ビールの小話

エッセイ「ビールの小話」

 何を隠そう私はビール党である。「アンタってホントにビール好きよね。ボトルキープもしないでずっとビールばっかり飲んでるのアンタくらいよ」とゲイバーのママさん数人に言われた事がある。「ビールって炭酸だからお腹が張るじゃないですか。一日でよくそんなに飲めますね。真似できません」と飲み友達数人にも言われた事がある。そんな私である。
 そんな私は毎年の暮れにひとりで北海道旅行に行って地ビールをたらふく飲みまくるのを何よりも楽しみにしているのであるが、昨年の十二月は訳あって東京へ旅行する事になった。東京にはたして地ビールはあるのだろうかと事前にインターネットで調べてみたところ、やはりありました、地ビールが飲めるお店が数カ所。早速そのお店や酒造所のレストランに予約を入れ、三泊四日のひとり東京地ビールツアーを決行した次第。感想として、やはり市販の大量生産ビールとは違い、個性的でありながらも繊細。兎に角美味しかったという訳である。後日、その旅行で飲んだビールを数えてみたらジョッキで三十六杯程、一日に十杯以上は飲んでいた。別に飲み過ぎとは思わないが少なくもないと思うので今後飲む量に気をつけたいところ。そしてまたやはり自分は北海道や東北地方の地ビールが好きだなと感じた。製造に使われている当地の水が美味しいのだろうと思う。飲食物の好みはファッションやアートと同じようにセンス、美学の世界なので、絶対的な正解や間違いもなければ否定や押し付けが発生するのは可笑しい、だから誰もが好きな酒を美味しいと言って好きなように飲めば良いと思う私である。そして私はこんにちも近所のコンビニで買った缶ビールをビアグラスに注ぎ飲みながらパソコンで絵を描いたり文を打ったりしている。

(2016年2月「小文芸誌 霓 ⅵ」にて発表)

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