英首相「王室は貴重な存在」 王子「独立」の解決求める 英国のヘンリー王子とメーガン妃の夫妻が王室の主要公務から退く意向を示した問題について、ジョンソン首相は14日「王室は国の極めて貴重な存在であり、解決すると信じている」との見通しを示した。

王子の祖母、エリザベス女王は夫妻の意思を尊重する方針で、新生活が始まるまで「移行期間」を設ける。詳細について数日内に結論を出し、最終決着を目指す。 ジョンソン氏は14日の英BBCのインタビューで王室についてコメントした。米国人で母親がアフリカ系のメーガン妃に対する過剰な報道の背景に差別的な見方があるのでは、という質問には「政治家がコメントすることではない」と答えた。 女王は13日、英東部の御用邸に王室の主要メンバーを緊急に集め、異例の「家族サミット」を開いた。会議後の声明で「(王子夫妻の)より独立した人生を送りたいという希望を理解し、尊重する」と表明した。一方、「王室のフルタイムのメンバーとして残ってほしい」とも付け加え、複雑な胸中ものぞかせた。 夫妻は今後、英国とカナダで暮らし、経済的にも独立したいと主張している。だが、一家の警備のあり方や費用など複雑な問題がある。カナダのトルドー首相は地元テレビで「(カナダ国民は王子一家の移住を)とても支持している」と指摘した。カナダ政府が警備する場合、支出は年50万ポンド(約7100万円)にのぼるといわれている。 女王の孫で王位継承順位6位のヘンリー王子は2018年にメーガン妃と結婚。19年には長男のアーチーちゃんが生まれた。同年のクリスマス休暇をほかの王室のメンバーとは過ごさず、メーガン妃が暮らしたことのあるカナダに渡った。夫妻は8日、王室の主要メンバーから外れる「独立」の意向を表明した。声明を出すことを女王らに相談していなかったとされ、女王が「激怒した」との現地報道もあった。 仮に夫妻の経済的な自立が認められれば、王室内の資金配分が変わりかねない。夫妻のウェブサイトによると、夫妻の公的な支出のための調達資金の95%はチャールズ皇太子が所有するコーンウォール公領の収入が源泉だ。残る5%は英政府の王室助成金という公金から出る。王室助成金について、夫妻は受領を辞退する考えを示している。 王室儀礼に関する専門家のウィリアム・ハンソン氏は夫妻が実際に「独立」した場合、ヘンリー王子の「王位継承権は残るだろうが、殿下(ロイヤルハイネス)の称号を維持できるかどうかが焦点となる」と分析する。 母のダイアナ妃が報道陣に追われ、事故死した経験を持つヘンリー王子は、メディアへの警戒感が強い。メーガン妃との結婚後、盗聴されたなどとして一部メディアを提訴している。こうした事情を背景に自立を支持する声がある一方で「メーガン妃の影響で王室からの独立に走った」などと批判的な見方もある。

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