だれかさんが今

詩「だれかさんが今」

夕日のしずむむらさきの空の
うらがわにたたずむだれかさんがいて
そのひとのせなかがとりあえず今は
さみしがってるふりして明日までの
さいてはきえゆく笑顔のてんてんを
はじかみながらもゆびおり数えてて

それでもしそのだれかさんがふと
思い出したみたいにふりかえって
とっくに忘れてしまったはずの
なんどめか知らない「サヨナラ」を
こちらのだれかさんに投げかけたら
それはうけとったってむししたっていい
そうなっちゃうのはだれのせいでもない

そうなるようにそうするのが今
夕ぐれをすごしてるわれわれのとっけん

(2022年12月琉球新報文化欄「琉球詩壇」にて発表)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?