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エネルギーを逆算思考で考えたP2Xアプローチ

しのジャッキーです。本記事は、ESG/SDGs/CSVに関しての個人的な学びのアウトプットです。以前に、BRIDGEsというコミュニティのセミナーに参加した際の記事を書きました。

この6月のセミナー以降、過去の自分の原体験とESG/SDGsについて再認識する機会となって、本noteでも、ESG/SDGsについて定期的に勉強したことをアウトプットするようになりました。

さて、先日、BRIDGEsの中の人で、エネルギー産業に近しいところで働いている方と意見交換をする機会があり、大変勉強になったのですが、その際におすすめいただいた書籍「エネルギー産業2030への戦略 Utility3.0を実装する」を読んでみました。

エネルギー産業2030への戦略」の中で、でてくるP2Xという概念が、カーボンニュートラルに関連した戦略、事業を考える上で、とても重要だな、と思いました。

私は基本的に、本書をカーボンニュートラルから見るエネルギー産業の未来、という視点で眺めました。以下のように、日本のCO2直接排出の約40%を占めるエネルギー産業がどうやってカーボンニュートラルを達成するのかは、その根幹だからです。

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図の出典:令和2年度 環境白書

ゼロカーボン時代の日本のエネルギー戦略3つのポイント

エネルギー産業2030への戦略」では、ゼロカーボン時代の日本のエネルギー戦略のポイントを以下の3つだとします。

ゼロカーボン時代の日本のエネルギー戦略3つのポイント
1. できるだけ地域内でエネルギー需給をバランスする
2. 国内で発電したクリーンな電気は、電気のまま利用する
3. 国際水素貿易の主導権をとる

それぞれの簡単なポイントをまとめます。

1. できるだけ地域内でエネルギー需給をバランスする

エネルギー生産地と消費地をつなぐ送電網を増強するといった考え方ではなく、今後大量普及が見込まれるEVの蓄電池も活用した分散型電力システムを目指す

2. 国内で発電したクリーンな電気は、電気のまま利用する

これは言われてみれば当たり前ですが、電気を蓄電したり、水素に変えたり、と加工することによってエネルギーがロスしてしまう、ということですね。エネルギーとして利用するために加工するのはなるべく少なくすべき、ということですね。

3. 国際水素貿易の主導権をとる

日本は国土的にも十分な再エネ資源はない。かといって水素を輸入するのは、これまでの化石燃料の輸入で他国にエネルギー依存している状況は変わらない。また、日本と同じような状況になる国が他にもでてくるので、水素獲得競争はすでに始まっている。貿易の主導権確保といざというときのための原子力も含めたこくないインフラ能力の確保が重要。

P2Xという発想

冒頭で話た、P2Xという概念についてです。これは「エネルギー産業2030への戦略」の「Chapter 3 UXコーディネーターの実践」で出てきます。P2XはPower to Xの略で、XはDataだったり、Foodsだったりが入ります。

先ほど紹介した「1. できるだけ地域内でエネルギー需給をバランスする」の中で、EVの蓄電池を使った分散型電力システムをつくるべし、という話がありました。

このとき、EVの蓄電能力以上に発電能力がある地域では、余剰電力で水素をつくり、それをガスパイプラインで大都市などの消費地におくる、というコンセプトがあり、これをP2G(Power to Gas)というそうです。

しかしながら、このアプローチが有効な場合もあるのでしょうが、2つ目のポイント「2. 国内で発電したクリーンな電気は、電気のまま利用する」から考えると別のアプローチがあるだろう、というのがP2Xになります。

これはつまり、最終的にはエネルギーを使って何がしたいのか?がXに入ります。書籍の中で例示されているP2D(Power to Data)は、ICT業界に身を置く、私としても「なるほど~」と思ったコンセプトでした。

こちらの記事でも取り上げましたが、以下のグラフは世界の電力需要をしめしており、緑がデータセンター、青がネットワークになり、2030年には20%を占めるようになっていることがわかります。

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出典:Nicola Jones (2018), The information factories, Nature vol. 561

このように、エネルギー、電力、熱、という段階にとらわれるに、最終的な目的、提供価値から逆算して考えることの重要性を再認識させられました。以下は、カーボンニュートラルとデジタル産業について、別書籍の学びをまとめた記事となります、合わせてご参照ください。

本書は、「エネルギー産業の2050年 Utility3.0へのゲームチェンジ」という書籍の続編にあたり、サブタイトルにもあるUtility3.0に関する説明は、前作に譲られています。

P2Xの前段としてEnergy with Xという考え方も紹介されています。こういった考え方も包含したコンセプトがUtility3.0なのだと思いますので、ぜひ、前作も読みたいな、と思いました。

わりに

このほか、当方のESG/SDGs/CSV関連の記事は以下のマガジンにまとめていますので、もしよかったらのぞいてみてください。またフォローや記事への「スキ」をしてもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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