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編集力を学ぶマガジン

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世界中の編集の方法を集めていきます。
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記事一覧

高橋源一郎|古典と響き合う「方丈記」翻訳力

高橋源一郎|古典と響き合う「方丈記」翻訳力

「モバイル・ハウス・ダイアリーズ」と書かれたら、チェ・ゲバラの日記『モーターサイクル・ダイアリーズ 』を思い浮かべてしまい、どこか外国の日記文学かと思ってしまう。しかし、これは高橋源一郎が『方丈記』に付した読み仮名だ。

国語の授業で“方丈記”という文字を見て以来、ほとんどの人は“ほうじょうき”とひとつづきに暗記するだろう。その意味を考えようとはなかなかしない。“つれづれぐさ”や“げんじものがたり

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藤原定家|和歌のイノベーション「本歌取り」

いま一番のバズワードは「イノベーション」だろう。もはや言われすぎて手垢まみれになっている。それほどまでに古い伝統を打ち破り、どうやって新しいものを生み出すのか、が平成から令和への最大の関心事になっている。

ビジネスでも教育現場でもスポーツでも、イノベーションを起こして、既存の枠組みを乗り越えることが叫ばれているのだ。

でも、それは現代に限ったことではない、いつの時代でも伝統や慣習に飽き飽きして

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ユクスキュル|実験が斬新すぎる件

ユクスキュル|実験が斬新すぎる件

みんなの必読書・ユクスキュル!
「環世界(Umwelt)」という考え方を生み出した生物学者ですね。

なんとなく名前は知ってても、なかなか原著は読めていなかったりするので、今日はユクスキュルの『生物から見た世界』をご紹介します。

1.ユクスキュルって誰?まずはユクスキュルについて、こんな人です。

ヤーコプ・ヨハン・バロン・フォン・ユクスキュル(Jakob Johann Baron von Ue

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いとうせいこう|小説と随筆の境界はどこにあるのか?『小説禁止令に賛同する』

いとうせいこう|小説と随筆の境界はどこにあるのか?『小説禁止令に賛同する』

随筆(エッセイ)というのは、フランスの哲学者・モンテーニュが生み出した方法です。小説でなく、詩や歌でもない、型にはまらない形式を「エッセイ」と呼びます。エッセイとは何かは、なかなか定義できないのではないか、と作家の丸谷才一は言っていますし、「定義に挑戦するものだ」という批評家もいます。

それまでは、韻文のルールに則ったり、文学の起承転結などの形式を意識しなければ、文章を書けませんでした。そういう

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ユヴァル・ノア・ハラリ|人類が「想像」するようになった日――『サピエンス全史』より

ユヴァル・ノア・ハラリ|人類が「想像」するようになった日――『サピエンス全史』より

最近は、VRとかARとかで、「リアリティ」が広がりつつある。仮想なのか拡張なのかはともかく、現実が広がっているのだ。では「バーチャル」と「リアル」の境界線はどこにあるのだろうか? ネットはバーチャル?会社はリアル?ゲームはバーチャル?スポーツはリアル?じゃあ、ネットでの出会いはバーチャル?法人はリアルな存在?

もはや境界線はあいまいになってきている。そもそも、ネットによってバーチャルが肥大し、初

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