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解雇規制と日本の競争力低下について

「日本の国力が低くなって物を買えなくなってきている問題」(半導体不足とか)の記事を読んで思ったこと。

そもそもその原因の一つは「解雇規制」による総合職の競争力低下にあるんじゃないかと考えているという話。

そこで言及されていた、「日本人は品質や細かいことにうるさいから敬遠される」という問題もかなり大きいけどそれだけじゃない。

日本の制度は「現業職」を前提にしている

実は日本の制度は、ホワイトカラーではなく現業職を前提にしているのではないかと考えている。
ここでいう「現業職」とは、特定のタスクをこなす仕事。
いわゆるブルーカラーや一般の店員など。
基本的に、現業職は「一般兵」、管理職は「司令官」の役割を担う。
ここが意図的にぼかされていると感じている。(あまり突っ込むと差別につながりかねないなどのアレもありそう)

日本の学校は「工場で大量生産する作業員の養成施設」とよく言われる。
耳にタコができるレベルで聞く言説だ。

でもそれは学校だけじゃないんじゃないかな。世の中の制度がそういう労働者「だけ」を前提に作られているというか。
たとえば、給料の決め方とか。ホワイトカラーだと結果を上げた人の給料を上げるやり方がおそらく世界では主流だが、日本だとそうはなってない。
年功序列自体も現業職前提のやり方だったんじゃないかと思うし。

「解雇規制」について

日本だと、クビにする際の基準が厳しい。
現実問題、経営不振や従業員の犯罪行為、長らく出勤しない以外の理由で解雇することは難しい。
たとえば、「無能」というだけではクビにすることは不可能である。
特にコンプラ(法令順守)重視の大手企業では。
なので、どうしてもとなったときに登場するのが「追い出し部屋」なのだ。

無能ですら厳しいので、それ以外だと言わずもがな。

「解雇規制」が日本企業をダメにした

日本企業がダメになった理由のひとつは解雇規制のせいなんじゃないかと思っている。特に家電系。
解雇規制は、現業職であれば合理的である。
長く企業に雇われて安定した生活ができるというメリットはある。
だが、新陳代謝が働かず、企業内に現状維持精神がはびこってしまうというデメリットがある。
人が動かないので、悪い意味でウエットでなあなあになり、非効率なしきたりなどが残ったままになってしまう。

これは現業職の場合さほど問題にならない。タスクをこなしていればかまわないから。
総合職は、方針を作って結果を上げていかなければいけない立場なのに、現状維持で定年までいられればいいやという、平和ボケになってしまう。
それが日本企業の体質なんじゃないですかね。

クビにされるリスクがあるために、自己研鑽しなければならない海外の(ホワイトカラーの)労働者やクビにできる企業にそれで勝てるわけがない。

また、雇ってしまった人は簡単にクビにできないため、失敗の可能性が高い人を採用することが難しくなる。
そうなるとどうしても採用が保守的な方向に偏ってしまうという問題がある。チャレンジングな人材は採用できないのだ。
「規格外」な人があぶれるという就職弱者問題もあるけど問題はそれだけじゃないという。

「司令官」としての役割

司令官というのは重要な役割をになう。
いくら現場(一般兵)が頑張っても、上が間違った方向に突き進んだらアウトだからだ。
一般兵には方向性を決める権限はないのでそこが間違ってるとどうにもできない。

で、おかしな方向に行く司令官をクビにすることができないという問題が出てきたりもする。降格ですら難しい。
本来は、司令官に関してはダメだったら辞めさせるべきだが、日本では法的にそれができない。

司令官の立ち回り自体が悪い意味で国際標準でない感じもするし。
(ト〇タなどのごく一部を除く)
そもそもそこの質が海外企業と同じ土俵に立てていないよなと。
感情論に左右されまくったりとかね。

市場を取っていかないといけないホワイトカラーが、タスク型の職業と同じ発想で仕事してたらそりゃ衰退していきますって。
国際市場が未成熟だった80年代以前は勤勉さと物量でごまかせてただけで、その成功体験が単に捨てきれてないから変われないのじゃないかな。

総合職という採用形態にも問題があるのだがそれはまたの機会に。
数がそれほど要らない司令官を育てるために大卒を半分にする弊害が大きい話とかもしたいけど、それをかくと文章が長くなりすぎる。

守ろうとしすぎることで発展しないこともある

日本は「既存のものを守ろうとする」きらいがある。
それは選挙のために仕方がないのかもしれないが、やりすぎるとみんなで沈んでいくだけだ。
本来はつぶれるべきだった中小企業を守りすぎる問題とかもそれである。

日本国内で生きてるだけならそれでいいのかもしれないが、国際競争をしなければいけない時代ではそれはすでに無理が来ているように思う。

ベンチャーや新興企業の類だとそういう非効率なしきたりのカット的な意味においてはマシなところもあるだろうが、如何せん規模の問題で大勝ちはできないという。
世界と対等に立ち会える規模の企業がどれだけあるかというと・・・

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