存在した、生きた、愛した
V・ジャンケレヴィッチの怪作「死」と出会ったのは、私が大学院生のときだ。
図書室でディディエアンジューの「皮膚と自我」に熱烈な恋をし、哲学史上最も難解だとされている二人を化学反応させてしまったラカンによるレヴェナスの「他者と死者」に夜な夜な魘されつつ、しがない脳で哲学書を読み耽っていた時、本棚に置かれていた「死」のフォントが飛び込んできて、気がつくと手にとっていた。
制作以外の時間は本か映画を合間に、安いウィスキーで腹を満たしタバコはフィルターぎりぎりまで喫煙する現実逃避癖