「名刺代わりの小説10選」を考えてみたら、意外にも〝私〟を再発見した気分に
Twitterでは「#名刺代わりの小説10選」というハッシュタグが、読書好きの方々の間で人気のようです。読書の秋ということで、私も考えてみました。私はTwitterのアカウントを持っていないので、ここで紹介させていただきます。
【1】フェルディナント・フォン・シーラッハ『刑罰』
今年出会った短篇集です。シーラッハの作品はすべて好きと言ってもいいけれど、なかでも本書は秀逸。
↓詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
【2】エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』
ピュリッツァー賞を受賞した連作短篇集。アメリカ北東部の小さな町を舞台に、そこに暮らす人々が順に描かれていきます。人生って、そういう風が吹くときがあるよね……とつぶやきたくなるような物語。
【3】レベッカ・ブラウン『体の贈り物』
ホームケア・ワーカーの主人公が、エイズ患者たちの家を訪ねる日々を綴った連作短篇集。淡々とした語りですが、言葉に透明感があり、静かに心振るわされます。ラムダ文学賞、ボストン書評家賞ほか受賞。
【4】絲山秋子『袋小路の男』
表題作が川端康成文学賞を受賞している短篇集。本書に収録されている「アーリオ オーリオ」が、私の最も好きな絲山作品なのです。
【5】ジョン・アーヴィング『ホテル・ニューハンプシャー』
短篇好きの私には珍しく、本作は長篇。この作品でアーヴィングのファンになりました。映画化もされています(ジョディ・フォスターやナスターシャ・キンスキーが出演)。
【6】チャールズ・ディケンズ『クリスマス・キャロル』
言わずと知れた名作。ディケンズ作品では、子どものころにジュニア版で読んだ『二都物語』も忘れ難いです。私の場合、『クリスマス・キャロル』は大人になってから読みました。それがかえって良かったのかも。
【7】レイ・ブラッドベリ『華氏451度〔新訳版〕』
本が禁制となっている未来、書物を焼く〝昇火士〟だった男が、人生を変えていくというSF作品。ブラッドベリは『火星年代記』はもちろん短篇も捨てがたいけれど、1冊あげるなら私はこれです。新訳版が出ていますね。
【8】ル・クレジオ『向う側への旅』
ノーベル文学賞作家のル・クレジオ。私は短篇集の『海を見たことがなかった少年』で魅了され、著書を読み漁りました。いちばん気に入っている本書は現在、古書でしか手に入りません(涙)。不思議な娘ナジャ・ナジャと仲間たちの幻想的な世界の旅。
【9】遠藤周作『深い河』
日本のクリスチャン作家として有名な遠藤周作。信仰について掘り下げた作品を多数書いています。集大成ともいえるのが本書。毎日芸術賞受賞作。
【10】ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』
私はヘッセの詩の大ファン。小説もいくつか読んでいますが、超有名な『車輪の下』は今年はじめて読みました。すごく素敵な作品でした。
↓詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
以上が、現在の私の「名刺代わりの小説10選」です。
こうして見ると、海外小説が圧倒的に多いですね。たしかに私が本当に書きたいものは、そういう(ここにあげた海外小説的な)方向性やテイストのものだなあ、とあらためて確認できました。
いままで、日本国内のいわゆる小説の書き方系の本に影響されてきましたが、なんだかもう、そういうことにはこだわらなくていいや、という気分になりました。
自由に自分の文章を書いていきたいと思います。
◇見出しの写真は、みんなのフォトギャラリーから、Angie-BXLさんの作品を使わせていただきました。ありがとうございます。
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