【近日刊行】統合失調症に合併する肥満・糖尿病の予防ガイド

統合失調症ガイド表1

日本精神神経学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会 
3学会合同監修ファーストガイド

一般精神科医、メディカルスタッフ必携!本書は統合失調症の診療を複雑化する合併した身体疾患、肥満・糖尿病予防に焦点をあてた、3学会合同監修の予防ガイドです。統合失調症の身体的予後を改善し、心身ともにバランスの取れた快復を目指す1冊。                                 B5判 78頁 
定価:本体価格2,700円+税  
ISBN 978-4-88002-790-6                       

序文 精神障害をかかえる方のリカバリーを考えるうえで,身体的な健康が維持されることは不可欠な要素のひとつである.精神科領域では,各関連学会において,統合失調症やうつ病・双極性障害などの治療ガイドラインが活発に作成されているが,合併した身体疾患に関して他領域の学会と共同で作成されたガイドラインはこれまで存在しなかった.日本精神神経学会では,ガイドライン検討委員会における課題のひとつとして,「向精神薬服用中の精神障害者の肥満・糖尿病予防のためのガイドライン」作成を目指し,日本糖尿病学会,日本肥満学会に協力を依頼したところ快諾が得られ,3学会合同の委員会が結成されるに至った.
 日本糖尿病学会では,エビデンスに基づく合理的かつ効率的で均質な糖尿病の診療の推進を目的に「診療ガイドライン」を3年ごとに,糖尿病専門医のみならず,一般内科医やメディカルスタッフ向けの「治療ガイド」を2年ごとに,患者さんとその家族向けの「治療の手びき」を3年ごとに作成している.日本肥満学会でも,一般医・メディカルスタッフ向けの「診療ガイドライン」を作成している.一方,今回の課題に関しては,国内外のエビデンスがかなり少ない現状を鑑み,わが国のエビデンスをできるだけ中心にして,海外の文献も参考にしながら,「統合失調症に合併する肥満・糖尿病の予防ガイド」として,一般精神科医やメディカルスタッフ向けにまとめることとなった.肥満・糖尿病予防の一般論的記載は,上記2学会の診療ガイドラインや治療ガイドを積極的に引用しているa~c).しかし,利用できる精神科関連のエビデンスが限られ,エキスパート・コンセンサスの域を出ないものも多いことから,通常のガイドラインで記載されているエビデンスレベルや推奨グレードの表示は今回あえて行わなかった.不十分な形であっても,いったん現状をまとめることによって,将来補っていくべきエビデンス領域を明らかにし,今後の研究の方向性の示唆が得られると考えている.
 したがって,本ガイドはまだ完全なものではない.ここに示された掲載内容は絶対的・永久的なものではなく,医学の進展によって将来変わりうる流動的なものであり,ひとつの目安と考えていただきたい.さらに,本ガイドは法的な規範になるものではない.
 本ガイドは,今後も新たなエビデンスや情報を受けてアップデートを計画している.また,精神科医やメディカルスタッフ向けのガイドだけでなく,当事者やその家族向けのガイド作成についても今後,検討したい.当事者のみならず,統合失調症にかかわるすべての人にとって,本ガイドが統合失調症の身体的予後を改善し,心身ともにバランスの取れたリカバリーを目指していくことの一助になれば幸いである.
2020年4月
             「統合失調症に合併する肥満・糖尿病の予防ガイド」作成委員会

主要文献
a) 日本糖尿病学会 編・著:糖尿病診療ガイドライン 2019. 南光堂, 東京, 2019
b) 日本糖尿病学会 編・著:糖尿病治療ガイド 2018−2019. 文光堂, 東京, 2018
c) 日本肥満学会編:肥満症診療ガイドライン 2016. ライフサイエンス出版, 東京, 2016





                               





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