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ECアプリがあればECサイトは不要になるのか?

僕が会社で企画等に携わっているアプリのほとんどにECサイトで購入できる機能が備わっています(機能と言っても基本的にWebviewでECサイトを表示しているだけなことがほとんどですが)

そのためお客さんとECについて話すことも多いんですが、そのときにECアプリとECサイトの使い分けについて聞かれたり、サイトをやめてアプリだけにできないか? みたいなことを聞かれることがあります。

これの根本にはアプリとWebサイトの性質や役割の違いについてあまり知られていなかったり、気づいてないことが多かったりするという状況があると思うので、今回はそのあたりの話を書いてみようと思います。


アプリの情報はWeb上で検索しても見つからない

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このことは意外と気づかれてないなと感じますが、アプリだけで公開している情報は基本的にWeb上で見つかりません。ようするにググっても出てこないということです。

Google検索はボットと呼ばれるプログラムがインターネット上を自動で巡回して集めた情報がもとになっています。なので、インターネット上で見つからない情報は検索にも出てきません。見つけてもらうためには、カンタンに言えばWebサイトがあって情報にURLがないとダメですが、アプリにしかない情報には基本的にこれがありません。

これはECのサービスであれば致命的です。なにせ検索しても店も商品も見つからない。見つからないものはこの世にないのとほぼ同義です。


アプリにしかない情報はシェアできない

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これも意外と忘れられがち。アプリ上のコンテンツをSNSとかでシェアできるようにしたいという話はECサイトではよく話題に出ますが、アプリにしかない情報にはURLがないのでシェアするのが困難です。

アパレル系のアプリだとコーデやスナップをシェアして話題づくりにしたいという要望は当然出てくるんですが、URLがないと画像としてシェアしたり、ユーザーが勝手にスクショをシェアしたりすることしかできなくなります。

そうすると仮にそのコンテンツがバズってもECに来てもらう導線を確保するのが非常に難しい。SNSにシェアしてもらっても集客につながらなくなってしまいます。


アプリをインストールしてもらう動機がない

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ECサイトがないと検索しても商品は見つからないわけですが、一応アプリだけなら検索で見つかります。でも、ブランドや商品を検索しているときにアプリを見つけて、いきなり「お、じゃあまずはアプリ入れよう」と思う人はかなり稀です。相当なファンじゃないと普通インストールしないでしょう。

いまAmazonや楽天市場をヘビーに使っている人でも最初はWebから入っている人がほとんどだと思います。「今日から使える500ポイントプレゼント!」みたいなインストール特典を見かければ事前に入れるかもしれませんが、それを知ることができるのもおそらくECサイト上でしょう。アプリしかなかった場合、そういった施策を知ってもらうことも難しくなります。

お客さんには目的の買い物を早く済ませたいという強い動機があるので、ECサイトの会員登録ですら煩わしく感じるのに、それ以上に買うまでの手間が増えると容易に想像できるアプリインストールを購入前にやってもらうのは至難の業です。


ECアプリでは新規顧客を開拓することが難しい

アプリというとデジタルの世界だけの話のように思えてしまい、実店舗の有無はあまり関係がないように考えてしまいがちですが、実際は店舗の有無がアプリ普及の促進に大いに影響します。

「今日からポイントが貯まります」とか「セール情報などをいち早くお届けします」といったわかりやすいメリットを提示できさえすれば、すでに来店しているくらい関係が良好なお客さんであれば、アプリインストールしていただくためのハードルはかなり下げられます。実店舗はアプリインストールを勧める場として非常に適しています。

またECサイトしか無い場合でもGoogle検索が顧客接点として機能してくれるので、何度かサイトへ訪れてもらってる間に同様のメリットを提示していけばアプリインストールを検討してもらうことができます。

でも、実店舗がなくECもアプリしかないとしたら、お客さんとの最初の接点をつくる方法がほとんどなくなってしまいます。


ここまでの話をまとめると、ようするにECアプリというのは最初の顧客接点を作り出すのが極端に苦手ということです。こと集客に関しては実店舗なりECサイトなりに頼らざるを得ません。なのでECアプリを用意したからといってECサイトが不要になるようなことは現時点ではあり得ない話になります。


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ECサイトとECアプリの役割分担

ではECアプリはECサイトに比べて何が強いのか。

これはリピーターに対する施策が圧倒的にやりやすく、また効果が高いという点に尽きると思います。

アプリを一度インストールしてもらえればPush通知による告知が使えるようになります。メルマガはいまでも十分に効果がある販促手法ですが、Push通知のほうがリアルタイム性高くお客さんの反応も良いことが多いです。セールやイベントのお知らせなど、お客さんにとってもメリットのある情報をきちんと発信していけば、実店舗への来店・ECサイト訪問いずれにもつなげることができます。

以前、実店舗を持たずECサイトのみで商品を販売している会社の方から、リピーターのお客さんが通常の広告やリターゲティング広告経由で購入してしまう比率が高いという悩みを伺ったことがあります。

これもサイトでの購入時に合わせてアプリのインストールをしてもらい、その後はファンの方に向けてPush通知等できちんと情報をいち早く届けていけば、広告費の無駄な消費を無くすことができます。


最近、Web接客という言葉をよく見かけますが、Webでの接客はお客さんのほうから能動的にサイトを訪問してもらわないとまず始まらないことがほとんどです。しかしアプリであれば接客は運営側から積極的に仕掛けることができます。アプリ接客という言葉を耳にすることはまだあまりありませんが、

Web接客・店舗接客:新規開拓向け・訪問をきっかけに対応(受動的)
アプリ接客:リピーター/お得意様向け・運営側から積極的に対応(能動的)

という分け方で整理すれば、ECサイトや店舗をお客さんとの最初の接点と捉え、そこでアプリのインストールを促すことで継続的かつ能動的な接点をつくり、お得意様への積極的な接客を可能にしていく、という役割分担が見えてくると思います。


アプリは既存ビジネスを強化・拡張するもの

ECアプリは既存の店舗やECサイトの置き換えをするものではなく、お客さんとの関係をいままで以上に強固にし、これまでのビジネスを強化していくものであることがわかりました。

この話をもう少し進めていくとオムニチャネル、O2O、OMOといった言葉が出てきます。この手の話の中でアプリがその中心的な役割を担うことが多いのは、既存のオフライン・オンラインの接点を行き来させたり融合させたりすることや、これまでできなかった運営側の能動的なアクションを可能にするためには、現状ではアプリが適しているからといえます。

しかし、それも既存の顧客接点があってこそのものであることは、しっかり認識しておく必要があると思います。

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ランチェスターという会社で店舗向けアプリの企画とかをやってる人
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