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投球障害 肘 肩

よく野球肘・肩と言われますが専門的にいうとインピンジメント・関節唇損傷や野球肘の内側や外側・後側などあり今回野球肘・肩の種類を書いていきます

肩峰下インピンジメント

インピンジメントとは衝突するという意味になります。
投球の加速期からリリースの肩が最大外旋位から内旋した時に肩甲骨の肩峰と上腕骨頭や烏口上腕靭帯が衝突してその間を走っている腱板や滑液包に負担がかかり炎症や損傷を起こすものです。
挙上時に痛みが出ることもありますが今回は加速期のことを書きます。
投球の後コッキング期から加速期の肩が最大外旋位になった時に肩の前方に痛みがを自覚します。
原因としては腱板の疲労や筋力不足により肩甲骨と上腕骨の安定性の低下や投球時の肘下がりや身体の開きにより上腕骨頭が肩の前方に偏位してしまい安定したポジションを取れなくなってしまうことによります。

SLAP損傷(上方関節唇損傷)

関節唇という肩甲骨が上腕骨頭を受け止めるお皿の端の部分で肩の安定性を高めている部分の上方を損傷することをいい野球ではこの上方の部分を損傷する事が多いです。投球での損傷では上腕骨頭による衝突や関節唇には上腕二頭筋腱が付着しており腱の牽引により関節唇が剥離してしまい損傷します。関節唇が損傷してしまうと自然治癒することは難しいそうです。
治療は基本保存療法で肩の不安定性がひどい場合は手術になります。
関節唇損傷があると肩を挙上回旋させた時にひっかかりや抜けた感じ・不安定感が出現します!投球時にコッキングからリリースにかけての痛みや上腕骨頭のスリップ現象が見られます!
肩の安定性が低下するために腱板の強化や動きの改善・肩甲胸郭関節の機能を高める・改善させることにより症状を改善させることが可能です!
関節唇損傷があっても投球への影響を少なくすることができ投球フォームの肘や肩の使い方などを改善させることにより症状を抑える事が出来ます!
特に肘下がりや身体の開きにより加速期に上腕骨頭が前上方に偏位してしまうために注意が必要です!

腱板損傷

腱板の棘上筋と棘下筋の損傷が多く投球時の後コッキング期からリリース時の肩が回旋する時のインターナル・インピンジメントにより肩甲骨と上腕骨に腱板が挟まれることによりおこると考えられます。ほかにもフォロースルー時の減速している時に腱板が引っ張られて損傷することも考えられます。
特に上腕骨頭の異常な動きにより起こると考えられ、いわゆるゼロポジションを保持できないことによるものだと考えられます。
肘下がりなどにより投球時に上腕骨頭が前方に偏位してしまうと加速期の外旋時に肩甲骨関節窩の上縁と上腕骨の大結節部が衝突してしまい腱板を損傷すると考えられます。ほかにも腱板後方のタイトネスにより外旋時に上腕骨が後方に動けずに後上方に移動してしまい内旋した時に前方に偏位して投球時に上腕骨頭が安定せずに動いてしまいインピンジメントが発生すると考えられます。

リトルリーグショルダー(上腕骨近位骨端線離開)

成長期の選手が投球の負荷により骨端線の離開を起こしてしまうもので肩の挙上痛・挙上制限や安静や夜間の痛み・投球時に肩が抜ける感じを訴えます。

野球肘内側型(リトルリーグ肘)

投球時の肘の外反ストレスにより靭帯や骨に損傷をおこすものです
上腕骨内側上顆剥離骨折・骨端線離開
外反ストレスにより筋や靭帯の付着部の骨が剥離することや外反ストレスにより骨端線が引っ張られて理解してしまいます。成長期の選手は骨がまだ柔らかく骨の成長する部分がくっついていないために注意が必要です。

内側側副靭帯損傷
外反ストレスにより靭帯に負荷がかかり損傷するもので投球時は常に靭帯を損傷するほどのストレスがかかり投げすぎによる疲労や休息不足により靭帯の微細損傷を修復することができずに損傷します!投球不良があると靭帯には通常の倍ほどのストレスがかかるために注意が必要です。
とくに加速期の肘の外反ストレスが強くなった時に内側に痛みが出現し肘下がりがあると特に痛みが発生しやすいです。靭帯の負荷を減らすために前腕部の筋力の強化も大切になります。
特に肘下がりでは肩の外旋可動域を低下させるために肘が通常よりも多く外反してストレスが強くなるために注意が必要です!

尺骨神経障害
内側の剥離骨折などによる肘の変形や筋疲労や緊張により肘の内側を走る尺骨神経が圧迫されることにより、小指や薬指の痺れや握力の低下を起こします。投球をしているうちに痺れがでることがあり投球制限や中止・筋肉の緊張を改善させるひつようがあり肘の変形による場合は手術が必要になります。

野球肘外側型

離断性骨軟骨炎
肘の外側にある腕橈関節に圧力がかかり上腕骨小頭の軟骨がはがれてしまい投球ができなくなってしまうものです。
投球時には肘の内側には外反ストレスによる牽引の負荷がかかりますが外側には圧迫ストレスがかかります。
投球フォームの不良があると内側の外反ストレスが増大しますが外側の圧迫ストレスも増大してしまいます。
選手が若いほど治癒する可能性が高く初期であれば小学生では投球禁止による安静で自然治癒する可能性があります。中学生から自然治癒することが難しくなり高校生では自然治癒したケースは僕は聞いたことがないです。症状が末期や軟骨が完全にはがれてしまった場合は手術の適用になります。
症状としては投球時に肘が痛いけど何日か休むと痛みが治まりまた投球してまた痛みがでるを繰り返して最終的に投球ができなくなるケースをよく聞きます!
僕が診たケースでは今まで痛みがなかったが突然投球時に痛みが出現して来院したのですが、肘を診てみると上腕骨小頭部に圧痛があり腕橈関節を調べると関節ねずみ(遊離した骨)を触知できたために病院で検査してもらうと離断性骨軟骨炎だったことがあります!
無症状であっても離断性骨軟骨炎になっているケースがあるようです。肘の外側に痛みがある場合は一度検査をしてみるといいかもしれません!

野球肘後方型

投球のフォロースルー時に肘が伸展した時に肘の関節の後ろの部分が衝突(インピンジメント)をおこす又は肘が伸展した際に上腕三頭筋により引っ張られることにより痛みが出現するものです

肘頭骨折・骨端線離開
投球のフォロースルー時に肘が伸展した時に肘関節の上腕骨と尺骨の肘頭部がぶつかる又は上腕三頭筋の収縮により肘頭部が引っ張られて負担がかかり骨折・骨端線離開を起こしてしまいます。
僕の私見ですが、リリース後のフォロースルー時に腕の動きを止める選手や肩の回旋不足により肘が曲がらない選手が起こしているように思えます。
フォロースルーでは力を逃がすために腕を最後まで振る必要があり、肘が伸展した後は肩や肘が内旋していき肘が屈曲し力を逃す必要があります!

野球肘・野球肩とひとまとめに言いますが、種類があり症状なども違います!多くの選手が肘や肩の痛みや故障を抱えながらプレーをしています。
時には選手生命にかかわることがあるので注意してください。

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