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フィンランドのMaaSと日本のエネルギー政策を無理やりアナロジーした

本記事は、DXと脱炭素関連の個人的な学びのアウトプットです。

今日はフィンランドのMaaS政策って、日本におけるエネルギー政策の参考になるのではないか、と思った、という学びを書いてみたいと思います。

MaaSは一つの論文から始まった?

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MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ」によると、MaaSという言葉が世界で使われ始める契機となったのが2014年のある修士論文からだといいます。その論文はフィンランドのアールト大学が出した「Mobility as a Service - A Proposal for Action for the Public Administration」というものです。

この論文は、ヘルシンキ市都市計画局から、情報技術が進展する中、市の交通システムが向かうべき方向性を見出すことという依頼で書かれたものだと言います。

モビリティオペレーターの提唱

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その論文では、「2025年までにマイカーがなくても困らない暮らしをヘルシンキで実現する」という想定で書かれていると言います。ヘルシンキでは、公共交通が整備されているがその利便性や快適性は高くなく市民がマイカー依存にある。そのため慢性的な渋滞、駐車場不足、環境問題を引き起こし街の魅力を失わせている。そのため、利用者の移動ニーズに合わせて、交通事業者が提供する交通手段の最適な組み合わせをつくり、1つのサービスパッケージとして提供する「モビリティオペレーター」という役割を提唱したと言います。

市場のデータを規制し、価格は規制しない

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このようにMaaSのコンセプトが世に公開されるのと並行して、フィンランド政府やヘルシンキの行政側でも制度面での整備が進んでいたと言います。例えば、それまで海運、陸運、空運で縦割りだった組織を交通省として2010年に再編。2015年には、複数の省庁横断で議論し、MaaS実証プロジェクト公募し、2社のモビリティオペレーター企業が誕生。

フィンランド政府は、MaaS実装にあたり、交通事業に関する個別業法を廃止、全ての交通事業者がデータをオープンにし、チケットや支払いに関するAPI 公開を義務付ける交通サービス法へ一本化したと言います(17年5月法案可決、18年1月試行)。

フィンランドの交通大臣のAnne Berner氏が法案に関して「We regulate the market over the data, we don't regulate anymore over price.」と語った、というのがシビレます。

フィンランドの経済政策としてのMaaS

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MaaSの意義は、主語をフィンランドにすると違った見え方になります。フィンランドには自動車産業はなく、油田もないため、国民のマイカー依存というのは、フィンランドから国外への資金流出を意味します。

国民マイカー依存 = 国外資金流出 @自動車産業レス

つまりフィンランドにとってみれば、MaaS政策はマイカー依存を脱却し、その費用を、交通サービス全体の品質向上に還流させることで、国内事業者による付加価値向上のリソースとする、という経済政策だ、ということです。

これは、「コーポレートトランスフォーメーション/冨山和彦」などでも語られている、スマイルカーブ現象(以下、図参照)の川下にあたるモビリティサービスが付加価値の源泉であり、そちらへと移行するということでもあります。

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日本のエネルギー政策へのアナロジー

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本記事の冒頭に、フィンランドのMaaS政策が日本のエネルギー政策のアナロジーになるのでは、と思ったと書きました。日本は国内にエネルギー資源を持たず、ほとんどを海外に依存しています。この状況というのはフィンランドで自動車産業が国内にない。でも国民はマイカー依存という状況に似ています。

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出典:資源エネルギー庁ホームページ

エネルギーは非常にコモディティなサービスなため、川下のサービスのところで付加価値をつけることが難しい商材といえます。しかし、昨今のカーボンニュートラルの動きの加速は、そのエネルギーの差別化の要素が出てきたといえると思います。

地方都市なんかは、産業も少なくなり、人の暮らしで必要な冷暖房・電気は外部から仕入れてきた石炭・石油・LNGによるエネルギーに頼っている。外部エネルギー依存なのではないかと思います。

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これを地方都市にとっては身近は山林のバイオマスを熱源に使う、ヨーロッパによくあるセントラルヒーティングで熱をパイプラインで送るとか、そういう仕組みを作ると、そこにコストはかかるかもしれないけど、地域の雇用を作り出し、エネルギー費用の外部依存を下げられる。また、各家庭に熱交換器つけなくてよくなるのだとすれば社会コストは下がる、といったことが制度づくり私大ではできうる可能性はある、といったことが以前に視聴したSPEEDAのセミナー(聴講メモの一部はこちら参照)で聞いたように記憶しています。

ということで、今回は全然、ファクトとか調べてないでの妄想書き連ねですが、「MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ」を読んでいて思ったことを書いてみました。こういったことも時間を見つけて調べてみたいなー、と思いました。

おわりに

DXについての記事は以下の「マガジン」にストックしてますので、併せて覗いてみてください。フォローや「スキ」を押してもらえると励みになります。

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ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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