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起業の相談を受けたときは、まず否定しない。

明日は毎年講師をさせてもらっている認定支援機関養成研修のため、中小企業大学校へ。

担当パートが「創業・事業承継」で丸一日6時間の長丁場。しゃべる方も疲れるけれど、聞いてる方も疲れるだろう。

この研修、実は泊まり込みも含めて4週間の研修というすごい研修。3週間で経営改善計画書の作成の仕方などを含めてみっちり学ぶ。

そして4週目の最初に学ぶのが「創業・事業承継」。

つまり、3週目までで学んだ企業磨きのためのスキルをシーンに応じて展開するイメージで構築されている。なかなかよくできた構成。

相手に気づきを促す質問は難しい

私が担当させてもらっている時間のうち半分はロールプレイやワークショップにしている。去年も集合研修をした際に思ったのが、せっかく30人で同じ時間を共有しているのなら、この時代参加者同士も含めた内容でしか生まれない研修にしないともったいない。

そうすると提供する知識量自体は多くはなくなってしまうのだけれど、創業と事業承継なんて巷の本を読めば十分に知識は獲得できるから、その入り口のためだけのマップを提供している。

それを理解し、OKしてくれている中小企業大学校も器が広い。

実際に「あなたが起業相談員となって起業家の相談にのってみてください」というロールプレイを用意しているのだけれど、意外と相手の考えていることをうまく引き出すための質問を繰り出すということは難しい。

視野を広げたり、具体的に考えてもらったりするオープン、クローズ型の質問をテクニックとしては知っていても、それを起業相談の現場できちんと事業計画に話をつなげられるような形で展開していく難しさを経験してもらったりしています。

絶対に否定しない。先入観なく受け止めるのが最優先

起業相談にのっていて、絶対に大事にしないといけないと心がけているのは、「自分の経験や価値基準で絶対に否定しない」ということ。

年をとるにつれて、経験を重ねるにつれて、いろんな事業を目にすることで経験値が上がる。そうすると、当たり前だけれど起業の成否がなんとなく分かるようになります。

こんなんじゃうまくいかないだろう。

それを相手にそのまま伝えるという起業相談の現場があまりにも多い。

それは本当に相手のためになる言葉なのかどうか。そもそも自分の狭い成功体験だけでビジネスプランの価値を図れるのだろうか。

たとえばとてもビジョンが優れていて見たことも聞いたこともないようなビジネスプランが上がってきたら。

どこでお金稼ぐの?そんなの聞いたことないし、食べていけないよ。

そんなことを言われたという起業家も多い。

そんなとき、「それを一緒に考えるのが相談を受けたそのおっさんの仕事やろ!」と大体声が大きくなる。

顧客を創り出す。新たな価値を社会に創出する。そのためには起業家本人だけでは気づかない視点がある。それを提供するのが起業支援の現場で支援者に求められるものだ。

もちろん、事業計画の詰めが甘い場合がある。とても多い。

そんなときは、違う視点で売上を上げる方策を一緒に考えたり、小さく実験する機会をアドバイスしたり、より良い方向に進むようにアドバイスする。

それが支援者としての正しい心構えだろうと思っている。

起業する人はいろんな人に相談するのが大事

行政の相談窓口に行ったら、めっちゃ怒られたんです。

そうした相談員をしている企業OBや中小企業診断士のこともたくさん知っているけれど、かなりの割合で、相談者のことを思っているのではなく、偉そうに経験を振りかざして若者を威圧しているだけにすぎない。

いろんな場面でそういう人に壊されてきた起業家を見てきたので、思い出しただけでも腹が立つ。

もちろん優れた支援者もたくさんいる。

なので、たまたま出会った起業相談員に否定されたからといって、諦めないでほしい。よい人だと思ったとしても、その人だけに陶酔しない方がいい。

指摘された点について、自らも学び、成長することは大事。だから、起業しようと思うのなら、自分が信じる事業について、しっかりと軸をもってたくさんの人に相談すること。

そうして必要な部分は軌道修正しながら、多くの人が支えるビジネスがうまくいくビジネスかなと思う。

そのために、もっと良い支援者が増えるといいなぁと思いながら明日も怒りを原動力に研修してきます。


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