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地車(地車)誕生の化学反応式

『日本だんじり文化論』(創元社)の発売まであと2週間ほどです。図は帯の裏面に配置した模式図で、地車(だんじり)の誕生をビジュアルで直感的に伝えるために考えました。

地車は、江戸時代に淀川を往来した豪華絢爛の「川御座船」(かわござぶね)と、ボケの味を活かした滑稽寸劇「ニワカ」(にわか)という二つの流行が、予想外の化学反応が起こして、生み出された神賑(かみにぎわい)の祭具です。

帯(裏)

本書の大きな構成は以下の通りです。

第一章「地車の誕生」では、地車の原型は、江戸時代に淀川を往来した豪華絢爛の川御座船であり、俄と呼ばれる滑稽寸劇を披露するための移動式芸能舞台として生み出されたことを明らかにしています。

第二章「地車の隆盛」では、享保から明治までの170年にわたる天神祭の地車宮入り番付と、大坂町奉行から出された触(ふれ)と達(たっし)の分析を通して、江戸時代の大坂の地車の姿を蘇らせます。

第三章「地車の展開」では、摂河泉・瀬戸内を中心に伝播し多様に展開する地車の形態変化のメカニズムを、地域や時代ごとに異なる芸能・曳行・造形に対する志向性に注目して明らかにするとともに、各地の祭の具体的な紹介を通して、地車文化の魅力に迫ります。

終章「神賑(かみにぎわい)の民俗学」では、神事と神賑行事の定義を行ない、祭の実態を把握するに際しての、「神賑」という概念の有効性と不可欠性を論じます。

6月17日発刊予定です。ご予約はお近くの書店、創元社Amazon、篠笛文化研究社→オンラインストア でも承っております。

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