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Pontaカードを落としただけなのに、からでは映画は生まれない

 ローソンのポイントカードでお馴染みPontaカードを紛失してしまった。
 今年の1月ぐらいだったと思う。思い当たる各所へ電話問い合わせしたが、見つからず。仕方がないので、ポイントが使われないようにと、カスタマーセンターに電話するもののつながらない。幸いLINEのウォレットに紐づけ登録していたことでポイントが使用されていないのは確認できた。取り急ぎポイントだけはと全て使い切った。

 そこから数か月、カードなしでポイントの付与を受けていたものの、使用されることはなかった。第三者が所持しているということはなさそうだった。相変わらずカスタマーセンターへの電話は繋がらない。LINEを稼働し、ウォレットからバーコード表示させる煩わしさはあるものの、特に困らない状況だったため、停止等の手続きをすることはなかった。

 困らない、と思っていたところに問題が起こる。ローソンが時々行っている“リラックマフェア”でスタンプがたまり、景品と交換できるまでになった。対象商品を購入するごとにスタンプがPontaカードに記録されていくというキャンペーン。景品は店頭にあるLoppiという端末で登録しなければならない。そこで問題なのが、登録手続きにカードという現物が必要となるということだ。
 盲点であった。この先、この手の企画は続く。現在は大人気漫画「鬼滅の刃」のキャンペーンが始まっている。せっかくたまったものが流れるのも忍びない。なんか損した気分。とりあえず、カード、カードを入手しなければ。

 カードをもう一度探すという選択肢は諦めなければならない。今年1月のこと、ビフォアー・コロナの時期の落し物を問い合わせたとしても出てくるイメージが沸かない。ここは正攻法で、カードを作り直す(再発行)しかないという考えに落ち着いた。
 手順はまず店頭でカードを入手、Pontaカスタマーセンターに電話する。音声ガイダンスで「1」を選択し、オペレーションに問い合わせる、という流れ。カード入手はレジの店員さんにお願いすれば、すんなり頂ける。しかし、難関がオペレーションに電話をつなげるということだ。何日、何時電話しても「問い合わせが集中してつながらない」として、切れてしまう。固定電話からも携帯からも同じ結果。本当にカスタマーセンターは稼働しているのか、と疑ってしまう。こんな生活が5日間続いた。仕事もあるので、一日中電話するわけにはいかない。もう諦めるしかないのかと、絶望的な気分に陥った。コロナ鬱ならぬ、Ponta鬱……この状況はいったいどこまで続くのか……。

 公式HPでは「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言を受け、Pontaカスタマーセンターでは、受付体制の縮小などの対策を実施しております。
 そのため、お電話がつながりにくい場合や、各種手続きにお時間をいただく場合がございます」という断りが記載されている。理由としては納得できるが、ここまでつながらないと心が折れる。どこか繋がったことに成功した人はいないだろうかとTwitterをタグってみた。
 「カスタマーセンターにつながらない」「何日も電話したが集中しているで切れてしまう」「この時代にネットで手続きできないなんて」というつぶやきが大半。少しだけ「やっと手続きできた」というのを見つけ、稼働していることは確認できた。ただ、不運なのはコロナ渦ということと、5月下旬以降より、「au WALLET ポイント」は「Pontaポイント」に変わるということ。カスタマーセンターに集中する環境が出来上がってしまっていたのだ。

 ここで、考えた。どういう人がカスタマーセンターに問い合わせているのか、と。「au WALLETポイント」って、そんなに高齢者が利用するか?「ネットで手続きできないなんて」というリテラシーは若者にあるのではないか?……そいう漠然なイメージを浮かべた時、一つの仮説を立てた。

 題して「チケットぴあ作戦」、つまり朝一で電話をかけるということ。
 決行日を土曜にした。自粛解除の雰囲気も手伝って、フライデーフィーバーに酔いしれる若者を想像し、次の日の朝、この時とにらんだ。

 朝9時に受付開始。先に電話をしておいて、リダイアルでつながるようにする。時計が9時を差し、リダイアルボタンをプッシュ。ガイダンスが流れたら間髪入れずに「1」を押す、さらに次のガイダンスが流れ、同様に「1」をプッシュ。すると、コール音が流れ、2コール目でオペレーターにつながった。

 紛失からの再発行手続きがしたいと告げると、新しいカードが手元にあるかという確認と、カードの番号、セキュリティコード番号を尋ねられた。登録がないカードということが確定したところで、旧カード情報の確認と進んだ。登録した名前と生年月日、住所、TEL番号の聞き取りがあった後、確認できたので旧カードの利用停止手続きに入りますとオペレーターより案内されしばし待つ。
 次に、新しいカードにポイントを移行する手続きとなり、「先ほどお聞きしたことの繰り返しになって恐れ入りますが」と旧カードの確認の際に聞かれたことを再度答える。本当はここで腹の一つもたつのだろうが、やっとつながったという高揚感から素直に答える自分がいた。
 全てが完了し、オペレーターから「最後にご不明なことはございますか?」と尋ねられる。時間は4分55秒経過していた。電話がつながらず待っている人を想像し、「いえ、ありません」と答え、受話器を置いた。

 念願の新カード。これでやっとリラックマ景品の登録ができる。
 足取り軽く、近所のローソンへ。Loppiのカードリーダーにそれをスライドさせる。景品登録は初めてではなく、勝手知ったる操作なのだが……。
 ここで驚愕の事実を突きつけられる。リラックマ景品に交換できるはずのスタンプが「ゼロ」。つまり、旧カードから移行できるのはポイントであって、フェアやキャンペーンのスタンプは移行されないということ。どう転がってもリラックマ景品をゲットできない結末だったのだ。同時、新たに始まっていた「鬼滅」キャンペーンの幾ばくかのスタンプも消えてしまったという事実。膝から崩れそうになるのを必死でこらえる。

 打ちひしがれ、空虚に店内をふらついていると、ふと目に留まった。プレミアムロールケーキ2倍、そうあの人気商品の極太版。気にはなっていたが、今日が発売日だったとは。小さい幸せで自分を慰めた。

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