一輪挿しには罪はない
一輪挿しの花瓶を買うことにした。
仕事部屋に花の一輪でもあったら、カッコいいかな、と思ったのだ。
購入後、意気揚々と帰宅し、部屋を見まわし、
浅はかな打算が崩れていくのを感じた。
問題が2つあった。
一つは置き場の問題である。仕事部屋にはベッド、仕事机と椅子、
机の下に事務用引き出しがあるが、花瓶を飾る気の利いた棚が無い。
嗚呼、何故そんな初歩的なことに気付けなかったのか。
もう一つは花である。花瓶はとても小さい。
小さい花を活けるのがいいのだが、花屋にそんなミニマムな花は
売っているのだろうか。
道端の草花を採集してくるのがいいのかもしれないとも思った。
が、いい年の中年が、公園などで花を採集し、ご近所のおばあちゃん達に
泥棒扱いされたら、と思うと躊躇してしまった。
などと考えをめぐらしているうちに、二か月経過してしまった。
いつの日か、カッコいい一輪挿しのある部屋にしたいと、
花瓶が袋の中で待機している。