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あの感情

cakes読んで欲しいから、たくさん文章・マンガ書こう週間です。せんのでん

「年齢を重ねたらこの気持ちはなくなるんだろうな」と思っていたのに、なくなっていないものがある。それどころかどんどん複雑になっていくあれ。「死にたくない」。

子どもの頃、うちにお寺さんがきていた。

お寺さんと呼ばれていたのは、お寺のお坊さんで。月に1回くらい檀家であるウチに来て、座敷と呼ばれていた和室(と言ってもその頃の我が家には和室しかなかったけど)でお経をあげていた。

子供も大人も全員参加で、お寺さんのお経を聞くという義務があった。

お寺さんは最初は暗記で、後半は仏壇に置かれた塗りの箱に入った経典を読んだ。いつも経典の同じ場所しか読まなかったので、「そのものはいっさいがっさいなんたらかんたら」が始まったら、「あなかしこあなかしこ」の終わりが来るんだとほっとした。

お寺さんは、そのうち代替わりして。お寺さんの子どもが説教をあげにくるようになった。

その若返ったお寺さんがお経をあげて帰った後に、祖父が怒っていたことがある。

ひとしきり怒った後、「こんな年寄りにむかって、偉そうに死について話よるんじゃけ」とこぼしていた。年寄りの方が死に近いとは限らないよとか、分かったようなことを言わなくてよかった。

祖父は長生きした。「年賀状を出す相手がおらんくなってしまった」と80歳を超えた頃に年賀状をやめた。気付いたら知り合いが、友達が死んでいなくなっている世界はどういうものだったんだろ。

。。

この人が私より先に死なないと良いなと思ってる。私の知る全ての人が楽しく、生きて欲しいと思ってる。

でも、選べないんだよな。

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おわり


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