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MaaSサービス導入によるユーザーの行動変容の事例が面白かった

本記事は、DXの個人的な学びのアウトプットです。

MaaSについての記事です。以下「MaaS モビリティ革命/日高 洋祐, 牧村 和彦, 井上 岳一, 井上 佳三」で先進MaaSサービスとして取り上げられていたフィンランドのWhimについて取り上げます。ちなみに好評だったようで続編(こちら「 Beyond MaaS」)もでていて、年末のポイント還元セールで買っちゃいました(積読が増える。。。)

Whimってなに?

フィンランドで2016年からスタートしたMaaS Global社によるMaaSサービス。ヘルシンキ市内すべての公共交通機関(鉄道、路面電車、バス)に加え、カーシェア、レンタカー、タクシーが1つのサービスに統合されており、1つのアプリで、検索、予約、決済が可能。2018年10月時点では、以下の3つのサービスプランを提供。登録者6万人以上(市の人口の約10%)、10-20%が定額プランを利用。

登録者の推移

2018年の「Mobility as a Service, The End of Car Ownership?」というレポートでは、2018年の1月で2万ユーザーを突破し、書籍の中では同年10月に6万人突破ということで、順調にユーザー数を伸ばしていることがわかります。

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図の出典:Jonna Pöllänen, 2018,Mobility as a Service, The End of Car Ownership?

Whimによるユーザーの行動変容

私が非常に面白いなと思ったがのが以下のグラフに示された変化です。MaaSサービス以前は、マイカーの利用が40%、公共交通利用が48%だったのが、MaaSサービス以後は、マイカー利用が20%に減少し、公共交通利用が74%に増加しています。

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図の出典:Jonna Pöllänen, 2018,Mobility as a Service, The End of Car Ownership?

MaaSは公共交通の持続可能モデルをつくる

MaaS モビリティ革命」の中で、ヘルシンキの公共交通は、かなり設備が古く、においがきつかったり、日本の交通機関から連想しないことも重要と書かれていました。そういった状態を改善するにも投資の原資がない。その原資として、住民のマイカー依存を脱却し公共交通利用者を増やすことにフィンランドの国家戦略としてのMaaSがあるという学びを以前に、こちらの記事で取り上げました。

以下のレポートによれば、フィンランドにおけるマイカー所有コストは503ユーロであり、それはすべての交通関連コストの85%を占め、交通量の29%がマイカーによるものである一方で、マイカーの稼働率は4%であるとしています。

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図の出典:Sampo Hietanen, Mobility as a Service, The End of Car Ownership?

先程のMaaSサービス導入前後のマイカー利用から公共利用への変化というのは上記のようなマイカー依存からの脱却に向けて、確実にギアが動き出したことを示しているのでしょう。

エゴシステムからオープンエコシステムへ

Whimのレポートの中で、印象に残ったページの一つに以下があります。個別サービスのモデルは勝者独り勝ちであり、Whimが目指すのは、オープンなエコシステムであると、そして別のスライドでは「Trust is the new oil」と言っていました。これは「Data is the new oil」といわれることとの対比でしょう。

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図の出典:Jonna Pöllänen, 2018,Mobility as a Service, The End of Car Ownership?

日本においても、地方の公共交通の苦境や住民の生活の足の不足をよく聞きます。ヘルシンキの人口は約63万人ということで、こちらのサイトによる日本の市区町村の人口から比較すると以下あたりが近しい自治体となります。地域の交通事情によって、求められるMaaSの要件が異なるかもしれませんが、Whimで実際起きたことは参考になりますね、。

20位 熊本県 熊本市 738,865
21位 神奈川県 相模原市 725,493
22位 岡山県 岡山市 724,691
23位 東京都 江戸川区 697,932人
24位 東京都 足立区 695,043人
25位 静岡県 静岡市 693,389人
26位 千葉県 船橋市 642,907人
27位 埼玉県 川口市 594,274人
28位 鹿児島県 鹿児島市 593,128人
出典:こちらのページより

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おわりに

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ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie


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