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100点をとったら褒めよう。褒められないバックオフィスの仕事と取り巻く環境

バックオフィスの仕事って100点をとって当たり前だと思われていて。褒められることもないんですよね。

この言葉は主催しているSOU-MU NIGHTでよく聞く言葉だったりします。

なんだったら、社内のメンバーにいろんな事務手続きを依頼したり、社内のルールを通知したりするバックオフィスメンバーに対して「面倒なことを言ってくる人」という認識をしている人もいるかもしれません。

経営者がその仕事の重要性について理解をしていれば、それでも頑張れるでしょう。でも「バックオフィスは売上を生まない」という売上至上主義の経営者がいまだに多いのも事実。

誤解がないようにですが、100点を取り続けるというのは、ある意味任された仕事を完遂するということでいくと医療分野を含めて専門職であれば当然のことなのかもしれません。しかしながら「テストされる範囲が無限に広い上に、その勉強を今までしたことがない」というテストが日常的に課されるのがバックオフィス担当者。

その仕事ぶりをちょっとくらい褒めてあげましょう。

求められる業務量の幅と質

特に起業したばかりの会社の場合、バックオフィス担当者が担当する業務分野は会社運営に関する事務全て、というところが非常に大変です。会計、税務、法務、労務、総務など一つ一つの量は少ないかもしれませんが、規模が小さいからといってその範囲が狭まるわけではありません。

私の専門分野である税務だけでいっても、この数年の度重なる改正によってもはや手計算で処理をすることに自信を持てないほど複雑になっています。年末調整業務に関係してくる所得税の改正もそうですね。配偶者控除が本人の所得に応じて変わったり、基礎控除の改正や新しく導入された所得金額調整控除あたりも年末調整をするなら知っておかなければならない内容になります。

1つの分野だけでもそのような状況なのに、コンプライアンスに対する社会の目が厳しくなり、小さな会社だからといって曖昧なことが許されないようになっています。

だからこそ私たちのような専門家がいるのですが、専門家から課せられる宿題を受け取るのもバックオフィス担当者。関係が良好でなんでも相談できる頼れる専門家なら良いのですが、色々と聞いているとそうでもないところも多いようです。何も教えてくれない。そもそも自分が直接相談できる関係にない。会社に顧問税理士がいるのに私に相談をしてくる方もいます。「顧問税理士には聞きにくいから」ってそれ顧問の意味ないやん。私も気をつけねばと思いますが。

「学校の先生が頼れず相談できなくて悩みを抱えている。そもそもそんなことを教えてくれる先生が学校にいない。」のに「なんで100点がとれないんだ!」と家で怒られている状況に似ているかもしれませんね。しらんけど。

また、会社の規模が大きくなるにつれて対応しなければならない業務範囲も増えていきますし、難易度も上がります。今であればリモートワークでの仕事環境の構築も課題になりますよね。「オフィス移転するからタスク洗い出しておいて」とか言われても「知らんがな!」という訳にもいかず、必死になって対応する。そんなことがバックオフィス担当者の日常です。

新しいことに挑戦するには「大丈夫」と言ってくれる人が必要

たとえば年末調整だけでも、複雑化された業務に対してクラウドサービスを導入して処理のサポートをしたり、いっそ外部の専門家に業務委託をしてくれればいいのですが、「それくらい中でできるでしょ」という考えの経営者ならば、一切の投資がないかもしれません。

「その年末調整合ってますか?」その答え合わせもできないまま不安を抱えて業務をしているバックオフィス担当者は多いでしょう。

大丈夫。幸か不幸か、悩んでいるのはあなただけではありません。多くの会社でみなさん悩みながら業務をしています。古くからある会社であってもそうですし、新しく起業した会社でもそう。法律のことからクラウドサービスのことなど悩みはそれぞれですが、バックオフィス担当者の悩みはつきません。

そして「100点を取り続けているのに全然褒められない」ことを不満に思っている方も相当多いのです。

褒められるために仕事をしている訳ではないのですが、褒めてほしいじゃないですか。少なくとも自分の仕事で感謝されると嬉しい。社会に価値を提供していることを感じたい。自分の仕事ぶりを認めてくれる。評価してくれる。それは仕事にやりがいをもって、新しいことに挑戦していくためにはとても大事な環境だと思っています。経営者や専門家が「それで大丈夫。よく頑張ってくれてる」という言葉があるか。その一言があるかないかで人は変わるものです。

いつしか知識も経験も身に付き、自分の仕事に自分で意味を感じられるようになれば、そうした他人からの仕事の意味付けは必要なくなるかもしれません。それでもやっぱり褒められると嬉しいですよね。そんなもんですよ。僕も褒められると嬉しい。

「そもそも自分の仕事など社長は見ていない」と感じているバックオフィス担当者に新しい挑戦を求めても無理です。「どうせ新しく挑戦しても見ない」と思われているから。まずはその環境を変えることが経営者に求められる仕事です。

優秀なバックオフィス人材が集まる会社は良い会社

「いや、そんな甘いこと言っているバックオフィスなんていらないわ。」という経営者。いるんですよね、まだまだ。それでいて上場目指してるという。あんたが甘いわ。

今現在、経理、労務、法務、総務に加えてITシステムに理解があるバックオフィス人材はニーズに対して枯渇しています。特にクラウドサービスを活用してデータ連携を考えることができる経理人材は非常に少ないと思います。

そうした人材を集められるかどうかは経営者の考え方次第です。バックオフィス業務の構築が整備できていなければ、生産性が上がらないことももちろんのこと、せっかく上げた売上など一瞬で消し飛ぶ法律的なリスクを抱えているのです。早い段階で真剣にバックオフィス業務の仕組みの構築に目を向けている会社は堅実に成長をしているように見えます。

だからバックオフィス担当者が100点をとったら褒めてあげましょう。ミニテストでも褒めましょう。その仕事の価値と大変さを理解してあげましょう。分からなければ教えてもらいましょう。理解する努力をしましょう。自由に挑戦させてあげましょう。

そうすればきっとバックオフィスから新しい挑戦が生まれます。成長しようと努力を重ねるようにもなります。そうした事例を数多く見ているから断言します。

100点をとったら褒めましょう。私は日常的に褒めすぎて、スタッフに「うさんくさい」と言われているのだけれど。


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田中 慎

みなさまのサポートがとても嬉しいです!いつも読んでいただいてありがとうございます!

スキしてくれるなんて恐縮です!!!!
税理士・中小企業診断士、京都市ソーシャルイノベーション研究所(SILK)/バックオフィス業務担当者のための「SOU-MUプロジェクト」/関係性の中でアントレプレナーシップを育てる「起業研究室」/セミナー資料等https://speakerdeck.com/shinxtanaka