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 いやな気持ちになるエピソードを聞かされた。『誰々に”何々”と言ってやった』といった類の。(どうしても受け入れたくないような台詞だったので、あえて”何々”と、ぼやかして表記させていただく)
 その語り手は、私の目を見て一呼吸おいてから、”何々”と、強く言った。
 私は聞き手という立場だったが、もはや自分が”何々”と言われたも同然で、心底、不快だった。たぶん、あれはエピソードトークに見せかけて、私に対して吐いた言葉だったろうと思う。被害妄想かもしれないけれど。仕事ができないからって、意味をくみ取るのが下手だからって、真意を感じないわけではない。もしも本当にただのエピソードトークだったとしても、忌々しい言葉を人に浴びせかけたなんて話を、よく堂々と笑って話せたものだ。

 もう、あの人の真意がどこにあろうがかまわないのだけれど、とにかくこちらの気持ちを穏やかな状態に戻したい。何度だって、あのセリフが頭の中を巡るし、腹立たしいやら、悲しいやら、悔しいやら、いろいろな感情が湧いては混ざるものだから、脳内が休まらない。じゃあ、もう気をそらすしかないと考えて、文章を書き始めた。書いては消して、消しては書いてを繰り返しているものがあるのだが、それをもういちど初めから見直そうと。現実から逃げるように書くというのは、書く動機としては間違っているのかもしれないけれど。

 文章を書こうとして、いろいろと調べ物をしたり、勉強したり。ああでもない、こうでもないなんて考えているうちに夜になった。ちょっとでも、あの不快な台詞を忘れることができたのは、よかった。まぁ、課題だらけで、また文章を書き始める日は遠のきそうなのだけれど。それでも、しぶとく取り組み続けようとは思う。

 

 

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