなぁ?」 「えっ !?・・・・・」「小池事務所にはあなたの力が必要なのよ。」 「少し考えさせてください。」 「もちろん、じっくり考えてほしいけど、あなたにとっても、凄いチャンスだと思うの。」 百志塾の立ち上げに成功し政治手腕を発揮し

          自立篇(Ⅱ)

          自立篇(Ⅰ)

          【筆者‐大芝太郎(2006年-志信会公式サイト「大西信弥物語」に連載)】 >>>前号より続く 31.胎動 【筆者‐大芝太郎(2006年-志信会公式サイト「大西信弥物語」に連載)】 >>>前号より続く  2002 年 2 月、大西は名門宝塚ホテル内を駆け回っていました。80 年の歴史をもつこのホテルの敷地に一歩足を踏み入れると、そこは異空間。時代や場所を越えていくような不思議な感覚に包まれます。 時空を超えたようなホテルの雰囲気の中で、大西は焦燥感に襲われていました。

          自立篇(Ⅰ)