福岡

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久しぶりに福岡へ出張に行く。




来年個展をお願いするべく、新しい作家との素敵過ぎる出会いがあったから。これまでにない不思議な運命に導かれたような出会い方であり、9年近く店をやっていて、なんというか言わば、神からのボーナスのようにも思える感じ。まったくもって、楽しみ。



それにしても本当に久しぶりに「外へ」出かけた。奥さんと一緒に車に乗って高速でどこかへ出かけるなんて何年ぶりだろうか。


せっかく福岡に行くのだからと、今いちばんイケてるであろう、某有名店に寄っては、たまたま見つけた器の買い物をしたり。こういう感覚を久しく忘れていたなぁと深く痛感する。


お店を始めた頃というのは、どこかしらお店そのものに対する憧れもあったから、どこぞの店に行ってみたいなぁ、という想いがあったのだけど、実際やり始めるとそんな想いはどこか遠くへ吹き飛んでしまった。やっていくので精一杯なのだろうし、トレンドだとかなんだとかどうでもよくなる。



でもそれはそれとして、やっぱりいま世で一番イケているであろう感覚というのはたぶん確かであり、その時その時に売れている場所や人やモノというのはそれだけのことはあるのだろうと想う。それだけは分かる。


そういういつかは消えてなくなる泡のような感覚を恐れながらこの店をやってはや9年だけど、どうやらたぶんこのインディ過ぎる精神はずっと変わりそうになく、そんなバブリーとは無関係に終わりそうな気がする。これがいいことなのかどうかは相も変わらず分からない。


でもやっぱりそれはそれとして、福岡という土地は熊本に住む自分からしたらすごく羨ましく思えてしまう部分もあって、いつもいいなぁと思ってしまう。今回ご飯を食べたスポットも、古い古い民家を改装しては、いくつもいろんな小さな店がいわば蟻地獄のように集った集合体になっていて、とても好きな感じだった。


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集合体の中で迷い込んでいたら、その中に住んでいるであろうおばあちゃんがこちらに手助けをしてくれる様子もなんだか幸福で奇跡だった。地べたに住んでいる住民とお店たちがうまくいっていないとあの幸福感は決して出ないだろう。なぜここで出来て、あそこで出来ないのだろうか、などと奥さんと話してみるのだが。


「福岡かぁ」。そう呟きながら、高速に乗って彼の地へ還る。

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