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選手のあと一歩を引き出す後押しとは

プロ野球が開幕してから早一週間ほどが経ち、Jリーグの開幕・再開も徐々に近づいてきました。Jリーグも、まずは無観客での開催となり、段階的に有観客での開催へ移行していく見通しが決まっています。

クラブではここ数か月間、どの程度無観客での試合が続き、いつからお客さんを迎えて試合を開催できるか見えない中で、このシーズン再開に向けて検討と準備を進めてきました。

軸となる試合運営に加えて、+αの要素として大きく2つのポイントで出来る施策を探って来ました。

1. 自宅での試合観戦をいかに楽しんでもらうか
2. 無観客であっても、ホーム戦でいかに選手・チームを後押しできるか

私自身、サッカークラブで働いて2年ほどが経ちました。まだ2年ではありますが、その前はサポーターを15年やっていたので、その視点も絡めながらこの無観客試合に関して考えたことを書き残したいと思います。

1. 私のサポーター時代

幼少期、祖父に連れられ初めてJリーグ観戦へ行ったのは7歳のころ。それ以来、自然とスタジアムでのサッカー観戦にのめり込んでいきました。

育った長野には当時Jリーグクラブはなく、中学、高校時代は部活動のためスタジアムから足が遠のきました。東京暮らしをしていた大学生の途中からはシーズンチケットを購入し、スタジアムへ通う日々がまた始まりました。

社会人になってからも、アウェイを含めて年間25試合以上を観戦。応援するクラブの存在は生きがいそのもので、仕事の合間にはクラブの情報やニュースを欠かさずチェック。職場の理解も得て、平日の試合にも参戦していました。

勝った翌週は良い気持ちで仕事ができ、負けた翌週はどんよりした気持ちで働く日々を過ごすことが日常でした。

2. 自分たちが勝たせたと思える瞬間がある


当然のことながら、声援を送っているサポーターは応援で選手たちを後押ししますが、直接的に試合を動かすことは出来ません。その一方で、スタジアムで応援していると50試合に1試合くらい、「自分たちの応援がこの試合、チームを勝たせた」「決勝ゴールをサポーターたちの声で引き寄せた」と思える試合がありました。

応援というのは毎試合一定のリズムではなく、試合の流れに応じてチャントの順番も組み立てが違ったり、勝負どころの場面では自然と声量が大きく上がり、リズムも気持ち早くなることも。まるで相手選手を威圧して呑み込むかのように。

とあるカップ戦の決勝では、選手入場時に相手サポーターの応援と自分たちを比較して「今日は勝った」と感覚的な根拠だけで確信することもありました。その試合はそのまま勝ち優勝を手にしました。

「自分たちの応援がこの試合、チームを勝たせた」というのは不思議な感覚ですが、それだけ自分も「チームと一緒に戦っている」という気持ちを応援で表現していると自負しているからこそ感じる気持ちなのだと思います。逆に、勝負所で踏ん張れずに負けたりすると、応援の後押しが足りなかったと思うこともありました。

この「自分が勝たせた」という感覚が忘れられず、試合以上の時間をかけてスタジアムへ通ったり、良いところのない負け試合を見た後も懲りずに通い続けるのかなと思います。

3. あと一歩を引き出す声援のパワー

2年前にサッカークラブに転職して以降、仕事で選手の取材やインタビューに立ち会う機会が恵まれました。記者と選手の間ではいろいろな対話がなされますが、応援について話題が及ぶことも。

F・マリノスに限らず様々な記事にも出ていますが、「苦しい時間帯、応援がパワーをくれる」、「勝負を分けるあと一歩を出せたのは、苦しいときに鼓舞してくれる声援があったから」といった応援が与えるパワーについて選手も感じていることが改めて分かりました。


スタジアムで見てくれる人、応援してくれる人がいるからこそ、選手は奮い立ち、より良いパフォーマンスを出せることは事実なのだと思います。出せるという表現と同じくらい、プレーと声援の相乗効果によって引き出されているという表現も相応しいのかもしれません。

4. 今できる、視覚を通じた後押しの施策

横浜F・マリノスでは、ホームでの無観客試合を7月8日にニッパツ三ツ沢球技場で迎えます。

昨年のリーグ戦では三ツ沢で5試合戦って全勝。満員のファン・サポーターの声援をバックに、選手たちは躍動しました。三ツ沢はスタンドとピッチの距離が近く、声援やプレーへの反応を選手たちが感じ取っていることが、コメントでも語られています。また、三ツ沢の雰囲気も好きと話す選手も多いです。

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※こちらは昨シーズン三ツ沢開催時の写真

そんな三ツ沢で迎える次のゲームでは、チームを後押しする取り組みとして

・選手ロッカーの各席に、応援メッセージや写真の掲出
・選手のウォーミングアップ中に、いただいたメッセージをスタジアムDJが読み上げ
・スタンドをトリコロールで埋め尽くす、スタジアム装飾フラッグ

を企画しました。


サッカーにはいろいろな語録がありますが、そのなかでひと際好きな言葉があります。
澤穂希さんが北京五輪の試合中、チームメイトへ掛けた

「苦しいときは私の背中を見なさい」

という言葉。


チームを引っ張る大黒柱として、周りの選手を勇気づけるこの言葉のエピソードを大会後に知ったとき、とても感動したことを覚えています。

話を試合に戻すと、7月8日の試合では通常耳から届く後押しの声援は、残念ながらそこにはありません。


それでも、苦しい時間帯に選手がスタンドに目を向けたとき、トリコロールの色とともにそこにチームを応援する方々の存在を少しでも感じ取ることができたら、勝負を分けるあと一歩を出す力になってくれるのではないかと、個人的には思っています。

あと3日でJ2、J3は開幕を迎え、F・マリノスの再開もアウェイでのスタートが決まっています。残されている時間は多くはありませんが、始まってしまえばシーズンはあっという間に進んでいくでしょう。

何が起こるか分からないシーズンですが、自身がサポーターだったころの視点も忘れずに、さまざまな立場の人の視点を折り合わせながらチームとともにシーズンを戦っていけたらと、いま感じています。

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Jリーグのサッカークラブで働きながら、来たるネコとの暮らしに向けて準備中。 noteは、旅の記録・仕事の記録・とりとめのない日常での出来事・今週読んだ英文記事の感想まとめ用。
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