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マーケター育成論:PDCAは質より量、ABテストは顧客との対話

Web担の「デジマはつらいよ」原作者の中澤です。シリーズで書いていくマーケター育成論、今回はPDCAについてがテーマです。マーケターに取っては必須のスキルをわかりやすく解説します。

はじめに

こんにちは、Repro株式会社CMOの中澤です。(自己紹介はコチラ→)

シリーズで書いていく「マーケター育成論(教育論)」、今回のテーマは、みんな大好き「PDCA」です!(嫌いな人、すいません)

自分の考える育成論(教育論)は、「体幹」「コアスキル」「テクニック」の三層に分かれており、本来は「体幹」から順番に身につけるように部下には教育しています。

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ただ今回は、Web担当者フォーラムで連載している漫画「デジマはつらいよ」のYoutube動画版と連動したいと思っており、「デジマはつらいよ」の内容に合わせる形で、連載していきたいと思います。

「PDCAの話なんて、あらためて解説してくれなくても知ってるよー」という人も多いかと思いますが、中には「あれ?ひょっとしたら、知った気になってるだけかも?」という人もいるかもしれないので、まずはPDCAとは何か?という事から説明していきたいと思います。

PDCAとは何か?

PDCA、正確にはPDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)は、実は、生産技術における「品質管理」の分野から出てきた継続的改善手法なんですね。

これが日本においては、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを繰り返し行うことで、継続的な業務の改善を促す技法として定着します。(Wikipediaの画像貼っときます)

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ただ、PDCAは品質管理とかにはとてもフィットするのですが、マーケティングや事業活動など、そもそも環境変化が激しく、計画以上に、その対象となる「課題」を発見するコトに重点が置かれる分野においては、「イマイチじゃない?」と言われはじめてまして。。。

最近では、PDCAに代る概念として「OODA(ウーダ)ループ」の方が、良いんじゃない?とか言われてます。

がんばれ!PDCA!

OODA(ウーダ)ループとは?

OODAループ(英語: OODA Loop、ウーダ・ループ)は、意思決定と行動に関する理論で、なんと、軍事分野から出てきた理論です。

現在では、シリコンバレーをはじめとする欧米のビジネス界でも基本戦略として採用され、アメリカのビジネススクールでも教えられているそうで、経営やマーケティングなどの分野では、確かにコチラの方がフィットしている気がします。

OODAループは以下のプロセスをループさせ、スピードと柔軟性を重視した意思決定のサイクルを回します。

① 観察(Observe)
② 情勢への適応(Orient)
③ 意思決定(Decide)
④ 行動(Act)

PDCAサイクルとの最大の違いは、何と言っても「スタートが観察から始まる」という点かと思います。

そもそも、マーケティング活動において、なぜPDCAを回すのかと言えば、それは「正しい答えが見つかっていない」からです。

正解がわかっているのであれば、わざわざPDCAを回す必要もないと思うのですが、ふつう、手元には「仮説」しかないですよね。

なので、仮説の検証を積み重ねて正解に近づけていく取り組みが、マーケティングにおけるPDCAだと言えます。

ここで重要なのが「当初の計画(つまりは仮説)」そのものを常に疑い、仮説の見直し自体もサイクルに組み込まなければいけない、という点です。

そして、新たな仮説を導き出すためには、行った行為の「評価(Check)」以上に、顧客自体の「観察」が重要になります。

よって、PDCAよりも、「観察」に起点をおいてループを回す、OODAループの方が、よりマーケティングにフィットしているのでは無いかと思います。

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PDCAは質よりも量

自分はこれまで、20年以上に渡ってマーケティング実務に携わってきた中で、PDCAは明らかに「質よりも量」をこなす方が、成果を早く上げる事ができると結論づけています。

昔はなんとなくですが、「施策を失敗したらちょっと恥ずかしい」とか、「施策の成功率高い俺、かっこいい!」とかいう気持ちもあり、結構事前の分析や仮設精度にこだわったりしていたのですが・・

マーケ部門の部下たちと、「訴求対決!」とか「キャンペーン企画対決!」とかやると、気合入れて分析し入念にプランしたにも関わらず、結構な確率で負けるんですよね。

僕の能力が単純に低いのでは?という疑いも残りますが、10年以上の経験をい持つ自分も、1年くらいの経験しか無い若手社員に余裕で負けるという。

そこで思ったのが、「結局、自分は顧客のコトなど何もわかっていない。分析しても本当は何もわかっていない」という事です。

ましてや、お客間を取り巻く環境はすごいスピードで変化しています。お客様の状況も関心も、目まぐるしく変わっていく中においては、結局、「お客様自身に聞いてみるしかない。つまり反応をみるしか・・・」

これが、PDCAは質よりも量であるという、理由です。

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AB テストは顧客との対話

日々のマーケティング活動におけるPDCAの一つとして、必ず行うのが「AB テスト」だと思います。

自分はこのAB テストを「顧客との対話」だと考えていて、正解がわからないからこそ、直接お客様に「聞く」行為だと思っています。

友人関係でも同じですが、はじめて知り合った相手を知るためには、何よりも「対話」を重ねる事が一番の近道です。たくさん話せば話すほど、相手に対する理解が深まりますし、例え話を返してくれなくても、その反応自体も相手を知るヒントになりますよね。

友人相手に対話を行う際には、事前に入念に分析したり、綿密な計画を練ったりはしていないはずです。相手を知るために必要な仮説を立て、その反応を見てまた仮説を立てる、その繰り返しじゃ無いでしょうか?

AB テストも、PDCAもそれと同じだと考えています。なので、PDCAは質よりも量、とにかく「打席に立つ数」が大事と言えます。

また、相手の反応を見て仮説を立てるという点では、「観察」が重要になります。その意味ではやはり、最初に「観察」を重視する「OODAループ」の方がしっくり来るかもしれませんね。

一つ伝えておきたいのですが、「PDCAは質より量だ!」と書くと、「やみくもなPDCAは地獄に陥り、現場が疲弊する!」と、必ず誰かしらに言われます。

ただ、この記事は「マーケター自身がPDCAを回す事」を想定しているのと、あと、何より「顧客との対話を行う」という前提でPDCAを考えるかぎり、僕はやみくもなPDCAにはならないのではないか、と考えています。

また、「わからない」からこそ「顧客に問う」わけですから、クリエイティブとかもまずは一番ライトに実行できる方法でやった方が良いと思います。

例えばサイト内のバナーとかであれば、まずは「パワーポイント」で書いちゃえば良いと考えてます。答えを見つけたらちゃんと作ればと。

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PCDAの「仮説」をどうやって量産するか

PDCAにおいて、「量」をまわしていく上で最大の課題となるのが「仮説の量産」です。PDCAサイクルのスピードが上がらない最大の要因が、実は、この「仮説の枯渇」だったりします。

友人との会話や、女の子との会話が弾まない理由もここら辺にあったりするのですが・・・・。

PDCAにおける「仮説」を量産するためのヒント、それは「観察」です。

という事で、次回はPDCAにおける仮説を導き出す「観察手法」、「右目・左目分析」について説明したいと思います。

最後までお読みいただいて、ありがとうございました!次回の記事アップについてはTwitterでお知らせしますので、フォローをぜひお願いします。

(コチラです→https://twitter.com/s_nakazawa)

では次回をお楽しみに!

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